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「葬送のフリーレン(TVアニメ動画)」

総合得点
87.6
感想・評価
544
棚に入れた
1741
ランキング
143
★★★★★ 4.2 (544)
物語
4.2
作画
4.3
声優
4.2
音楽
4.2
キャラ
4.2

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葬送のフリーレンの感想・評価はどうでしたか?

ネタバレ

ごる さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

個別の感動ストーリーが多く、たまにカッコイイ戦闘シーンがw

初回から勇者ヒンメルが死んでしまうところから物語が進んでいきます(´・ω・`)
ヒンメルの最期もすごく感動的なものですよ( ´•̥̥̥ω•̥̥̥`)

たまに来るフリーレンの最強と言われる戦闘回もとてもカッコイイですよ(ノ゚ο゚)ノ オオォォォ-
ミミックに食べられるのも愛嬌ありますね(*^^*)

投稿 : 2024/07/25
閲覧 : 15
サンキュー:

1

白毛和牛 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

鳴り物入りで2023年秋クールで注目を集めた作品

2023年秋クールに鳴り物入りで放送された本作ですが、確かに話題性に違わぬ良作という所でしたが、
尤も話題性を集めた割には内容とか雰囲気は意外と地味な感じがして
こういう地味な感じの作品がよくもこれだけの話題を集めた物かなと思いましたが、
ただ話題を集めた点に付いて言えばもちろん原作自体が売れてるのも大きいが、
それと同じ位にアニメとしての出来が良かった事が世間における本作の評価が高い理由と言えますかね。

後は本作の内容に付いて簡単に言うと勇者一行が魔王を倒した後の後日譚を描く感じですが、
因みに本作の構成に付いて言うと現時間軸のフリーレン・フェルン・シュタルクの旅路を基本線としながら
その中で時折挟まれる過去の時間軸となる勇者ヒンメル一行のエピソードが回想シーンとして描かれる中において
本作の主人公にして人間よりも遥かに長寿命のエルフ族として生きるフリーレンの視点を通して
過去から現在を生きて来た中で様々な思いを馳せる部分と云いますか
この辺りにおける時間経過をドラマとした部分が味わい深く面白かったのと、
また味わい深いドラマが魅力的な一方で逆に戦闘シーンの時なんかは見応えのあるアクションで魅せてくれて
こういった部分は如何にもアニメ映えする感じで面白かったですが、
改めて本作に付いて言えば味わい深いドラマの部分や見応え十分のクオリティの高いアクションシーンに、
そして淡々とした雰囲気や登場キャラなど全般的に好みになれる所が多く且つ出来自体も非常に良い作品でした。

【評価】

83点・1A級

投稿 : 2024/07/21
閲覧 : 21
サンキュー:

0

ネタバレ

素塔 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

鏡像のフリーレン

本作の真価は到底、ただ一期限定の覇権枠などに収まるものではない。
アニメ化によって原作のユニークな個性に、創造的な作家性が掛け合わされた結果、
稀に見る高い完成度の傑作が誕生したことは実に喜ばしいことだ。ただ、
残念なことに自分は本作とは深い部分で折り合わないらしく、変な風にこじらせてしまった。
客観的な評価と、主観的な受容が背反してしまうのが悩ましいところである。

放送開始から程なくして最初のレビューを書き、これが通算五度目の投稿になる。
書くたびに何か違う気がして、どれほど言葉を費やしても解消されない不全感が残る。
結果、延々書き継ぐ破目になった次第で、"沼"ではなく"ドツボ"にはまったような恰好である。
ただ、このモヤモヤを作品の根本的な組成の問題として取り上げようとすると、
それが個人的な偏見ではないことを客観的に示す必要があり、流石にそれは難儀なので、
この部分の問題化は見送ることにした。

で、先だって予告したように、自分なりの着眼点をフラットに記述することに徹したい。
物語の最終盤。思わず引きこまれたフリーレンとゼーリエの対比関係。
両者の「対照性」の根底に「対称性」が潜んでいることに着目し、
この「対称(シンメトリー)」の構図を解読格子として作品全体を読み解くという着想を得た。
まずはこの抽象的なシェーマから、さらに具象的なイメージを抽き出すことから始めたい。



