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「バースデー・ワンダーランド(アニメ映画)」

総合得点
64.5
感想・評価
53
棚に入れた
189
ランキング
3651
★★★★☆ 3.3 (53)
物語
3.0
作画
3.8
声優
3.1
音楽
3.5
キャラ
3.2

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バースデー・ワンダーランドの感想・評価はどうでしたか?

ネタバレ

てとてと さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 2.5 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

児童文学の異世界ジュブナイルで魅力が多い良作だが、ヒロインの交流ドラマがやや惜しい

内気な女子小学生と奔放なおばさんが、異世界を旅する冒険ファンタジー。児童文学原作で115分の劇場アニメ。
※作品データベース様より若干修正

【良い点】
あんまりシリアスな戦闘やギスギスが無い、女の子向け児童文学らしい、ユルい冒険ファンタジー感。
キャラ間のやりとりがコミカルで全般的に楽しい。特にチィちゃんのセリフと、ヒポクラテスがハエにされる件など随所に笑い所あり。
主人公アカネちゃんが異世界を旅して成長して帰ってくる、行きて帰りし物語の基本に忠実。
ストーリーや世界観説明が丁寧で分かりやすい。

直接的な戦闘シーンが皆無でありつつ、敵コンビの危険なアウトロー感で適度に緊迫感出してたり、
砂嵐や吊り橋自動車渡りなど適度なハラハラ感で飽きさせず。

主人公のjCよりも、子供っぽく無邪気なおばさんの魅力が高い。大人も冒険できるんだ的な感じが良い。
小人のピポ可愛かったり、敵コンビもキャラ立っている。主人公以外が個性的で魅力的。

異世界は蒸気機関や機械文明でありながら、昔ながらの穏やかな生き方が息づく、一種のユートピア。
近代文明批判な側面もあれど、あまり社会派臭は感じさせないユルい塩梅。テーマの弱さはむしろ好ましい。
自動車で旅しながらバリエーション豊かな自然のファンタスティックな異世界を冒険する、ただそれだけで楽しい。
明快なテーマやメッセージは乏しいが、自然体で作品に込められた理想郷を体験させてくれるタイプ。

ジュブナイルとしては主人公に主体性が弱く、明快な成果が見えづらいタイプだけど、
冒険の日々はアカネちゃんをいつの間にか成長させていたのは違和感無い。
村長母のセーターのイベントとか、こういう無駄に見える回り道の積み重ねがあながち無駄ではない。
この世界の人々の価値観や、子供だったアカネの視野を広げるきっかけになっていくので。
実はアカネ母も…は異世界ジュブナイルの王道お約束だし、本作の場合既に大人であるチィちゃん視点でも純真さ失わない良さを見せた。
意地悪く見ると曖昧な物語だけど、曖昧さを許容するのが児童文学かも。少なくとも悪い物語ではなかった。

作画は綺麗でファンタスティック。自然と機械文明の理想的調和や、細かい生活感など丁寧。
キャラデザはクセがあるが悪くない。

【悪い点】
アカネちゃんが地味。巻き込まれ型で主体性が中々見えず、存在感でチィちゃんに食われていた。
道中のイベントでも積極的に交流出来ていないため、成長の成果が見えづらい。
好意的に見れば曖昧であっても成長の糧に出来ていたと分かるけれど、分かりづらくはある。
終盤のセリフによる総括も唐突感。
救世主たる立ち位置も活かし方が終盤で唐突。

敵の王子との交流掘り下げがほぼ無いまま共感していく流れも唐突感。
もっと早い段階で王子と敵対含めた交流積むべきだった。
王子が異世界破壊?したがっていた動機も理由は分かるものの、やはり唐突感。
王子だけでなく、ピポも含めて心の通った交流が乏しいため、別れの惜別感も弱い。

良い点と裏腹、戦闘や交戦イベントがほぼ無いため、道中ドラマが地味。

声優陣は棒読みだけど許容範囲。声は慣れる。とはいえ、アカネ役はjCぽさが薄かった。

キャラデザのクセは悪くはないが、萌えは無い。

【総合評価】6~7点
児童文学の異世界ジュブナイルとしては魅力が多い良作だけど、アカネちゃん関連のドラマが弱いため地味に感じる。
アカネちゃん視点のドラマがもっと良ければ「とても良い」だった。
地味だけど自分好み。評価は「良い」

【余談】
ベルリンの壁が崩壊する前の物語だとセリフで分かる。
こういう時代性感じさせる要素好き。

(ステレオタイプな恐れを承知で)女性的な脚本というか、明快さや、論理的にテーマを設定するのではなく、
曖昧なフィーリングの中で大らかにいつの間にか得るモノがあれば良し、的なタイプの作品。
例えば2021年TVアニメ「白い砂のアクアトーブ」も、細かい点が至らないけれど、全体通してまぁいいか、と許容できる。
全くタイプの異なる作品だけど、こういうユルい女の子成長劇も悪くない。

投稿 : 2023/09/05
閲覧 : 39
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1

ネタバレ

shino さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 3.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

童話の世界

原恵一監督、Signal-MD制作。

児童文学からのアニメ化。

自分を持てない少女アカネの前に、
謎の錬金術師と小さな妖精ピポが現れる。
骨董品屋の地下室の扉で繋がる不思議な世界。
彼らの世界を救うため少女の冒険が始まる。

扉の向こうはカラフルな色彩の世界で、
そこには不思議な住人が暮らしている。
歴史では蒸気機関は発明されるも、
どうやら科学が発展しなかった世界だ。
{netabare}人々は便利さの追求よりも、
穏やかな生活を選んだのでしょう。
児童文学ならではの緩やかな主題があります。
アカネは緑の風の女神となり、水が枯れ、
色が失われつつある世界のために前へと歩む。{/netabare}

