「新世界より(TVアニメ動画)」

総合得点
87.4
感想・評価
3341
棚に入れた
15919
ランキング
149
★★★★☆ 3.9 (3341)
物語
4.2
作画
3.6
声優
3.9
音楽
3.9
キャラ
3.8

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ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 5.0 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

超能力者の行く末

 原作は未読。
 1000年後の日本とは随分とスケールの大きい話だなあと。近未来なんかだと、巷の未来
予測を参考にすれば、それなりの設定が作れそうだが、1000年後ともなるとほぼ作者の
イマジネーションによるもの。
 正直、設定に粗い部分もあるし、長い原作をアニメ化するにあたって省いたと思われる箇所も
あり、そのために説明不足になっているところもあるが、壮大な話をよく描ききったという
印象で、やはりベストセラー作家の筆力というのはたいしたもの。

 前半は一見平和的に見える人間社会の中に垣間見える暗部を描くが、サスペンスやホラー系の
作家だけにこういう展開はうまい。
 この前半は割と淡々と進むため、ちょっと退屈に感じられる部分もあるが、後の真相に繋がる
伏線が散りばめられているので気が抜けない。

 更に数話ごとに明らかになる人類の辿った道のりが結構ショッキング。
 超能力をテーマに、能力者と非能力者の軋轢を描いた作品は多々ある。能力者が主人公である
作品の場合、なんとか共存を図ろうとする展開が多いが、能力者は自身の優位性を自覚する
だろうし、非能力者は能力者に対する恐怖心が拭えないだろうしで、この作品の辿った歴史の
方が悲しいかな説得力がありそう。
 この歴史を知ってしまうと、問題のありそうな子供達を次々と消してしまうディストピアも
一概に悪と決めつけられないから怖い。

 主人公である渡辺 早季の幼い頃から現在(36歳)までの手記という形を取っているが、26歳
編から話は急展開、病院での悪鬼(じゃなかったけど)からの逃走劇はサイコキラーや
クリーチャーに追われるホラー作品を思わせるものがあるし、クライマックスでのサイコ
バスターを巡る東京での展開は秘境冒険ものといった感じで、様々な要素がてんこ盛り。
サービス精神旺盛だが、ゴチャゴチャした印象がないのは構成がうまいんだろうね。

 最後にバケネズミの正体が明かされるが、これは作品で描かれた時代において非能力者が
いなくなっており、知的生物が能力者とバケネズミしかいないことを考えると、大半の人は
事前に気付いていたんじゃないかと。
 ただ、明確に突きつけられてしまうとやはりドキッとしてしまう。容姿も同じだし、主人公
サイドということで、視聴時においては能力者側に感情移入していたが、実は視聴者は
バケネズミ側なんだよね。
 インパクトとしては、むしろバケネズミがかって人間だったと知っても、人間(能力者)に
とってもはや同胞とは思えないという部分にあったかな。

投稿 : 2013/09/28
閲覧 : 181
サンキュー:

8

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