蓬(Yomogi) さんの感想・評価

3.7
物語 : 4.0 作画 : 3.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態：観終わった

タイトルなし

原作が特殊な設定を駆使した意欲作なのでアニメ化は難しかったのかもしれないが、全体的に色々な残念な印象。

まず作画が回ごとに不安定でクオリティにムラがあった。
A１ピクチャーズはこの作品の優先順位が低いとの噂を聞いたが、なんだか真実味を感じてしまう出来だ。

演出も回によってムラがあり、統一感があまりない。演出家が原作読んでいないのでは？
不穏な空気だけはわかるのだが監督はこの作品をどう見せたいのかがいまいち感じられない。ホラーテイストだけ統一しているような感じがした。

構成については主人公の視点固定なので舞台が固定して時間経過を連続にされると展開がダレる。

シナリオも原作からの抽出が上手くなく、ミステリーの伏線張り、回収に全く不慣れな感じ。興ざめな展開がある。また引っ張り過ぎなのでオチが分かる。

しかしながら全体の世界観はやはり上手い。
そこで語られる物語も常に視聴者の見方を翻弄する作りだったと思う。
最後のバケネズミの正体については、貴志祐介は実にいやらしい作家だと思った。

こういう話がアニメで見られることはなかなか幸運ではないだろうか。
「見方」「立場」そうういう固定観念に支配され狭い視野でしか物事を考えられない人間に対する皮肉が効いている。
想像力が欠如した人間にだけはなりたくない。

余談だが、最終回のあとのCMがバケネズミを退治するゲームだったとき、昔の北米版ナウシカの王蟲を退治するゲームを思い出したのは私自分だけ？