「花咲くいろは(TVアニメ動画)」

総合得点
90.0
感想・評価
6273
棚に入れた
26905
ランキング
67
★★★★★ 4.1 (6273)
物語
4.1
作画
4.3
声優
4.1
音楽
3.9
キャラ
4.1

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takumi@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.7
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

人の心は夢とともに成長していく

P.A.WORKSによる全26話の完全オリジナル作品で、
平成23年度文化庁メディア芸術祭
アニメーション部門審査委員会推薦作品に選ばれている。

主人公は東京に住む女子高生・松前緒花(まつまえ おはな)
恋人と夜逃げを決めた母から「一緒に連れて行けない」と言われ
母の実家である石川県の温泉街に建つ旅館にて、住み込みアルバイトの仲居として
働きながら学校に通うことになる。というところから物語は動き出す。
祖母にあたる旅館の女将をはじめ、さまざまな個性を放つ従業員達との日常を通して
悲喜こもごもな人間ドラマを展開しつつ、緒花の成長を中心に描いていく。

まず、何と言ってもこの緒花のへこたれない性格がいい。
勝気でまっすぐで、じっくり考えるより先に何かを言ってるし、行動してる。
それはもちろん、時に人を巻き添えにし引っ掻き回すことになるわけで
反発もされるわけだけれど、それが気づくと救いになっていたりする。

「仕事したくて来たわけじゃない」と言いながらも、人を頼らず自分を信じ
積極的に仕事を自分でみつけだしていく。
勝手な行動に映るものの、周囲は次第に彼女の影響を受け、変化していく。
こういう物語は過去にもたくさんあったけれど、美しい作画とかわいいキャラデザ
情感溢れるBGMと、大正ロマンの香りいっぱいな旅館の魅力で新鮮だった。

それに練り込まれたシナリオときめ細かな人物描写、心理描写もいい。
コミカルな部分も随所に織り交ぜつつ、絶妙なタイミングでほろっと感動してしまい
特に21話以降からは涙の連続。いやいやまいった(笑)
ツンデレと似て、厳しい人のやさしさとか、ダメ親の真の愛情が見える時とか
それまで張り詰めたり、反発していたものが緩む一瞬にどうも自分は弱いみたいだ。

驚くほど細かな伏線まできっちり回収されていたのはお見事。
テンポも良いし、EDもちょこちょこ変わったりして飽きることなく楽しめた。
そしてタイトルをすべて見直すとわかるのだが、
つぼみがいつか花咲く日を楽しみに空を仰ぎ、光を浴び、
夢を見ながらすくすくと水を吸収していたことに気づかされる。
また、『花咲くいろは』の「いろは」は色とりどりの意味と、
自分の夢の色は?という意味を兼ねていたんだろうなと。

それに成長し変化したのは緒花だけじゃなく、登場人物それぞれがみんな
どこかしら変化していったことから、やはり人は1人で変わるものじゃなく
みんな繋がって影響し合っているのだなと思えたのも良かった。

ちなみに後半に登場する、夢をテーマにした地元のぼんぼり祭。
作品上の架空の行事だったのが、地元のモデルとなった湯桶温泉で
観光協会が実際に主催してこのぼんぼり祭を再現したとか。
とても素敵なことだと思う。

夢、恋、親子、そして仕事というものを丁寧に描いていて好感。
個人的には緒花よりも、彼女の母である皐月の言葉や本音とか
祖母である女将・スイの仕事への向き合い方は身近ですごく見覚えがあり
特に感情移入しやすかった。
それに、緒花の性格はこの祖母と母あってのものなのだなとわかると感慨深い。

また、居場所は自分でみつけ、作っていくものという考え方にも深く共感。
観終えて思い出しながら、ふと『千と千尋の神隠し』との
共通点のようなものを感じたが、この作品のリアリティが心地良かった。
でも唯一、リアリティを感じなかったのは板前見習いの少女・民子の
調理中の髪型かなぁ。後ろにまとめるのはいいのだが、
耳前に長い髪を左右にたらすのは衛生上いただけないし
あの女将や板長が許すわけないよ・・と思ってしまった。
しかしそれでも、良作だったと思う。

本当はもっともっと、たくさん書きたいことがあるのだが
長くなりすぎると読みにくいかもなのでこのへんで。

今年2013年3月9日には劇場版が公開予定とのこと。
今からとても楽しみだ。

投稿 : 2013/01/10
閲覧 : 408
サンキュー:

68

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