てとてと さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 4.0
状態:観終わった
地味な良作な活劇ドラマ。ゲーム原作の1クールアニメとしてはかなり良し
臆病な青年と新米兵士たちが、巻き込まれる形で帝国の陰謀や暗部に挑んでいく感じの活劇ドラマ。
※作品データベース様より転載
【良い点】
18世紀から19世紀ぽい文明水準と、剣で戦うRPGファンタジーを融合させた、渋い世界観、雰囲気。
クリーチャーとのバトルはあれど、剣と単発式の銃火器が主力で派手な魔法や異能はあまり無い。(一応魔法はある)
地味ではあるが世界観に馴染んだアクションを丁寧に見せてくれる。
各々が出来る範囲のアクションする事で、地に足の着いた活劇感。
ストーリーは一介の気弱青年な主人公イヌマエル(ニコニコ視聴者はイヌ君と呼称)が陰謀に巻き込まれるミクロ視点中心でありつつ、
舞台となる帝国の剣呑な情勢(政治体制や、地方まで治安の手が回っていない現状など)が、
最小限の会話やシーンでさりげなく、分かり易く描かれている。
イヌ君とレオカディオ(レオ)のダブル主人公それぞれの視点が交差し、帝国の暗部に関わる陰謀が少しずつベールを脱ぐ…
地味ながら地に足の着いたストーリーに引き込まれる。
イヌマエルは気弱で残念寄りだが、底抜けのお人良し。個性的な仲間たちと共に陰謀に迫る過程で次第に善性と勇気を開花させていく。
敵味方含めて軒並みキャラクターが良く、交流と掛け合いの雰囲気に軽妙な活力がある。シャアケちゃん可愛い。
クリーチャーと戦ったり追われたりのB級ホラーな感じも持ち味。
シリアス寄りで凄惨な陰謀展開がある割には適度にコミカルで、作風が明るいのが魅力。良き仲間たちと活劇する痛快さがある。
最初は敵対していたレオカディオら帝国軍の一部と共闘するなど、納得できる流れで盛り上がる。
終盤〜ラストは未だ解決していないが、続きを十分期待させる落としどころで後味は良い。
【悪い点】
作りは丁寧だが、地味。毎話安定して面白い一方、全編通しての盛り上がりが平坦気味。
作劇のタイプが他多くのアニメと違うだけで別に悪いわけではないが、構成上、毎話のヒキが弱い。
見続ければ面白味が出てくるが、集中して見続けないと興味が持続しづらい印象。多分1話でも見逃すと話が分からなくなる。
巨大な陰謀の一側面しか描かれず、ラスボス的な黒幕の存在感も不明なのは盛り上がりに欠ける。
終わり方が中途半端なのも残念。結局どういう陰謀だったのか?続編が無いとすれば評価が下がる。
キャラドラマも、丁寧ではあるが、ドラマチックな盛り上がりは淡泊。
イヌ君は良主人公ではあったが、あくまでも巻き込まれた普通の青年の立ち位置が変わらず、
それは決して悪いことではないが、物語的には華に欠ける。
渋い世界観の雰囲気は長所でもあるが、バトル面の外連味にはどうしても欠ける。
作画では夜や地下での展開が続くためか、画面が暗い。
ツダケンボイスのヘルマン隊長戦がピークだけど期待したよりアッサリ決着。
【総合評価】7~6点
地味な良作。
タイプとしては2019年の「フェアリーゴーン」と似ている作り方に感じるけれど、本作の方が圧倒的に出来が良い。
派手な異能やオサレなBGMや演出で誤魔化さない堅実で丁寧な脚本、ただし地味。
評価はとても良いには惜しい「良い」
陰謀でクリーチャー製造は「アークザラッド」を想起させる。
世界観の雰囲気(文明水準)も近い感じ。