子供の目線で世界を眺めてみる。
大人たちが忘れてしまったものを、
未完成である子供たちは知っているのだ。
彼らは透明な窓を持っているのでしょう。
きっとありのままに世界を眺めている。
監督らしい主題がここでも健在ですね。

純粋に楽しむには少し生き疲れたけど、
児童文学ですから素直な心で楽しめればと。

童心の心象風景、童話の世界、
私たちにも未だ冒険の舞台があるのです。
それで良いのではないでしょうか。

投稿 : 2023/08/18
閲覧 : 799
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38

nyaro さんの感想・評価

★★☆☆☆ 2.0
物語 : 2.0 作画 : 2.0 声優 : 2.0 音楽 : 2.0 キャラ : 2.0 状態:観終わった

原作付の意味が無い。テーマがあって物語が無い。面白く無い。

 題名から言って、もうちょっとスタイリッシュな話かと思っていましたが要するに成長課題でした。

 要約すると事なかれ主義、長いモノに巻かれる性格の主人公が、冒険をすることで主体性を得る話です。ヒロインとの対比が叔母さんで非日常、変わったもの、不便な生活を愛するいわば旅人属性とでもいえる人でした。

 一方で王子の側ですけど、ノブレスオブリージュ、つまり身分の高い人間が課せられた義務とも取れますが、家とか伝統とういう話より「失敗を恐れて努力と挑戦を放棄する」という事かなと思います。

 そして魔法使いの友達同士の話もありますが、これは劣等感の話でした。

 とまあ、テーマは分かりやすいほどわかるのですが、じゃあそれがストーリーになっていたか?ですね。

 冒頭のイジメについて、その後の冒険で読み取れるものはあったか?叔母さんのマインドに、ヒロインは触発されたのか?王子がチャレンジを決心したきっかけは?魔法使いの少年が友情を取り戻した理由は?科学というか別の方法を試すのは駄目なのか?科学と自然の対比に意味は?敵がペストマスクをしていたのは?羊の意味は?お土産物屋の得体のしれないお土産の意味は?

 ネタバレの部分は触れませんが、もっとツッコミどころは沢山あります。
 伏線回収の意味ではなく含意があるかどうかを問うています。映画である以上隅々まで考えが及んでいるべきだし、楽しさだけの問題なら無駄なので編集して違う楽しさを出せばいい話です。

 整合性というよりは納得感が薄いです。人物の内面の動きがまったくトレースできません。ですのでキャラに全く乗れません。
 テーマを描くだけ描いて物語に変換できていない感じです。アニメ映画でテーマ性を出そうと思えば、一旦全部物語にする必要があると思います。しかも、面白い(感動や興味深いと言う意味も含めて)話にする必要があります。

 面白さの為には設定やイベント、見せ方などはもちろんですが、やはりキャラがどう動くかは大きな要素だと思います。
 この映画は、テーマばかり押し付けてきて、物語とキャラにまったく魅力がなくなってしまいました。

 そもそもこの作品80年代の児童文学を原作にした意味があったのか?例えば「ジョゼと虎と魚たち」については、原作は80年代ですが、実存主義的な世界観の中の女性の抑圧とか身勝手な男の性のような話だったのが、アニメでは身体障碍者の自立とは?社会がすべき真のケアとは?という視点を持ちつつ優れたラブストーリーに昇華できていました。

 そういう思想や社会の変化を視野にいれつつ、元の物語のテーマを換骨奪胎して、もっと優れたものに昇華しようという意図があるからこその古い原作だと思います。

 最近見た中では「コクリコ坂」もそうですけど、古い作品の設定だけ持って来て、意味のない現代風アレンジをするだけならオリジナルでいいじゃないですか。しかも「バースデイ」は生まれ変わりなどの意味があるかもしれませんけど浅いですよね。

 あと雪が降って蒸気機関があるなら、蒸留すればいいじゃんと思うし、そもそも蒸気は産業革命の象徴でそこで世界が停滞する意味が分かりません。止めるなら蒸気機関発明の前だと思うし、じゃあ、そこに含意があるかといえば魔法と錬金術を見せたかっただけです。

 子供向けの作品だとしてもこれは子供騙しになってしまっています。子供だからこそ、本物の面白さの中にテーマを見出すと思います。
 それと子供向けならせめて人物は手書き作画でやってほしいなあ。背景はCGだとしても。

 オール2を基準に調整を考えざるを得ないかなあ…加点は…うーん、無し?声優さんは東山奈央さんの少年の声は良かったですが、作品の水準からいってあまり加点したくないなあ。

 本当に疑問は、これは作家性で監督とか企画者が「こういう話が作りたい」という気持ちから作られた作品なんでしょうか?
 アニメの世界って本当に不思議なんですけど、企画会議とか脚本審査とかないんでしょうか?もし私が出資者ならラフでいいので絵コンテまではないと、怖くて金を出せません。どっかの段階で修正入らなかったの?と思いました。


 追記 唯一いいなあ、と思ったのが「光る虫」でしたね。この含意と使い方は良かったと思います。

投稿 : 2023/08/18
閲覧 : 171
サンキュー:

6

ねるる さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.9
物語 : 2.5 作画 : 4.5 声優 : 3.0 音楽 : 2.5 キャラ : 2.0 状態:観終わった

