「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q(アニメ映画)」

総合得点
77.4
感想・評価
1548
棚に入れた
8443
ランキング
611
★★★★☆ 3.9 (1548)
物語
3.6
作画
4.2
声優
4.0
音楽
3.9
キャラ
3.9

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ネタバレ

Jonez さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4
物語 : 1.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

エヴァというトラウマを焼きなおした作品

ワケわからない単語や概念を大量に並べて、
「何か深遠な意志に基づいて壮大な試みがなされていますよ」という雰囲気を
ただひたすらに匂わせようとしているイカ臭い子供だまし感と、
主人公に何の説明も無く地獄が展開していくストーリーは
「旧作の正当伝承」感を出していた。

ヴンダー
アダムスの器
カシウスの槍
等々
新しい小道具を大量投入しては来ているが
果たしてそれをぶち込まないと形にできない話があるのかが、強く疑問である。
そして劇中では「重要さ」をただ匂わせるだけで
それらに関する説明は一切なかった。
旧作の中で「なんかすごそうな感じ」を出すためだけに
ただ並べて、後に投げ捨てられていた意味不明な単語たちと
同じ意識で投げ込まれたものなのだとしたら
十何年もかけて何してたんだという感じである。

新しいエヴァンゲリオンが大量投入されたあたりは
まぁ、グッズ展開などによる小遣い稼ぎが必要な大人の事情は理解するが
「エヴァはただのロボットではない」とアピールしてた割には
大安売りだなというのが正直な感想。
しかし、前作で仰々しく天から降りてきたMark.6まで
いきなり投げ捨てたのは驚いた。
槍一本投げただけで御役御免とは、安い。

人物相関に関しては、「世界が滅びかけて、仲違い」程度の動きで
個人間の思い入れ意外に特に深いものは感じられない。
ただ、前作でシンジに
「行きなさいシンジ君、誰かのためじゃない、あなた自身の願いのために」
って思いっきり背中押してたミサトさんが、
いきなり「お前しゃべんな」ノリで鋼鉄化している辺りは、
そりゃねぇだろという感じだった。

カオル君は、今回もワケのわからないことを口走りながら
首チョンパを食らう辺りは旧作リスペクトのセルフカバー。
彼は物語上、主人公の心を深く傷つける以外何もしていない。
実際見ていて、彼の死に心を痛める理由は
「なんかイイ人ぽかった」くらいしかない。
かわいそうなくらい安い命。

極めつけは
新型エヴァに乗って槍を二本引っこ抜いたら世界が滅びかかった。
という意味不明な修羅場。

実際のところ、重要なキャラの死や世界の崩壊なんていう究極な状況を
ここまで揺さぶられずに見ていたことは
ほかのどの物語と比較しても一度も無い事なので
逆に感心させられた。
正直、観ていて途中から「知らんがな」という言葉しか出てこなかった。

主人公シンジが、ワケもわからんままに滅んだ世界で
アスカの首を絞めて終わった旧作に
「何の救いも無い・・・」と深いトラウマを植えつけられた多くの人たちは、
「破」において、彼が世界をブチ滅ぼしながらも、自らの強い意志でレイを救う姿を見て
「これが見たかった」と思った事だろう。
そこには苦悩を超えた「愛と成長の物語」があったからだ。
しかし今作でそれらのポジティブな要素を全て捨てた上で
今一度、村八分、友達の死、世界崩壊という生き地獄を
すべて旧作と同じ解釈(解釈不能という点で)をもって主人公に体験させた。
そりゃ、トラウマフラッシュバックという感じで、
一番観たくなかったものだろうと思った。

今作において、旧作の終着点である「意味不明な地獄」という所まできたので、
実際のところ、次作こそが「誰も知らないストーリー」にあたるのだと思う。
物語的には次作に全てを託すしかない。
最初に述べた、とりあえず「凄そうだ」という匂いをだけをただひたすらにかもし出そうとする感じが、
全編通して漂っている本作は、
聞いたことも無いようなワインやチーズの薀蓄を鼻高々に述べるおっさんを見ているような
強烈な気色の悪さを感じさせた。

できれば「これは必要だったのだ」と思わせるオチを次作に期待したい。

投稿 : 2013/06/13
閲覧 : 246
サンキュー:

4

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