「ドラえもん のび太の宇宙小戦争(アニメ映画)」

総合得点
66.4
感想・評価
84
棚に入れた
466
ランキング
2814
★★★★☆ 3.6 (84)
物語
3.7
作画
3.4
声優
3.6
音楽
3.7
キャラ
3.7

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ネタバレ

蒼い星 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

愛国プロパガンダ?

【概要】

アニメーション制作:シンエイ動画
1985年3月16日に公開された97分間の劇場アニメ。
原作は、藤子不二雄が『月刊コロコロコミック』
にて連載していた「大長編ドラえもんシリーズ」作品。

監督は、芝山努。

【あらすじ】

地球から遠く遠く離れたピリカ星で反乱軍に追い詰められた大統領。
大統領は少年の声。部下に無理やり脱出させられて、
やがては地球に到着することになる。

一方で地球では、スネ夫とジャイアンがプラモデルを使った特撮映画撮影の、
手伝いをしていたのび太だったが、足を引っ張っるので追放されて、
スネ夫たちは入れ替わりに優等生の出木杉を新たに仲間に加えるのだった。

ドラえもんに泣きついたのび太は、自分たちで別にビデオを撮ることにして、
しずかを誘った。裏山で人形を使った特撮ビデオを作っていたのび太たちだが、
しずかのお気に入りのうさぎのぬいぐるみが行方不明になり捜していると、
80センチメートルぐらいの小さなロケットを発見。家に帰ると、
庭にぬいぐるみが落ちていて、夜になるとのび太の部屋に忍び込んでいた、
手のひらサイズの宇宙人の少年パピと出会って友だちになった。

パピはピリカ星の大統領であり、クーデターで一人だけ脱出させられたことで、
思い詰めていた。のび太たち一家と過ごして日常を楽しむパピであったが、
そのパピを捕らえようとピリカ星の反乱軍の宇宙船が地球に訪れていたのだった。
将軍であった現・指導者のギルモアは恐怖政治を敷く独裁者であり、
元大統領のパピを公開処刑で死刑執行をして皇帝になろうとしていたのだった。

【感想】

大長編ドラえもんの第6作目。
武田鉄矢氏が熱唱する「少年期」は、思春期のジレンマを表現した名曲として名高いですね。

OPアニメが「スターウォーズ」「スーパーマン」「E.T」「キングコング」
などのパロディといいますか、そのまんまですが、おおらかな時代だったのでしょう。
藤子先生は「スターウォーズ」のファンとしても有名で、
アーレ姫やアカンベーダーが登場するパロディ回の「天井うらの宇宙戦争」がありますが、
こっちはオリジナルストーリー。

子供向けのシンプルな勧善懲悪ストーリーのためか善悪の対立構造がハッキリしていて、
自由と正義のために戦うパピ陣営+ドラえもん vs 独裁者が率いる悪の軍隊なのですが、
民主的に選ばれた大統領パピに対しての非合法手段で権力を簒奪した独裁者ギルモアは、
民主主義vs社会主義の昭和の東西冷戦構造の価値観で作られた設定。

悪の権力者というと、日本で長期政権となると独裁だの権力の暴走だの喚く輩がいますが、
それは野党が能力不足で総括も反省もなくて言葉に説得力がないから信用を得てない。
だからこそ政権に不満があろうとも、選挙で野党が信任されずに勝てない事実は、
妄想をこじらせてレジスタンスごっこに興じるお左翼様には直視できないようでして、
不満は不満として有権者として発言の自由があるとしても、革命家ごっこで自己陶酔する輩。
矢鱈幼稚で暴力的で発言が汚くて日本人とは思えないレベルでろくでもないのがゴロゴロいる。
それが数多くいるマスコミ・芸能人・知識人の二枚舌の姿を見てると彼らに同調するどころか、
今の政権に不満があろうと、野党を選んだほうがマシとも言えないジレンマみたいなのが、
今の日本の状況ですが、これは話の脱線。

戦前は尋常小学校、戦時中は国民学校で教育を受けて、55年体制や冷戦を見てきた、
昭和を生きていた藤子先生の時代感覚がそのまま反映されているのがこれですね。

正義と平和を守るために戦争への恐怖心に耐えながらスネ夫やしずかが戦車で戦う姿は、
まるで戦意高揚映画ですが、敵が攻めてきたら話し合いで解決する、
戦わずに降伏すれば敵はそれ以上何もしないなど、脳天気なことを言っている、
日本の活動家メンタルでなくて、国民皆兵のスイスやイスラエルなどの精神にも見えます。
現実では女性の兵役率は低くて徴兵されるのは成人ですけどね。

ともあれ、藤子先生の国家観や戦争観は、
「ドラえもん」を放送しているテレビ朝日とは大きく異なる点では興味深いものではありました。
後年のドラえもん映画ですと、また別の趣旨で作られた、別の解決方法の作品もありますけどね。

余談ですが、しずかの牛乳風呂のシーンはヤバいですね。股間が前から丸見え!
「魔法の天使クリィミーマミ」もでしたが、当時のアニメは女児の裸におおらかでしたね。
リメイク版のキャラデザで同じことをしたら犯罪ですし、今のご時世でいろいろ厳しいですね。
しずかのヌード作画にいつもより気合い入れてるアニメーターいませんか?と思ったりで、
技術的なベースは変わっていても人間の本質的な部分は世代を超えて今も昔も同じだと思いました。


これにて、感想を終わります。
読んで下さいまして、ありがとうございました。

投稿 : 2024/04/01
閲覧 : 47
サンキュー:

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