彩り豊かな世界観に癒される異世界冒険ファンタジー作品。

原作小説未読。上映時間115分の劇場公開作品。

小説『地下室からのふしぎな旅』を原作とし、監督は、クレヨンしんちゃんの映画監督などで有名な"原恵一"が務める。

自分に自信の無い主人公が、ある日地下室から繋がる異世界へ連れて行かれ、危険にさらされるその世界を救うため冒険するファンタジー作品。

とにかく彩りが豊かでカラフルな世界観でした。嫌なカラフルさではなく、自然の花や草、水、雪、人々が生活する上での服や、食器など細部に至るまで柔らかくてあたたかくなるような優しい彩りの美しさを感じました。
骨董屋においてある小物類や、異世界の住居の家具などまで丁寧に描かれて、こうゆう場所に住みたいなって思いながら見てました。特に好きだったのは光の指す綺麗な水の中で魚たちと泳ぐシーン。憧れる。

ただ、物語については主人公の必要性というか存在感が薄かったのが残念でした。心理描写が少ないので、ずっと文句いってるイメージしかなかった、明るいおばちゃんがいるだけで成り立つよなーと思って見てた。
物語のキーキャラの王子についても、存在感がこれまた薄く、重要な人物なのに物足りなさがありました。後半物語は大きく動くけど、世界の危機っていうどデカい軸に対して解決と理由の根拠があっさり展開してしまい肩透かしくらった感じ。子ども向けのファンタジーであれば充分なのかもだけど、もうちょい欲しかった。

声優に関して、松岡美優さん、麻生久美子さん、杏さんなど声優ではなく女優さんが演じてますが、そこまで違和感なく視聴出来ました。

彩り豊かな世界観で、異世界の色んな場所を旅するお話なので目では充分に楽しめましたが、物語の内容に関しては物足りなさを感じました。
内容はイマイチですが、こんな感じの美しい世界でゆったり穏やかに暮らしたいな~って思える、息抜きにはまあまあ良い映画でした。

投稿 : 2022/10/31
閲覧 : 116
サンキュー:

8

ネタバレ

ハウトゥーバトル さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.4
物語 : 1.5 作画 : 3.5 声優 : 1.5 音楽 : 3.5 キャラ : 2.0 状態:観終わった

誕生日こそ勇気を

この話は誕生日になんかどっか連れてかれた話
まぁなんでしょ
オリジナルアニメ映画らしい、非常に平凡な、もしくはそれ以下の作品ですね
正直劇場版以外のアニメ映画は全て俳優声優だと思っているので、そこに対しては深く突っ込みません。
がしかし、問題はそのストーリーにあります。

ストーリーとしては「女子高生がある理由で昼間から骨董品店に出向いたら異世界に連れてかれた」
そんな話。どこかの「勇気物語」と似たような感じですが、あちらは男子小学生、こちらは女子高生ということで差別化出来てんじゃないでしょうかね。知りませんけど

「勇気物語」なんて知らねぇよ!
という方、安心してください。どっちにしろつまらないことには変わりありません。
映画、という割と短い時間にも関わらず、呑気に世界観を説明したり、登場人物を掘り下げたり、と随分悠長な時間の使い方。その癖に展開的には薄い。非常に薄い。{netabare}バックれた女子高生がお使いで骨董品店行ったら異世界に連れてかれて、異世界にて錬金術師と骨董品屋と共に伝統儀式を完成させようと奮闘したら、邪魔してきたやつが王子でした。{/netabare}アホくさ、の一言ですみます。こんな物語上手くやれば30分以内には絶対収まるはずなのに。
薄い展開に拍車をかけてるのが物語のラスト。「だからなんやねん!」
正直、終盤はみんな疲れてたんじゃないでしょうか。もしくは勇気物語を参考にしたか。どっちにしろ終盤のテキトーさはアニメ映画とはいえ酷いものでした。

褒めるべきところは…
私には思いつきませんが、きっと何かしら面白かったのでしょう。なんせ賞をとってるんですから。私にはきっとわからない面白さがあったのでしょうね…

監督は原恵一さん。クレしんの方ですね
脚本は丸尾みほさん。
キャラデザはイリヤ・クブシノブさん
劇伴は富貴晴美さん。ピアノの森の方ですね
アニメ制作はシグナル・エムディさん。ネト充のススメの所ですね
配給がワーナー・ブラザーズなんですね。ビビりました。

作画は悪くありませんでした。ですが、あまりキャラデザが好みではありませんでした
主題歌はmiletさんの「THE SHOW」

ブレイブストーリーと同じものを感じますね

投稿 : 2022/08/01
閲覧 : 113
サンキュー:

2

ネタバレ

haruto さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

2021.12.12

2021.12.12

投稿 : 2021/12/12
閲覧 : 150
サンキュー:

0

ato00 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.8
物語 : 2.5 作画 : 4.0 声優 : 2.0 音楽 : 3.0 キャラ : 2.5 状態:観終わった

薄味アニメ

どうも、平成最後の映画らしい。
まあ、それは置いとくとして。
あらすじを超ザクっと説明します。
不思議の国の普通の少女・・・以上です。

普通過ぎて、観終わった後の余韻が残りません。
癒しもないし、インパクトもない。
もちろん、感動もないし、興奮もない。
のっぺりとした平常心あるのみです。

良い所を探すと・・・。
残念ながらありません。
作画やキャラデザも普通だし、声優さんは問題外。
ストーリーも平凡でキャラの魅力も乏しい。

なにはともあれ、主役の声優さんの棒読みが気になりました。
最初から最後まで「あちゃー」って。
アニメ映画でありがちな判で押したような薄味の演技。
制作者の大失態です。

投稿 : 2021/05/15
閲覧 : 237
サンキュー:

