STONE さんの感想・評価

4.5
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態：観終わった

現実と妄想の狭間で

　原作は未読。
　基本的には単なるラヴコメなんだけど、作画、構図、演出、BGMなどのレベルがかなり
高い。妄想バトルのシーンもなかなか迫力があり、京アニの本格バトルものが観たくなったり
した。

　キャラの見せ方も上手く、メインヒロインである小鳥遊 六花などは、初回から富樫 勇太との
面白いやり取りで、その魅力をうまいこと引き出している。
　彼女の魅力って、女の子的可愛らしさだけでなく、小動物的可愛らしさもある。あと中二病を
こじらせているためか、危なっかしくてほっとけない感じ。序盤での勇太の六花に対する接し
方は保護者そのもの。
　この勇太と六花の関係が次第に恋に変わっていく過程はなんか初々しくていいね。
　意外だったのは丹生谷 森夏の立ち位置。キャラ中で一番可愛い娘という設定から、勇太、
六花との三角関係になるか、腹黒美少女として一種の悪役になるかと思っていたら、仕切り役で
皆のお姉さん、お母さん的存在になっていた。

　前半は中二病をモチーフにしたコメディテイストが強い展開だが、これが後半になると一転
してシリアス色が強くなり、六花が中二病に走ったのは父の死が原因ということが明らかに
なるが、これを知ってしまうとそれまでのコメディ部分も笑うに笑えなくなる。逆にドラマと
しての深みは増したが、この辺は人によって評価が別れそう。
　この鬱展開をどう片づけるかと思っていたら、ラストではそれなりに締めてくれたが、作中で
は中二病を肯定すべきものか、いずれは脱するべきものなのかは、はっきりとは語って
くれない。
　実際、六花の中二病など、いつまでも「邪王真眼」なんて言っているようだと困ったもの
だし、逆に後半のように無理して止めて、自分らしささえ捨ててしまうのはそれはそれで違うと
いう感じ。
　個人的には、この辺はどちらかを選択すべきものではないと思っています。
　中二病を一種の自意識過剰と捉えると、いい歳しても色々なことにはまったり、囚われる人
などはそこら中にいるわけで、はまりながらもうまいこと現実と折り合いを付けることが
できれば、むしろ立派な自分の個性になるんじゃないでしょうか。