「キングダム(TVアニメ動画)」

総合得点
71.3
感想・評価
629
棚に入れた
3076
ランキング
1329
★★★★☆ 3.8 (629)
物語
4.2
作画
3.2
声優
3.8
音楽
3.6
キャラ
4.0

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ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 4.5 作画 : 2.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

大将軍を目指す少年の立志伝

 原作は未読。
 全38話というのはあえてクールで言うなら、3クールなのかな。民放作品ではあまり
見られない形だが、NHKはこういうイレギュラーな話数が作品がよくある。
 始めに作品ありきでスケジュールを組んでいるのだろうか? だとしたら、無理して尺を
伸ばしたり縮めたりしなくて済むからいいよね。

 中国の戦国時代を舞台に、一人の少年の立身出世を描いた作品で、あまり奇をてらうことの
ないストレートで、骨太な感の作品。
 後に始皇帝となる政はともかく、信と目される李信は、この時代の歴史でもあまり有名では
なく、こういう地味な存在を主人公にしているのが興味深い。

 こういった歴史もの、特に乱世を扱ったものの場合、視聴者の共感を得るためか、戦争や
殺人といった行為に対して、主人公などが現代の倫理観で行動・思考してしまうパターンが
多かったりする。「民衆の安定のためにしょうがなく戦争をする」とか。
 しかし、ある程度の地位にある者が現在の安定のために厭戦感を抱くことはあったと
しても、下位にある兵士にとっては戦争は出世するための歓迎すべきものであったりする。
 その点、この作品の信は「戦争で活躍して出世するぞ!」、「戦場が俺の舞台だ!」と
潔い。直接、言葉にはしてないが、武功を立てるということは、「ガンガン人を殺すぞ!」
って言ってるんだよね。

 ストーリー的には、序盤の政の王位奪回、中盤の秦と魏の戦争、終盤の秦と趙の戦争の三部
構成といった感じだが、序盤と中盤、終盤ではかなり色合いが異なる印象。
 序盤の政の王位奪回は冒険バトルもの的展開が強く、更に政を狙う殺し屋、異様な風体の
山の民、もはや巨人としかいいようがないランカイなど、妖怪じみたキャラが多かったためか
一種の伝奇もの的色合いさえ感じる。

 中盤、終盤に関しては、一つの合戦をここまで時間を掛けて描いた作品も珍しいのでは。
 そのため合戦の駆け引きなどの頭脳戦は堪能できるし、戦場におけるキャラはトップから
下位まで活き活きと描かれている。特に信の初陣でもある対魏戦では、一兵卒の戦場における
不安や恐怖といったマイナス要素、逸り、高揚といったプラス要素などがよく描かれていた
ように思えた。
 しかし、戦場が克明に描かれた反面、あくまで局地的描写に終始しているため、一種の群像
劇としての、大局的な歴史ドラマとしての要素は弱まってしまった感じ。

 主な舞台が戦場であるため、直情型の信を始め、ほとんどが男性キャラの男臭い話。
 それゆえに河了貂、羌瘣といった数少ない女性キャラが、逆に印象に残る。
 しかし、キャラのインパクトという点では、終盤での実質的主人公キャラである王騎に
尽きる。
 登場時は信が言うところのクチビル巨人といったルックスや、オネエ言葉、敵か味方か
判らない立ち位置など、キワモノキャラといった感じであったが、対趙戦争においては大
将軍の名に恥じない戦闘の強さ、計略の深さ、凄まじい生き様を見せてくれた。
 このキャラの印象度が強かった要素の一つとして、演者の小山 力也さんの怪演が
大きかったような。
 最後は信に次代を託して死んでいくが、信の目標を見つけてくれたのが幼なじみの漂、
目標への道筋を示したのが政なら、その道を歩むための心構えを教えてくれたのが王騎だった
ように思える。

 最近のCG多用に関して、反感を持つ人もいるみたいだが、個人的にはCG自体のレベルの
向上、現在のアニメの制作事情もあって、あまり抵抗感はない。
 しかし、この作品は激しい動きではない人物描写にもCGがよく使われており、それが
やけにヌルヌルした動きでちょっと気持ち悪かった。

投稿 : 2013/06/17
閲覧 : 249
サンキュー:

6

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