11

三毛猫メリー さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

前のめりの錨

2021.1.8 視聴完了。

昨日たまたまこのアニメを見つけ
私的にドンピシャなタイミングだったので視聴しました。

結果としてまあまあな作品かなと思います。
すこし冗長なのですが、儀式のためなら許します。
そのシーンは見て損は無いと感じました。

余談ですが儀式後
600年を必死に換算したのは私です。

投稿 : 2021/01/08
閲覧 : 231
サンキュー:

10

pikotan さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 3.0 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

年代問わず楽しめるロードムービー

映画サイトを見ても評価が芳しくないので期待しないで視聴しましたが、私的にはとても面白い作品でした。
なぜ評価が低いのか不思議です。公開時期に強力なライバル作品が多数あったのも本作が低迷した一因かも知れませんね。

さて、私が気に入った点の一つは、引っ込み思案の主人公アカネと自由奔放で旅好きのアカネの叔母であるチイ、その二人を異世界に招いた錬金術師のヒポクラテスと弟子のピポ、この4人が異世界を救うまでの過程(旅路)が良かったですね。
チイとヒポクラテスのやり取りとか小さな笑いが結構ありました。

異世界の危機を救うタイプの作品は沢山ありますが、そういう作品の多くは敵を倒すことに比重が置かれたアクション系になると思います。
対して本作は主人公アカネが嫌々巻き込まれた冒険の中で少しづつ言動が変わっていく、成長していく様に比重が置かれていて、アクション系ではなくどちらかと言えばロードムービーなんですね。
なので意外とのんびりした雰囲気が漂っていたりします。
ネタバレになるので書きませんが、実はアカネの母ミドリも物語に深く関わっています。
鋭い人は序盤で気づくかも知れませんが、私は深く考えないで観ていたので最後に事実を知って驚きました。

二つ目のお気に入りはイリヤ・クブシノブさんのキャラクターデザインです。
これまで観てきた他のアニメ作品とは異なるデザインが新鮮でした。
特に眼が魅力的というか引き込まれる感じがします。

三つ目のお気に入りはmiletさんが歌うテーマソングです。
CMでも流れていたサビの部分は特にお気に入りです。
クライマックスのシーンで曲が流れたときは感動的でした。

本作に関しては特に不満な点は無いですね。
敢えて挙げるなら主人公の声が下手で初めは少し気になりましたが、途中で馴染んでしまって案外違和感なく観れました。

原作が80年代の児童書のため今となっては平凡なストーリーかも知れませんが、それ故に子供から大人まで年代問わず観られる良作だと思います。

投稿 : 2020/11/21
閲覧 : 281
サンキュー:

9

順順 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.1
物語 : 2.5 作画 : 2.5 声優 : 1.0 音楽 : 2.5 キャラ : 2.0 状態:観終わった

CVが壊滅的

予告の時点で期待はしてなかったけど、
CVがクソ過ぎる。
聞き取りづらい、まごまごしてる。
喋り出しとか特に酷い。

人の動きや顔の動きがぎこちなかった。
ストーリーや展開は単純で、設定はかなりゆるい。

投稿 : 2020/03/03
閲覧 : 190
サンキュー:

0

ネタバレ

郷音 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

アカネは、幸せ色の国へ!それは、失くしていた“宝物”を見つける感動の冒険――

2019年公開映画。

普通の女の子が地下室からワンダーランドを救うことになるストーリー。

クレしんオトナ帝国の監督最新作!大人が泣いた!という謳い文句に誘われてみたけど、うーむ今回は泣くような話じゃなかったかな

かなり宣伝とか頑張ってたけど拍子抜けでした

{netabare} 最後の実はお母さんがアカネの前に行ってましたっていう伏線回収はマジか!ってなりました

あとラスト付近、ピポ(CV:東山奈央)の「チュ♡」を聴けた耳が幸せ {/netabare}

投稿 : 2019/07/28
閲覧 : 244
サンキュー:

5

ネタバレ

E=mc² さんの感想・評価

★★★★☆ 3.4
物語 : 2.5 作画 : 3.0 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 2.5 状態:観終わった

予告の劇伴に惹かれて久々に映画館に足を運んだ

監督はあの名作品を手掛けた人物だけあって大きな物語の破綻は見られなかった。
が、原作のダイジェストを見せられてる感は否めない。原作見たことないのに。
1番惹かれた劇伴に関しては、音楽自体はいいのに所々入りが甘いというか雑な部分が目立つ。{netabare}(砂漠のシーンとか特に){/netabare}

ストーリーに関して言えば、良く言えば無難であったと言えるが、細かな部分が雑であったとも言える。まず無駄な部分が強調されている。{netabare}まず物語りの序盤のおばあちゃんのセーター、あんだけ大ごとな問題っぽく演出しておいて品評会のシーンすらなく終わり方も雑。盛り上げるだけ盛り上げて放り投げられてる感じがした。また、とってつけたような防寒着の下り、というかそもそも砂漠のシーンが本編となんら関係なく、OVAで別にしてもいいくらい。さらに言えば序盤のヘアピンの下りはそもそも訳がわからん。{/netabare}
風呂敷を広げ過ぎて回収しきれなくなっている感じが否めない。
また、何事も不真面目?な主人公が不思議な世界を通して成長していくテンプレストーリーを描きたかったのだろうが、そんなに主人公が成長していく描写が印象に残らない。強いて言えば{netabare}ラストの王子を止めるために抱きつくシーンくらいか。{/netabare}
個人的に気になったものとしては{netabare}2人が井戸へ落ちたシーンにおいて、突然魔法使い(名前忘れた)が現れ、地上に舞い戻ったが、あれはタイムリープという解釈で良いのだろうか。
原作改変になるかも知れないが、どうせなら序盤でお姉さんに卵を守って貰った鳥が、井戸へ落ちるギリギリのタイミング助けてくれるような演出でも良かったのでは、とは思った。{/netabare}何度も見返せば考察できるのだろうが、正直あまり気が乗らないのでそういうことにしておく。

