「カールじいさんの空飛ぶ家(アニメ映画)」

総合得点
61.8
感想・評価
70
棚に入れた
342
ランキング
5100
★★★★☆ 3.6 (70)
物語
3.6
作画
3.8
声優
3.5
音楽
3.5
キャラ
3.6

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ネタバレ

無毒蠍 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

老いてから初めて知る世界がある。人生それ即ち「冒険」である byカール・フレドリクセン

冒険家チャールズ・マンツに憧れていた少年カールが
同じくチャールズに憧れる少女エリーと出会い後に結婚。
穏やかで幸せな日々を過ごしながら老けていきエリーは亡くなります。
子供のころエリーと交わした約束を果たすために無数の風船で家を飛ばし旅に出る物語。

カールは子供のころは無口でオドオドした性格だったのに
エリーが死んでからは典型的な頑固爺さんになってるんですよね。
家の立ち退き問題を発端に傷害事件を起こしてしまったり、
エリー亡きあとは彼女との想い出が詰まった家だけがカールの宝物になってました。

エリーはカールとは真逆によく喋り行動的で血気盛んな少女でした。
そんな彼女もカールと結婚し段々と落ち着いていったように感じます。
冒頭はカールとエリーの出会いから結婚して
エリーが亡くなるまでを穏やかに描写してくれていて
彼女の出番は全体の割合で言うと少ないのですが印象に残る存在になってます。
結婚生活を一切のセリフなくシーンだけで描写していくのが素敵な演出でした。
この演出の効果か穏やかな空気感があって、
こんな幸せな日々を過ごせたら…などと素直にそう思いました。
カールがエリーを失って偏屈になってしまうのも少しわかるかも…

かつてチャールズ・マンツという偉大な冒険家はパラダイスの滝という場所で
怪鳥の骨を持ち帰り話題になりましたが偽物と断定され名誉と誇りを失いました。
カールの目的地は何を隠そうパラダイスの滝なのです。
空飛ぶ家に爺さん一人に少年一人…
ちょっとした成り行きでラッセルという男の子までついてきてしまい
二人の冒険が始まります。
このラッセルという少年は小太りなんですが
とてもキュートな男の子ですね。
日本のアニメが描く肥満少年はマイナスなイメージが多いですが
ラッセルは卑屈な印象はなく明るく素直で活発な男の子です。
最初は厄介者にしか思ってなかったカールが
ラッセルと絆を深めていく展開も王道ながらよく描けており面白かったです。

あと見応えがあったのはカールじいさんのアクション!w
かつてカールが憧れていたチャールズ・マンツは、
己の名誉と誇りを取り戻すためにパラダイスの滝で怪鳥を探していたんだけど
カールとチャールズが怪鳥をめぐって対立するんです、
その時のアクションシーンが老人だからこそというか腰痛めたり、
身体がギクシャクして思うように動けない二人の争いがユニークでした。
なかなか老人をメインに据えたアニメでアクションというのは見れないから新鮮だったね。
実写でやろうにも難しいでしょうし、
アニメだからこその老人アクションと言えるかもしれません。
冒険とは元来、探究心や志からくるロマンを追い求める単なる遊びだったはずなのに
チャールズはいつからか冒険する心を忘れ、
名誉と誇りを取り戻すことに固執する狂人となってしまったんだね…
カールは逆にラッセルたちとの触れ合いによって
エリーとの想い出への固執から抜け出すことが出来ました。

エリーが幼いころより書き溜めてきた「冒険ブック」
後半のページは空白で、
かつて彼女は私のこれからの冒険を書いていくと胸を張って言ってたんだけど
エリーが亡くなり、カールが後半のページを見てみると
そこにはカールとの結婚生活の写真がいくつも載せてあったのです…
エリーにとってはカールと過ごした日々が
どれも新鮮でワクワクしてドキドキして冒険そのものだったのかもしれません。

エリーがカールに残したメッセージ。

「新しい冒険を始めて!」

それを見た瞬間カールはエリーとの想い出が詰まった物をかなぐり捨て、
単身チャールズに挑むのです!
この爺さん齢78にして熱すぎます。
想い出は胸の中に…

老人が空飛ぶ家でロマンを追い求めるという設定勝ちな作品。
老人だからこそ描ける世界観がたしかにこの作品にはありました。
もし若者だったら内容が薄っぺらく感じてしまうかも…
老骨にムチを打ってロマンを追い求める姿は
アニメーション界のインディ・ジョーンズと呼ぶに相応しい!

【A80点】

投稿 : 2014/04/28
閲覧 : 516
サンキュー:

6

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