「魔法少女まどか☆マギカ(TVアニメ動画)」

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ネタバレ

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★★★★★ 4.7
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

祈りと呪い!表と裏!善と悪!生命という物が地球にもたらされ、曲がりなりにも知性というものが備わった時から、それは定められた因果なのかもしれない・・・。生と死のように・・・

※いきなりネタバレが連発します!ネタバレが嫌な人は見ないで下さいね!



貴方の願いは何ですか?

貴方の望みは何ですか?

その願いや望みを叶える為に、血の滲む努力をしていますか?

その願いや望みを叶える為に、大切な物を捨てられますか?

そこまでしたのにも関わらず、それでも願いは一切叶わず、血の滲む努力や大切な物が「全て無駄」になり、二度と取り返しが効かないのだと知ったら・・・。

貴方は何を怨みますか?

貴方は誰を怨みますか?



別に怨んだりしねーよ!って言われるかもしれませんが、心から現実に絶望して因果の重さを自分一人で支え切れなくなった時、必ず矛先は自分以外の「何か」に向きます。

それが生まれなのか人なのか体制なのか世界なのか・・・。

因果を一人で支えきれなくなって、他の何かを嫉んだり、他の誰かを妬んだり、誰かの不幸にほくそ笑んだり・・・。

それって、すでに魔女化寸前ですよね!




「全ての魔女を、生まれる前に消し去りたい!」
「全ての宇宙、過去と未来の全ての魔女を、この手で・・・。」

「神様でも何でも良い!」
「今日まで魔女と戦ってきた皆を、希望を信じた魔法少女を、私は泣かせたくない!」
「最期まで笑顔でいて欲しい!」
「それを邪魔するルールなんて、壊してみせる!」
「変えてみせる!」

「これが私の祈り!」
「私の願い!」
「さぁ!叶えてよっ!インキュベーターッ!!」


新しい宇宙と世界の創造主となった「まどか」であったが、新しく創造した世界は「本当に君が望んだ世界」だったのかいっ?

依然としてインキュベーターも魔法少女も存在し、魔獣なる新たな「敵」を討伐している。
さやかの運命を見る限りでは、新たな世界も魔法少女は報われない存在のように見えるのだが・・・。


「例え、魔女が生まれなくなった世界でも、それで、人の世の呪いが消え失せる訳ではない!」
「世界の歪みは形を変えて、今も闇の底から人々を狙っている!」

「悲しみと憎しみばかりを繰り返す、救いようのない世界だけれど、だとしても此処は、かつてあの子が守ろうとした場所なんだ!」
「それを、覚えてる!」
「けして、忘れたりしない!」
「だから私は・・・」
「戦い続ける!!」


トラウマと更なる因果、最高の友達の想いと新たな覚悟を背負って戦い続けるほむらの心情は、哀しみの中に、ほのかな喜びすら感じる。

「頑張ってぇ・・」

「うん・・」


魔法少女になることを決意したまどかは、もちろん純粋に「魔法少女の祈りを絶望で終わらせたりしない。」という想いで祈ったのだろうし、「貴方たちは誰も呪わない。祟らない。因果は全て私が受け止める。だからお願い。最期まで自分を信じて。」と祈った心に、嘘偽りなど微塵も無かったハズである。
ほむらに新たな因果を背負わせるつもりなども毛頭無かったハズなのだ!

まどか一人が受け止めた宇宙や過去・未来の因果は、宇宙全体を滅ぼし改編してしまうくらいの途方もない膨大な物だった訳だが、改編後の世界も人々の悲しみや憎しみは消える事がなく、その呪いが新たに『魔獣』という形で具現化するに至ったのであろう。

魔法少女が魔女と化して、他の魔法少女に狩られ、その魔法少女の絶望という穢れを祓うなどという、かなり酷たらしい状態から考えれば、改編後の魔法少女は「戦時中の志願兵」のような状態で、まだマシにはなってるようには感じるが・・・。

それだけ改編後の人間も、欲や希望や願いや祈りが多く、その強い想いが『「嫉妬や悲しみ・憎しみ・怨み」を生み出す原動力になっている』という事なのでしょう!

人間が欲や希望や願いや祈りを持つ限り、永遠に消える事は無い、背負い続ける『因果』という事ですねっ!




まどかは、自分が背負った膨大な呪いでブラックホール並の強大な魔女と化した自分自身を、自らの手で消し去った。

ほむらも、自らの手でワルプルギスの夜を消し去ることが出来たのなら、また違った未来や世界が開けたのだろう。
それを望んだからこそ、ワルプルギスの夜は毎回、見滝原の上空に現れたのだと思う。
ほむら同様に、ワルプルギスの夜自体も気づいていなかったハズだが、ほむらが繰り返せば繰り返すほどワルプルギスの夜の因果も増して行き、ワルプルギスの夜の力も増し、永遠にほむらに消し去られる事は出来なかったであろう。という事を・・・。

どのような時間後退の仕方をすれば魔法少女と魔女を同じ時間軸の同一線上に具現化出来るのかは分かりませんが、ワルプルギスの夜は『魔女化したほむら』と捉えるのが一番自然なように思えてならないのです。


決して他力本願ではない願いや想いを自らの努力で叶え、本懐を遂げられなかったとしても、自らの力で受け止めて、納得した上で消化出来さえすれば、因果は自分以外には影響を及ぼさない。

人間は自らの力では叶えられないであろう事を、切羽詰まった強い想いを受け止められなくなった時、「祈り」という手段で他力にすがろうとする。

怨み自体は決して自分だけが原因で生まれる感情ではないが、自らが受け止め切れるだけの力が有れば、怨むという思考を外に振り撒く事は無いだろう。

外に振り撒いた段階で、自分ではない「何か」に怨みの矛先を向けているからである。

それも自分勝手な他力本願の形に他ならない。


表と裏。善と悪。祈りと怨み。生と死。

表裏一体な因果の形。



実は自己犠牲を元に他力本願にすがったのは、まどかの方だった。

ほむらは元々の自らの願いと、まどかの願いが一致した為に、迷路に迷い込んでまで、まどかを救おうと必死になって行動し、何度も何度もワルプルギスの夜と戦って敗れた。

そんなほむらの自分への強い想いと悲しい結末を知ったまどかは、自分しか出来ない・自分だからこそ出来る方法で、ほむらを家族を魔法少女達を救おうと決意する。

因果はめぐる・・・。

自らの他力本願を自ら受け止め、全ての魔法少女達の祈りをも受け止めて、途方もない質量の魔女となった自分をも自らが消し去った。

その最高の友達の覚悟を目の当たりにしたほむらは、その覚悟を受け止め、今度は自らの意志でのみ『魔獣』と戦い続けると決意するのである。

最高の友達の覚悟と同等の覚悟を持って・・・。


自らが因果を受け止められる世界!

それが、まどかが望んだ世界だったのでしょうか?











好きで何回も見返していてストーリーを熟知している作品を「最終話から1話目に向かって逆の順番通りに」見返した事は有りますか?

ちょっと謎めいたストーリーの作品で、数回見返している作品にはお薦めの視聴方法です!



主に最終話を軸にした感想になってしまったので、クドイ言い回しが多くなりました。



好き過ぎて感想が書けずにいた作品が何作か有るのですが、この作品がその代表作だったんです。

投稿 : 2014/09/14
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