お茶 さんの感想・評価
5.0
物語 : 5.0
作画 : 5.0
声優 : 5.0
音楽 : 5.0
キャラ : 5.0
状態:観終わった
高密度な思考実験的アニメ -作品と対話することによる補正-
量子力学と相対性理論を用いたSFラブコメディー。
咲太の恩人で初恋相手である、現在は大学生の牧之原翔子
重い心臓病を抱える中学生の牧之原翔子が存在する世界の物語。
これはアニメ史に残る作品ではないでしょうか。
「涼宮ハルヒの憂鬱」のような思いが現実化するという思春期症候群。
「観測するまで物事の状態は確定しない」という量子力学を用いた設定。
「Angel Beats!」「STEINS;GATE」「物語シリーズ」などをメタ的モチーフにした作風。
アニメ文脈に新たな一石を投じている。
これまでのメタ的モチーフと照らし合わせて文学的に楽しめる作風で、本作の面白さはそれぞれに分岐した時系列と、分岐したキャラクターが存在する点にあると思う。その分岐したキャラクターに物語を内包させ、2重、3重の構造になっている。その結果、高密度な物語へ昇華している。
本作のような、考察の余地がある作品について思うに、作品が物語の枠を越えて一つの思考媒体、思考創作のように読み手に存在させる側面があると考えさせられる。
これまでのアニメモチーフが垣間見れたとき、そのモチーフと検討し、慣習と照らし合わせ考察する。
確定したこれまでの要素から、不確定の要素を考証し、作品との対話的プロセスを図る。
そのように作品と対話することによって、ある種の思考的創作が形成され、深く作品に巻き込まれていく。
どんな物語でも多かれ少なかれ、上記のようなことはあると思いますが、
本作のような作品群を読み解く際に生じる思考創作のような補正がかかる気がします。
保険をかけておくと、上記の内容は間テクスト性という批評理論から着想を得ています。