「TEXHNOLYZE テクノライズ(TVアニメ動画)」

総合得点
69.1
感想・評価
227
棚に入れた
1400
ランキング
1846
★★★★☆ 3.8 (227)
物語
3.9
作画
3.8
声優
3.7
音楽
3.9
キャラ
3.8

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らしたー さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

不世出のサイバーパンク

観たのえらい前な気がするが。

自分の中では『攻殻機動隊』や『AKIRA』あたりと並んで、
不世出のサイバーパンクとして認識されている。
それらがあったからこそ、この作品世界が生まれたとも考えているのだけれど、
最終的に作品の指向する地点がだいぶ異なっているので、
やはり「並び立つ」という感覚が強い。

この作品の特徴は、アニメとして口当たりの良い一切をとことん拒絶している点でしょう。
間違っても萌えとか期待しないでいただきたいし、
ハードボイルドが好きって人でも意外と要注意。
この作品のハードボイルドは、冷え切った刃みたいなもので、
ピカレスクタッチのハードボイルドを期待しちゃうと、ちょいと厳しいかも。

全編を通して、痛ましいまでの生と、壮絶なまでの滅びの美学に満ち溢れており、
また、それらを同時に表現し得ている、という点において、
稀有な個性を発揮している作品でもある。

賑やかしのSFガジェットがほとんど出てこない点も特筆すべきで、
話の核でもあるテクノライズ技術が、象徴としてのテクノロジの地位を失わず、
物語は、引き絞った鋼のように贅肉のない展開を見せる。

で、言われるほど難解という印象はなく、自分の記憶では

「そもそも、なぜ吉井一穂が流9洲(ルクス)へと降り立ったか」

という視点だけで、十分に楽しめる物語だったはず。

何をしに来たか、ではなく、なぜ来たか。

その根源に対する、各人各様の、
自覚的ないし無自覚的なアプローチが見ものなのである。

まあ、多くを説明しても無意味で、興味がある人は観てみるとよいと思います。
ネタも割りたくないですし、基本的には、合うか合わないか、の作品なので。

舞台となる街、流9洲(ルクス)の描写は圧巻の一語で、描ききったな、というほかない。
単純に雰囲気モノとしても超一級の仕上がりでしょう。
『ブラックラグーン』のロアナプラが天国に見えます。

本作のもっとも優れたところは、
この壮大なテーマを、マフィアコンテンツを切り口として描こうとした、
そのセンス、その選択。そこに集約されると思っている。
わかりやすい命のやりとりをする彼らが主役だからこそ、
作品のテーマが、ひときわギラギラと輝くんだよなあ。

出会えてよかったと本気で思える数少ない作品のひとつ。
そうそうお目にかかれない、異質の恐怖が味わえますので是非。

傑作です。

投稿 : 2013/07/06
閲覧 : 538
サンキュー:

13

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