とまぁ批判ばかり述べているが、劇伴や挿入歌は好みとマッチしていたし、特別下手な声優もなかった。細かい部分が気にならないのなら良いのかも。

投稿 : 2019/05/20
閲覧 : 285
サンキュー:

6

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.5
物語 : 1.5 作画 : 3.5 声優 : 2.0 音楽 : 4.0 キャラ : 1.5 状態:観終わった

とてもワンダー

とてもワンダーでした
すごいワンダーでした
ワンダーランドでした
いい勉強になりました

投稿 : 2019/05/18
閲覧 : 193

みのるし さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 3.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

はっぴいえんどに満足しない自分と戦う映画です

いやそれはまあウソですけども。

いずれにしてもこのハナシは例えば児童文学なんかで大人がけっこうハマるとゆうか感動するお話とゆうのんではありません。

いやまあ原作はほんまはどんなんか知らないですけどね。

ハナシも超わかりやすくて、演出は言うに及ばず、キャラも立ってて絵も芝居も音楽もサイコウなのですが、もうこれ以上ないってぐらいにはっぴぃえんどなんですな。

映画館でエンドロール見ながら『なんやえんえんと幸せやんけ』と思わずゆうてる自分がいてまして。


・・・焦りました。


だって人の幸せを見ても自分が幸せにならないって気付かされたわけですから。

なのでそおゆうゲスいやつはこの映画を見たらあきません。


人にやさしくできる思いやりのある人にお勧めです。


ボクももうちょっと進化した人間になったら改めてもう一回見ようと思います。

投稿 : 2019/05/14
閲覧 : 368
サンキュー:

10

けいP さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

タイトル梨

小学生とその叔母さんの異世界冒険。

キャラデザはロシアのイラストレーターの人らしい。

投稿 : 2019/05/08
閲覧 : 233
サンキュー:

1

ネタバレ

ねごしエイタ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

緑の風の女神の勇気

 平成最後に見ようと思っていたけど、令和元年初日になってみることになったです。

 仮病で学校を休んだ主人公のアカネが、叔母チィの店に自分の誕生日プレゼントを取りに行ったです。
 怪しい手形に手を入れてしまい手がハマってしまうことにです。
 すると床下から、怪しいヒゲのおじさんヒポクラテスと弟子の妖精ピポに、緑の風の女神として世界を救ってほしいと頼まれるです。
 チィも興味本位になり、ヒポクラテスの首飾りなどで、一緒に異世界に行って冒険するのです。
 いきなり、悪いやつみたいな2人組が、現れるです。この二人は、実はこの物語の真相に大きく関わる二人だということは、最後まで見てのお楽しみです。

 この世界の水が枯れ果てて、色がなくなりつつある自体とは?です。それを救う雫きりの儀式とは?も、最後までの注目です。

 冒険もアカネとチィの絡みが、面白いです。また、背景作画を通した世界観に、素晴らしさを感じたです。
{netabare}  ヒツジのコートもどこか可愛らしさと面白さを感じたり、この世界ならではの金魚に乗って水中を移動するところなども良かったです。{/netabare}

 この物語の真相が明らかになって、アカネがしずく切に立ち会ったときの行動も、いい見せ場だったと思うです。

 冒険を通してアカネが、今までの生活と冒険で気付かされた幸せというものについて、この世界そのものが、かけがいのないプレゼントだったということを示してくれたお話だったです。優しいアカネの母親も良かったです。「これでいいのだ!」です。

{netabare}  最初、アカネがハマった手形の前に佇むピポの後ろで、後ろ姿な野原しんのすけの置物が、なんか面白いです。{/netabare}

投稿 : 2019/05/02
閲覧 : 537
サンキュー:

9

たわし(爆豪) さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 3.0 作画 : 4.0 声優 : 3.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

原監督特有の「社会派」から脱してしまったことがアダとなったか

何もSFやファンタジーが子供だましだとは思っていないですが、寧ろSFやファンタジーでしか伝えられない表現はあるもので、

先達である手塚治虫や永井豪、藤子F不二雄などといったSFの巨匠もSFやファンタジーを通して、人間や生命に言及するものもたくさんあるのです。

しかし、原監督はどうやらファンタジーの素養はやや平凡らしく、宮崎駿だけでなく、最近では新海誠さんなどの強力なセンスの前では霞んでしまいます。

それくらい、本作の「バースデーワンダーランド」は薄く引き伸ばしたジュブナイルファンタジーであり、「カラフル」などで「社会派」を謳っていた地を這うような演出の原監督では非対称的なアンバランスさでした。

さすがにオープニングの日常描写はそこらへんのアニメ監督では表現できないほどのコンテ、演出が上手いですが、ファンタジー世界になった途端に力を無くしてしまっています。
それと、食器や家具にこだわりを持って表現しているのは女性には受けが良いでしょう。原作は未読ですが、非常に女性らしい感性の世界観であり、合理主義や論理主義を否定し、オーガニックでフィジカルな自然主義を打ち出しているのはフェミニズムっぽいよくある女性向けのファンタジーですが、僕は嫌いじゃないです。

そもそも原監督が社会派を捨てて、ファンタジーに走ってしまったのは興行やアニメの流行りもあってのこともありますでしょうが、今回はかなり失敗していると断言できます。

恐らくは原監督も満足のいった作品だとは思っていないでしょう。この間の「百日紅」や「colorful」に比べると、テーマも社会性も演出も平凡です。

監督には是非今一度「社会派」アニメ映画に戻っていただき、もっとレベルの高い演出に期待します。

投稿 : 2019/05/01
閲覧 : 295
サンキュー:

9

さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 2.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.0 状態:観終わった

子供向け?大人向け?オタク向け?

