「蟲師(TVアニメ動画)」

総合得点
88.4
感想・評価
1960
棚に入れた
10495
ランキング
114
★★★★★ 4.1 (1960)
物語
4.3
作画
4.2
声優
3.9
音楽
4.0
キャラ
4.0

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ちゃんもり さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

諸行無常

およそ遠しとされしもの。
下等で奇怪、見慣れた動植物とはまるで違うと思しきものたち。
それら異形の一群を、人は古くから畏れを含み、
いつしか総じて“蟲”と呼んだらしいですよ。

“蟲師”ギンコが旅先で巡り合う、蟲にまつわる様々な
物語。1話完結、全26話の作品です。
悲しい話、心温まる話、ゾワリとする話など色々ですが、
一貫して「人も蟲も、ただそこに在るだけ」という
作品のテーマ性を第三者の傍観視点で貫いているところに
美学を感じます。

日本には古来より「山岳信仰」や「海神信仰」、神道に
於ける「八百万の神」のような自然信仰が伝えられています。
この作品のテーマ性にはそういったものが見え隠れして
いますね。
時代設定を作品を観る限り明治初期頃かと思われますが、
原作者は明言していないらしく、まわりが和装の中で
ギンコだけが洋装なのも、時代背景ではなくギンコだけが
周囲の人間とは違う「特異な存在」であるというモノグラム
なのかもしれません。

この作品は勧善懲悪がテーマではありませんから、
人間視点の正義を振りかざして蟲を討伐する、という
ことはなく、あくまでも「ヒトと蟲の共生」をテーマに
語られています。自然のあるがままに受け入れ、その恵みを
生かしまた生かされる。この考え方は前述した自然信仰に
通ずるものがあると思いますし、作中で描かれる四季折々の
風景はどれも大変美しい。

「蟲」という奇跡に時に患い、時に生かされる人々の
喜びや苦しみが作品のテーマ性に沿って丁寧に描かれ、
アニメ作品としても非常に完成度の高いものになっていると
思います。

昨今のよくあるアニメ作品のように
「このキャラかわいいでしょ!?」
「このシーン泣けるでしょ!?」
などと、蟲師はこちらに押しつけて来ない。

ただひとつのテーマに何も足さない、飾らない。
素材の味と一つまみの塩だけで構成された日本料理のような
美学を感じ取れる作品です。

日常生活に疲れた時に観ると、フッと楽な気分になれる
ような気がします。

続章がもうすぐ始まるようなので、そちらも楽しみに
待ちたいと思います。

投稿 : 2014/03/07
閲覧 : 215
サンキュー:

7

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