「絶園のテンペスト(TVアニメ動画)」

総合得点
87.2
感想・評価
2715
棚に入れた
15171
ランキング
161
★★★★☆ 3.9 (2715)
物語
4.0
作画
4.0
声優
3.9
音楽
3.8
キャラ
4.0

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ネタバレ

にゃんた さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

良い意味でも悪い意味でも翻弄される作品

シェークスピアの代表作「ハムレット」「テンペスト」をモチーフとし、
兄と妹、それに兄の友人との複雑な関係を、
魔法世界に影響され変動する現代世界の存亡と絡めて描く作品。

結論からいえば、楽しく最後まで視聴できた。
大きな破綻が無かったことと、上手いミスリードに翻弄されて続きが気になったからだ。
重要な事実が伏せられ、いくつものありえる選択肢が示される。
そのうえで終盤で明かされる真実には、ハっとさせられた。
なかなか手応えのあるシナリオだったと思う。
作画も(肝心なシーンでの)演出も作中のBGMも良かった。

以下は、気になった点を2つほど・・・

1 作中でのトーンの変更
作中のトーンが、やや暗い前半から、後半に向けて明るく変更されている。
『Phantom 〜Requiem for the Phantom〜』程ではないが、同じ戸惑いを感じた。

ハムレット、テンペストなどの舞台となる時代の「恋人」は、
命をかけてどうこうする存在として描かれる。
これを現代の高校生に置き換えて表現するから、「彼氏・彼女」と軽くなる。
シェークスピア時代の「恋人」という重い存在との乖離がそこにある。
だから、全体の雰囲気を軽く変更して違和感を和らげたのかもしれない。

だが、現代日本でも「彼氏・彼女」ではなく、
「恋人」=重い存在として受け止める場所があり、人々がいるかもしれない。
本作品では、魔法使いの住む特殊な集落という設定が作れたのだから、
それを彼らにも援用して、重く描くことも可能だったのではないか。
個人的には、ダークトーンを維持して欲しかったし、できたと思う。

2 愛憎劇と世界規模の戦いを絡めることの不自然さ
兄妹とその友人の愛憎劇は、あくまで個人レベルの物語。
これと世界の変動を絡めることにムリがあったように思う。
{netabare}「1人の死の原因を知ることが、世界に起こっている大変動のナゾを解き明かす鍵である」
という説明があまり上手くない。
結果的に繋がっただけであって、
死の真相を探るための動機付けが、あくまで個人的なものに留まっていたからだ。
そこを繋げるものが、惚れた腫れた≒木の導きだった、と片付けるのも強引だ。{/netabare}

投稿 : 2014/02/12
閲覧 : 246
サンキュー:

9

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