クレヨンしんちゃんの方がよっぽど大人も楽しめる作品です。
原作の対象が高いので、スタート位置が違う事は勿論ですが、クレヨンしんちゃんの場合、子供向けに昇華されて安定した面白さがあるように思います。

このアニメのキャラクターデザインや作画は、子供向けにしてはコミカルさが足りないと思いました。
このアニメのストーリーは大人向けにしてはシンプルすぎると思いました。
では、誰に向けたものなのでしょうか。
最近のアニメは一部の客がお金を落とせば良いという考えが特に深夜アニメを中心に蔓延しているそうですが、これは一体何処を目指しているのでしょうか。

今ならオトナ帝国が、安定した土台とプロ達個々の仕事の結晶だったとわかります。
綺麗な世界、綺麗な作画、安定したストーリーの運び方、どれも良いと思いますが、私はあまり楽しめませんでした。

投稿 : 2019/04/30
閲覧 : 410
サンキュー:

12

ネタバレ

fuushin さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

3時間と3日間。もうひとつのワンダー。

キャッチコピーが「大人が泣いた伝説の『映画クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲』 原恵一監督 最新作」というふれこみ。

その原監督ご自身のコメントも「型にはまらない新しい映画、すごい映画ができました。自信作です。」と、もひとつ押し込むふれこみです。

4月26日(金曜日)に封切りされた最新作です。
これは、観てみたいと思いました。


原作者は、柏葉幸子氏(かしわばさちこ、児童文学者)。

原作は、講談社 青い鳥文庫
「地下室からのふしぎな旅」です。
1988年初版~45刷
2006年新装版~7刷というロングラン。
累計50万部を超えるヒット作でした。
本作品は、原作に対していくらか改変がなされています。

ちなみに、宮崎駿氏・スタジオジブリは、柏葉氏の「霧の向こうの不思議な町」の映画化に取り組みましたが実現ならず。
しかし、「千と千尋の神隠しに影響を与える作品となった」と宮崎氏は語っているそうです。
(千ちひのファンの方、もしよければ手に取ってみてくださいね。講談社青い鳥文庫、216ページ、本体680円(税別)です。)


さて、全体的な印象です。

ストーリーラインのコアな対象年齢は、10~12歳の女子。
でも、映像の美しさ、造形の面白さなら、5歳~でも全く大丈夫。
シアターに、そうと見える女の子がいらっしゃって、彼女はすごく集中して観ていましたから、よほど面白く感じられていたのでしょう。
絵本をよく読む子どもさんだったのかな。

大人の方には、ちびっとこそばゆく、また眩しく感じられるかもしれません。
萌え要素ゼロの清廉さと上質さで、私的には直球ストライクでした。
本作は、すこぶるフェミニンな作品だと "断言" しておきましょう。


★ 終幕まで目が離せなかったのは、作画のデザイン性。

ロシア人のイリヤ・クブシノブ氏が手がけるのは、キャラクター、メカニック、プロップ、イメージボード、美術設定、作画監修です。

個人的には、99%文句なしでした。
全編にわたってフレッシュで、既視感を感じさせないオリジナル性を強く感じました。
ロシア児童文学界に見られる独特な印象の挿絵が、日本人の感性に合うようにうまくアレンジされているように思います。

イリヤ氏のデザインは、非常に緻密に計算された印象。
そこに面白さと遊び心を絡ませています。
初見では、その手合いや、味わいのぜんぶを捉えることはちびっと難しく、氏から「分かるかな~?」という謎かけをされているようです。
私も、「あれ?これって何か、ストーリーに関わる意味がありそうな気がするんだけど・・・」と思えるシーンが何度となくあったように感じました。
そのあたりを楽しむのも、本作の魅力だと思います。

ちなみに、残りの1%は、遠目に見える人物の造形に、ちびっとだけ "薄さ" を感じられたことです。
(まあ、些細なことです。)


★ 次に、物語性です。

近似作品は、ふるたたるひ氏の「おしいれのぼうけん」、ルイス・キャロル氏の「不思議の国のアリス」、C・S・ルイス氏の「ナルニア国物語」といったところでしょうか。
もっと身近には、映画ドラえもん大長編シリーズに必須の "どこでもドア" も、モチーフの一つです。

主人公は、明日がバースデーというアカネさん。

冒頭、この子いくつ?と戸惑いますが、やがて学校でのリアルな日常シーンを見せながら、もう一人のキーマンである母親のミドリとの会話+アルファの中に、伏線を馴染ませています。
(ようくアンテナを立てて観てくださいね。)

中盤では、たっぷりと時間を使って、エキゾチックなシーンの雰囲気のなかに絵コンテのテンポを自在に変えつつ、アカネの心情を遠くに近くに揺さぶりながら、テーマの中心に向けて誘導していきます。
また、ファンタジー感もモリモリ満載で、少しずつ昇華していくアカネの情緒性を、非常にうまく引き出すお手伝いをしていると感じました。

終盤では、 {netabare} 新しい世界に触れること、違いを感じながらも同じであることにも気づくこと、自分にとっての大切なものが分かること、自我の中に他者を受け止める勇気を示すことなどを {/netabare} アカネが体得していくシーンをひとつひとつ見せています。

