jethro さんの感想・評価

4.3
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態：観終わった

現代のノスタルジックとは

星野 一馬(ほしの かずま)は病弱な弟のため
保護者代わりとして
環境が良い「山比古町」という
幼いころ一度だけ訪れた事のある田舎町で暮らす事になった
秋祭りの頃には空に星の橋がかかるという澄んだ空気いっぱいの土地で起きる出来事を
爽やかな青春と共に謳いあげる
田舎讃美、ブラコン要素ありの学園ラブコメディ

物静かな田舎の風景
友達がいて、学校があって、たくさんの自然
そんな環境に囲まれて、川のせせらぎのように
のんびりと、しかしキラキラ輝きながら
物語が展開していきます。

驚くような事件など、これっぽっちも起こりません
登場人物たちが抱える、ささやかな問題も
噴き出す事もなく、かといってスピード解決するわけでもありません
ゆっくりと、そしてじっくりと
れぞれが気持ちを高めていくよう構成されており
水が溢れてこぼれ落ちるような自然な流れのように
登場人物たちが成長していきます。

のんびりすぎてダルいと思われる方もいるかもしれませんが
この流れそのものが、魅力的なキャラの個性となっているので
十分納得できる展開とスピードであると考えます。

なかなか回収されない複数のエピソードも
一つ残らず、何の悔いもなく最終回までに回収される点も
実に気持ち良いです。

ややハーレム的要素はあるものの
主人公がかなりキッチリした性格なので
もやもやした状態にはならず
ある一つの答えを、はっきりと提示してくれるので
後半は、かなりの興奮度で盛り上がります。

本作は「氷菓」や「トゥルーティアーズ」のように
地方行事であるところの「神事」を大きくリスペクトしています。
物語全体を通して語られる
この「神事」にまつわる架空の逸話は
町の名前の由来「山比古」→「やまびこ」のように
共鳴し響きあう心というテーマを丁寧にそして力強く描き出してくれます。

田舎の学校生活に限りないノスタルジーを感じる佳作です。