「翠星のガルガンティア(TVアニメ動画)」

総合得点
88.0
感想・評価
2863
棚に入れた
14359
ランキング
134
★★★★☆ 3.9 (2863)
物語
4.0
作画
4.0
声優
3.8
音楽
3.7
キャラ
3.9

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ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

新しい世界での少年の成長

 テレビ本放送時は同時期に「革命機ヴァルヴレイヴ」、「銀河機攻隊 マジェスティック
プリンス」と大型ロボットを扱った作品が3本並んだためによく比較されていたが、SF色が一番
強かった印象なのがこの作品。
 他の大型ロボットもので多く見受けられる要素が希薄で、大型ロボットのチェインバーこそ
登場するものの、ジャンル的には大型ロボットものとして捉えない方がいいのかも。

 冒頭の「人類銀河同盟」とヒディアーズの宇宙戦争描写の迫力に引き込まれるが、そこから
舞台は一転して海に囲まれた世界となった地球に移動。この辺の舞台設定は映画「ウォーター
ワールド」を思わせるが、陸地がない世界の生活描写はなかなか興味深かった。
 宇宙の方が遙にスケールが大きいのに、人間であるがゆえにずっと密閉された生存領域で
過ごしてきたレドが海の広さに驚嘆してしまうのはもっともな描写であるが、なんか面白い。
 SFとしてはかなり細かい設定があったようで、ネット上などでも皆が色々な考察をして
いたが、1クールのためか、かなりの部分が曖昧なまま終了。視聴者の解釈に委ねる締め方は
嫌いじゃないが、答え合わせではないけど真相を知りたかった感もあった。

 SFとしての設定やガゼットが散りばめられているものの、ストーリーの主題はむしろ地球に
やってきたレドの成長譚といった印象。
 優秀な戦士であったもののあくまで命令に従うのみのレドにとって、ガルガンティアにおける
自分で自分の行動を決めるという生活はかなりのカルチャーショックだったみたい。
 そして、社会における自分の役割もかなり異なるもので、今までも「人類銀河同盟」という
共同体にこそ奉仕していたレドだが、あくまでレドという個と「人類銀河同盟」という
共同体との関係で、その共同体を構成する人々というものは、レドにとってあまり意識が
なかったみたい。
 一方のガルガンティアは初めに共同体ありきではなく、個が集まっての共同体といった要素が
強いため、共同体を構成する個を意識せざるを得ない。自分の行動が回りの人の役に立つという
経験は初めてだったのだろう。
 ガルガンティアでの経験によりレドが変わっていく過程はよく描けていたが、この辺も1
クールゆえにちょっと慌ただしい感もあり、ガルガンティアでの日常を中心にもう少しじっくり
見てみたかった感はあった。

 変わっていくレドだが、それでもヒディアーズ殲滅を第一義に考える信念は変わらない。
むしろ地球にもヒディアーズがいることを知った時、同じヒディアーズ殲滅でも自分の回りの
人々のためにヒディアーズを殲滅しようと考えているのが興味深い。
 ヒディアーズが元は人間であることを知ったレドは自分が信じていたものが根底から
崩されるが、要約すると「元人間であっても英知を捨てたヒディアーズは既に人間ではない」と
するチェインバーの発言も一理あるような。この辺は別作品の「新世界より」と絡めて考えると
なかなか面白い。(詳細は「新世界より」のネタバレになるから書きませんが)

 なかなか味わいのあるキャラが揃っていた感があるが、一番印象的だったのは人間ではない
チェインバー。
 人間的感情を持つような展開もなく、最後まで論理的思考に帰結していたが、それが逆に
愛らしさを感じさせるという、かなり魅力的なキャラだった。
 ラストを見るに戦士としてのレドだけでなく、人間としてのレドも支援していたのかな、と
いう気がした。

 脚本が虚淵 玄氏であったたため、悲劇的結末を覚悟していたが(こういう先入観は良くないの
だけど)、意外にもスカッとしたハッピーエンド。
 1クールゆえに詰め込み感や、逆に物足りなさはあったものの、総じて良くできたオリジナル
作品という印象。

投稿 : 2014/03/16
閲覧 : 237
サンキュー:

10

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