アカネの心の変化が、とても繊細に、そしてどこか楽し気であるように描かれていることが、やがてこちら側にもじんわりと伝わってきます。
というのも、彼女の初々しい仕草のなかに、いつしか自分もそうだった懐かしさを垣間見て、奥の奥まで気持ちが絆されていくのが実感できたからです。

本作品は、親が子どもに語りたい想いを、かわりに優しく伝えてくれます。
同時に、大人も、子どものころに持っていた、やわらかな感性をしみじみと思い出せるような配慮が織り込まれているような気がしました。

あと、ギャングエイジの定番ではありますが、親ではない第三者がアカネをサポートします。
彼ら、彼女らの行動は、視聴する子どもたちに多くのサジェッションを与えることになると思います。
もちろん、大人にも、です。


★ 音楽です。

作風、作画に合わせたかのように、あまり耳慣れないサウンドに触れました。
印象としては、キャラクターの心情をしっかりと支え、スクリーンの前後左右の見えない空間にも、アカネの瑞々しい息遣いを感じさせてくれるかのようです。

それがとても心地よく、最後まで、安心感に浸って視聴することができました。
 

★ 声優さん。

画には合っていたと思います。
特に、アカネ役の松岡茉優さんの演技は、「できっこない」雰囲気から「自分を信じる」雰囲気まで、心を配らせる繊細なものだったと思います。

市村正親さんの演じるヒポクラテスは、大錬金術師というなんだか尊大な雰囲気の設定ですが、アカネを持ちあげつつ、観客の中心になるだろう小学生の皆さんにも親近感を振りまくという、そんな不可思議な課題を、愉快な演技で提供してくださっていると感じます。


★ まとめです。
{netabare}
アカネは、ギャングエイジ世代のただ中にいる子どもです。

彼女は、学校や教室の中で、日々さまざまに目まぐるしく変化する友だちの姿に戸惑いを感じながら、自らの自我のスタンスにも迷いを抱え込んでいるようです。

彼女の想いの中心には、心を通じ合わせる態度をどう表現すればいいのか分からないことや、気持ちを照らし合わせる言葉を見つけられないことで、もやっとした霧がかかっているかのようです。

たとえどんなに仲良しのグループであったとしても、友だちが大人の階段を上がる速さは、身体的なそれ以上に "精神的な差" を大きく感じるものです。
なぜなら、発達の具合とその差が大きいこの時期の子どもたちには、その感情や振る舞いそれ自体を "持っている子" と "持っていない子" がいるからです。
言い換えれば、0か1の差であり、有るか無いかという違いです。

また、最高学年というステージに立つことは、11年というプロセスが土台になっていますが、同時に校内にお手本がいなくなるという環境を生みだします。
そんな時に感じるのは、小さなプライドを持った個人と、大きなダイナミズムを生み出す集団という関係性におけるパワーバランスのアンバランスさです。

子どもとはいえ、初めて直面することは、その子の人生における "破天荒" なのです。
となればこそ、自分にも他者にも、実直であろうとすればするほどに感じる "訳わかんなさ" に、ますますあっぷあっぷして、気持ちは塞ぐし、胸は苦しくなるし、頭は重くなるし、体も動かなくなるものです。

本当は、自分の内面に見え隠れする心情の揺れに "弱さ" を感じ、ナーバスな感覚を持つことはとても自然なこと。
反面、新しい社会性を付加していくことが、大人びてゆくためのステップとして必要な "強さ" なのだとすれば、大切に守ってきた幼さを切り離してゆく淋しさや、置き残してゆく不安感を、身の内に生じさせることもあるはずです。

私は、12歳のバースデイを迎えるにあふれる期待感があったことを思い返し、同時に、11年という時間と空間に、不確かな不安感を抱えていた記憶も胸をよぎりました。
自我の形成というのは、すこぶる個人的な領域であるとともに、同時に、コミュニティに強く影響される社会的、文化的なプロセスも大きいだろうと思います。

本作は、これから思春期に向かう子どもたちの道筋に、ファンタジー作品が持ち合わせているゆたかな色合いを潤滑材として埋め込むことで、多彩であったり、多様であったり、差異が生じることそのものが、実はとっても文化的な魅力が溢れていることを教えてくれているように感じました。

また、アカネが感じている "訳わかんなさ" は、大人になるにしたがって、いつまでもスルーできるものではなくて、"なぜ?どうして?" と直面しなければならない時期が、いつかは誰にでも訪れることを教えてくれます。

ですから、新しいできごとや環境に、一時的にも {netabare} "前のめり" {/netabare} になることは、彼女が自尊心を高めるためのきっかけとなるし、はじめの一歩目をそっとエンパワメントするキーワードになると思います。

先達たる大人にも、そのためのさり気ない配慮が、必要な役割であることと感じさせる演出がなされています。
アカネをサポートするチィ叔母さんがその立ち位置にいるのがその証左です。
それにしましても、チィさんが、つかず離れず、手を変え品を変え、おまけに自由闊達に振る舞う様子が、なんとも新しくて微笑ましく思えます。


もし、アカネが感じるだろうこれからのたくさんの気づきを予感し、思い出し、想像することができるのであれば、大人にも、彼女と同じ視点で人生をいくらか振り返り、見通すことにつながるのではないかと思います。

バースデーは、いくつになっても、ワンダーランドへの扉を開けるカギを手にする機会になりえます。

その先に、一歩足を踏み入れるなら、まるごと子どもと同じようなドキドキする想いで、発達の道筋を辿れることになるでしょう。
当然のようにさまざまな違いがあっていいことは容易に理解できるでしょうし、同時に、子どものときに共有できていたほんわかした感覚に、代えがたい価値があることにも気づけることでしょう。

