rurube さんの感想・評価
3.8
物語 : 4.0
作画 : 3.5
声優 : 3.5
音楽 : 3.5
キャラ : 4.5
状態:観終わった
逆転ホームラン
観ながら思った。
普通にまどかとほむらだけの肉欲の世界にすれば少しは哲学的になったんじゃないのかと。
そもそもTVの続編じゃないと思ってみてたのに途中で続きなのがわかり、じゃあまどかなんでいるのと思えば実はほむらの作った世界でした。
いやおかしいだろ、ほむらはまどかとセックスできれば満足なキャラなんだから二人だけの偏愛の世界描けよ。
そこで自分を求めるまどかと2人きりで暮らしてたら人間の欲望の醜さとそれでも幸せだという現実的な幸福、理性と本能という昔からある古典的な哲学的問題に出来たのに。
しかもこの話ちょくちょく辻褄が合わないシーンが出てくる。もしかしたら資料読めばおかしく無いのかも知れないが映画内だけだと間違いなくおかしい。なんでほむらがあの中では魔女になれるわけ。ほむらが観測できないならインキュベーターの目的であるほむらに接触する事できないじゃん。しかもその空間にいるものはほむらは作り物なのになんでオリジナルのほむらと同じ力があるみたいな話になってんの。ほむら以外は外から入っていたとしてもほむらだけは存在自体がTVの最後でブラフマンの様な宇宙真理になったんじゃないの?
厳密にいうとブラフマンになったまどかは存在自体が無いことになっているのにさやかちゃんはなぜ知っているんだ。ほむらが覚えているのもおかしいのに。
また映画としてひどい。最初の30分ぐらいまじでただのサービスショットだけでストーリーに影響が全く無かった。変身シーンとかストーリーに組み入れられなかったのか?
TV版が綺麗に終わったのに無理して映画作る必要ないし、ifストーリーにしてもう一つの物語にすればよかったのに。
と怒りからの逆転ホームランだった。
ほむらの欲望丸見えじゃん。いや素晴らしいよこいつ。本物の悪役だよ。
人として大事な倫理観みたいなもの全て失ってるよね。
またさやかが怒りマックスから好きな男がおはようって言われただけでほむらの世界を共用したからね。本当は皆自分が一番だもんね。そもそも夢叶えられるて言うのもみんな自分の欲望だけだったし。
唯一の正義の人まどかの思いも人の欲望の前には無意味だった。
まどかがほむらベットで捕まえたシーンは真面目にセックスシーンだよ。
自分の欲望で相手を汚したいって思いが伝わってきた。まどかの思いなんて自分可愛さに比べたら小さな問題だもんね。
TV版考えたら唯一の違和のない続編になっていたと思う。
本当に綺麗な話じゃないけど一番綺麗なラストになっていた。
次映画化されるとしたらデビルマンエンドしかない。ほむらがまどかを殺す事でしか話が終わらないしまどかを自分のものにする方法は他に無い。
{netabare}
欲望とは何か。
人には理性と本能があると哲学的には考えられている。よく人は理性的な存在だと言われキリスト教が快楽のためのセックスを禁止するのはこの為である。しかし、西洋でのペストの流行により新たな思想が広まったそれがルネッサンス時代の幕開けになった。その日から世界は肉欲的になったのだ。さらに近代管理社会の発展に対する反発として自由主義が広まりつつあると感じる。時代はさらに肉欲的なろうとしているのかもしれない。
しかしこの映画を観て違和感を感じえるのは果たしてそれで良いのかという疑問だ。他の方の感想を観るとラストが之で良いのかという疑問はまさにこの疑問と同じである。人類が肉欲的になる事は人がより本能的になる事のメタファーであり理性の軽視に他ならない。しかし理性的に生きる事は欲望からの離脱を意味する。果たしてそれは生きていると言えるのだろうか。
人は幸福を追求する権利を有して生まれたはずなのだ。結局は折り合いの話でしかないが人はどう生きるべきかの話に繋がる始原的な問題をこのアニメは語っている。
このアニメは最後に社会に対して直接的に表現して欲しい。難しい表現ではなく正義や倫理が人の欲望によって埋もれるのだと。真面目にまどかをレイプして終わらせるべきだと思う。そこまでする事によって初めてほむらに対する殺意と崇高性という反目する感情が生まれると思う。{netabare}