「ヨスガノソラ(TVアニメ動画)」

総合得点
77.0
感想・評価
2707
棚に入れた
14721
ランキング
643
★★★★☆ 3.6 (2707)
物語
3.3
作画
3.7
声優
3.5
音楽
3.6
キャラ
3.6

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ネタバレ

takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

意外に奥深いテーマで惹き込まれたが、もったいない部分も・・

事故で両親を亡くした双子の兄妹の春日野 悠(カスガノ ハルカ=兄)と
春日野 穹(カスガノ ソラ=妹)は、都会から離れた山里の町へ移り住み、
兄妹2人の生活を始めることに・・・
そこで出逢う同じ学校の生徒達との日常、我侭な妹との生活を通し、
やがて悠(ハルカ)は自分の本当に大切な存在に気付いていく、という物語。

他の人のレビューをさかのぼって読ませていただいたが、
確かに乳首がリアルに描かれたり、性描写のシーンが多いけれど
主人公が次々に女の子をたぶらかす話としてるのは誤解であり、
実際はヒロインごとに共通や個別のルートとしてエピソードが展開し、
時系列は分岐した時点へ戻って再開されるので
本編では4人のヒロイン=4つのエンディングが用意されているという構成。
また、各話ごとに2分程度のおまけ的ギャグアニメがついている。

作画はとてもきれいだし、キャラデザは見やすくクセが少ない。
ピアノをメインにしたBGM含めての音楽は特に良かった。
主人公のキャラも、優柔不断さとか欲望にまみれた感じとは違い
歳相応の好奇心は持ちつつも優しく真面目で、面倒見のいい
好感の持てる人物。

妹のソラのほか、周囲を取り巻く女の子は、
近所に住むひとつ年上の先輩(奈緒)、人懐っこく無邪気な巫女の同級生(あきら)、
お姉さんっぽいお嬢様(かずは)かずはの家のメイド(もとか)のほか、
駄菓子屋のおねえさんや学級委員長などが登場。

しかし、一番のメインキャストはやはり名前がタイトルそのままな妹であり、
近親愛を真摯に捉え、正面から描こうとした作品だったことは間違いない。
それからいくと全12話のうち、10話から最終回にかけてを観る限り、
奈緒は比較対象として必要だったとしても、それ以外の女の子の話は
必要なかったんじゃないかとさえ思えた。
いっそ思い切ってそこは削り、妹との愛と苦悩をもっと掘り下げたほうが
作品としてもっと深く、良いものになったような気がする。

でもその一方で、こうも思える。
どんな人にも、表面からは見えないもの、背負っているものがある、
ということを各女の子たちのエピソードでまず見せておき、
ごく一般的な恋愛や自然なままの欲望の姿を描きながら、
人間の建前と本音、相手が誰であろうと「愛と欲」に変わりはない
ということを言いたかったのではないだろうか。

倫理的な問題はもちろんある。でもそういった理性や枷を取っ払い
純粋に愛と欲という本能的なものだけ抽出したらどうなるのか。
何が正しいとか間違ってるとか、そういうことを描くのではなく
禁断が秘密を呼び、なおさらに加速して歯止めがきかなくなる関係において
これまでにないほどの絶頂感と苦悩を味わうことになる主人公の行く末を
見守ろうとした物語なのだろうなと。

それぞれ似て異なる妹の想い兄の想いには、やきもきさせられたが、
近親愛に限らず、世の中一般から「禁断」とされる恋愛には
ある種の共通項があり、それゆえ共感できるものがあり
観ていてとても切なかった。

好き嫌いや判断はすごく分かれる作品だと思う。
妹のキャラに好感持てるかどうかでも、変わってくると思うが
ソラに関して、個人的には彼女の性格よりゴスロリ系ファッションのほうが
楽しめたし、エロさは噂ほどでもなかったなというのが正直な感想。
そしてラスト・・・
{netabare}
どう見ても逃避としか思えないものの、すごく幸せそうな2人が印象的だった。
{/netabare}
でも、これを深夜とはいえTVで放送したというのはすごいことだと思う。

観た人の中で、もしもエロさしか印象に残らなかった人は、
きっと今後さらに歳を重ねて、いろんな経験をした時にもう一度観ると
また全然違った受取り方になるかもしれないね。

投稿 : 2012/12/14
閲覧 : 819
サンキュー:

66

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