そのうえで、生きることの証を欲し、それを示す勇気を持っていることに気づけば、すばらしいアニバーサリーを創ることができる能力とチャンスがあることを感じ取れるのではないだろうかと思います。

もちろん、もっともっと気軽に、その機微たる歴史と未来とを、それぞれの立ち位置と観点で感じていただける作品です。
回顧に懐古する郷愁感という言葉にまとまるのかもしれないですし、時代に踏み出す勇気と知恵を獲得しようとする行動につながるのかもしれません。


終幕で、母親のミドリが、ある "パーツ" を見て、アカネの身に起きたことを "思い出したかのような表情" をします。
私は、視聴後になって、この物語には {netabare} 時間軸が、母と娘の間にリンクしていること {/netabare} に気づきました。
それが、冒頭の "もうひとつのワンダー" です。

アカネは、チィさんと過ごした3日間は実感できるでしょう。
でも、母のミドリがかつて過ごした時間を {netabare} "追体験している" {/netabare} とは思いもよらないでしょう。
ミドリにとっても、我が子に限ってそんなことが起きるとは思ってもいないでしょうし、それを意図してチィさんのお店へアカネを行かせているわけではないと思います。
それどころか一片の記憶すら、いつしか忘却していたとしても不思議ではありません。
大人になるにしたがって、色や水に困ることなど、一つもなくなってしまうからです。


それでもミドリは、アカネの心の世界をずうっと支えてきていたと思うのです。

例えば、ミドリが、色とりどりの草花を庭に植えたり、かわいらしい調度品を揃えたり、チィさんとの交流を大事にしてきたのは、彼女のかつての体験が、大人としての記憶ではなく、子どもの感性のまにまに深く身体に刻まれていたからだろうと思うのです。

ですから、ミドリは理屈抜きにアカネと同じ立ち位置にいられたのだろうし、アカネの表情や言葉に見え隠れしている不安定な心情を普通のこととして受け止められたのだろうと思うのです。

そして、アカネの鮮やかな感受性や瑞々しい情緒性が失われないように、アカネのテンポに合わせて、気長に見守り、おだやかに育んで、時にはまったりと癒やしながら、支えてきたのだと思うのです。


観るたびごとに、母と娘の不思議な絆と、アカネとミドリの言霊の響きとを、しみじみ感じることのできる作品です。
あまり目に付かなかった作品かもしれませんが、秀作だと思いました。
児童文学が好きな方には、なかなかの人気作のようです。
興味を持たれましたら、ぜひご覧になってみてください。
{/netabare}


長文を最後までお読みいただき、ありがとうございました。

本作が、皆さまに愛されますように。

投稿 : 2019/04/30
閲覧 : 290
サンキュー:

16

JrUbH66017 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

投稿 : 2022/08/28
閲覧 : 9

終了 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.5
物語 : 1.5 作画 : 4.0 声優 : 2.0 音楽 : 3.0 キャラ : 2.0 状態:観終わった

投稿 : 2021/10/14
閲覧 : 34

M.M.M さんの感想・評価

★★★★☆ 3.6
物語 : 3.0 作画 : 5.0 声優 : 3.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

投稿 : 2021/09/25
閲覧 : 17

sarari さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

投稿 : 2021/09/17
閲覧 : 25

暴走インコ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.3
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 3.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.0 状態:観終わった

投稿 : 2021/05/18
閲覧 : 33

ぱせり さんの感想・評価

★☆☆☆☆ 1.0
物語 : 1.0 作画 : 1.0 声優 : 1.0 音楽 : 1.0 キャラ : 1.0 状態:観終わった

投稿 : 2021/04/03
閲覧 : 36

珊瑚 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.1
物語 : 2.0 作画 : 4.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

投稿 : 2021/01/11
閲覧 : 38

おみや さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

投稿 : 2020/12/09
閲覧 : 39

ひつまぶし さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.5 状態:観終わった

投稿 : 2020/12/08
閲覧 : 35

ニャンキチ君 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

投稿 : 2020/11/11
閲覧 : 36

退会済のユーザー さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.5
物語 : 1.5 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.0 キャラ : 1.0 状態:----

投稿 : 2020/08/30
閲覧 : 51
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バースデー・ワンダーランドのストーリー・あらすじ

誕生日の前日、自分に自信がないアカネの目の前に突然現れたのは、謎めいた大錬金術師のヒポクラテスとその弟子のピポ――「私たちの世界を救って欲しいのです!」と必死でアカネに請う2人。そしてアカネが無理やり連れて行かれた世界は――骨董屋の地下室の扉の先から繋がっていた〈幸せな色に満ちたワンダーランド〉! ふしぎな動物や人が住む世界から、色が消えてしまう!その世界を守る救世主にされたアカネが大冒険の果てに下した、人生を変える決断とは?(アニメ映画『バースデー・ワンダーランド』のwikipedia・公式サイト等参照)

ティザー映像・PVも公開中!

放送時期・公式基本情報

ジャンル
アニメ映画
放送時期
2019年4月26日
制作会社
Signal-MD
公式サイト
wwws.warnerbros.co.jp/birthdaywonderland/
主題歌
挿入歌milet「Wonderland」
挿入歌
milet『Wonderland』

声優・キャラクター

松岡茉優、杏、麻生久美子、東山奈央、藤原啓治、矢島晶子、市村正親

スタッフ

原作:柏葉幸子『地下室からのふしぎな旅』(講談社青い鳥文庫)
監督:原恵一、脚本:丸尾みほ、キャラクター・ビジュアル:イリヤ・クブシノブ、音楽:富貴晴美

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