{netabare}第2クール、一級魔法使い試験編。その二次試験の舞台となった「零落の王墓」で、
フリーレンたちは自分たちの完璧な複製体を相手にバトルを繰り広げる。
迷宮の最奥に潜み、複製体を創り出して侵入者を排除するこの魔物の名前は
「水鏡の悪魔(シュピーゲル)」・・・

・・・そう、「鏡」なのである。
鏡とはまさしく、光学的なメカニズムを用いて「対称性」を現出させる装置に他ならない。
迷宮に潜む魔物のように、物語の深層で潜在的に機能する原型的なイメージとしての「鏡」。
そしてその作用が生み出す「鏡像」。それこそが本作の対称性の本質なのではないか?
・・・と、こんな想像を掻き立てられたのだった。

とは言え、それを裏付ける"物証"は作中には見出されない。
実物の「鏡」が何か特別なモチーフとして扱われているわけでもない。
だがむしろ、そのことが逆に真相を示唆していると自分は考える。
重要なのは本作の「鏡」が、象徴性をはらんだ"名辞"としてのみ現れることである。
テクスト論の概念で言えば、「シニフィエ」ではなく「シニフィアン」としての機能であり、
要するにそれは「記号」なのだ。

深層のイメージとしての「鏡」は、対称性を生み出す記号的な機能を担いつつ、
物語空間の内部に固有のイメージの連鎖を形成してゆく。
これはシニフィアンが優位となっている創作物に通有する現象だと言える。

魔物の名前から類推すれば、迷宮に出現した複製体の正体は「鏡像」である。
ここには「本体―複製」という関係式が見て取れるが、作中にはさらにその派生形が見られる。
第5話には、親しい死者の生前の姿を模倣して幻惑する「幻影鬼」という魔物が登場する。
あるいはリーニエが用いた、過去に記憶した相手の魔力を真似るという「模倣する魔法」。
これらに反復される「模倣・転写」のイメージは、より包括的な
「オリジナル―コピー」という関係式に還元可能であることに注意したい。

それにしても、「鏡像」自体がすでに精神分析の理論を想起させるばかりか、
これほど固着的・強迫的なモチーフの反復を見せられると、
ほぼ確実に原作者の無意識の領域が問題化できるレベルではないだろうか?
とは言え、本稿の目的は作者ではなく飽くまで作品を理解することにある。
具体的には、作品の深層と表層を統合的に包摂するような、生成の力学の解明である。


さてここから、すでに前々回のレビューで触れておいた問題に立ち戻る。

 そもそも物語自体がこの(対称の)構図に基いた構造になっていることに気づかされます。
 かつてと今、フリーレンの二つの旅がパラレルに並行するストーリー。
 そこでは過去と現在は対立せず、対比的に、さらには相関的に描かれています。
 しかも、同じルートを辿り直すという、明確な対称性をも示しています。

作品の全体構造に関するこの着眼を大胆に展開してみたいと思う。
次のような仮定説を提起してみる。すなわち、
フリーレンの現在の旅は、かつての旅の「鏡像」であり、「複製体」である。
つまり「オリジナル」に対する「コピー」である、と。

同一の目的地へ、同一のルートを辿り直すというシンプルな再現性にとどまらず、
当然、現在の条件に即した補正がそこには加えられている。
勇者パーティーの仲間たちの代替要員として、ハイターにはフェルン、
アイゼンにはシュタルクが、それぞれ空席を埋めるかたちになっている。
(この点はすでにnyaroさんの指摘がある。)

そして、ヒンメルの「代替」だけが欠落しているという事実。
このことは何を意味するのだろうか?
本稿の論旨を踏まえて一言で言えばこうなる、
すなわち、ヒンメルという存在が代替不可能な、絶対的な"オリジナル"であるということ。
本物語におけるその存在の本質的な意味が、おそらくここに示唆されている。

つまり、現在の旅はかつての旅の"不完全な複製体"なのである。とすれば、
「魂の眠る地」に赴いてヒンメルと再会するという旅の目的は、
この欠落を補完しようとする、物語の深層の力学に導かれていると言えないだろうか?
ヒンメルという"オリジナル"を求める旅。これが本作の核心部であると自分は考える。


以上、あらましのみを記した仮定説は、作品から遊離した深読みのようにも見えるが、
少なくとも自分の中では、この仮説に基づいて本作の捉え方を刷新することが出来たのだった。
特に重要な解釈のポイントは二つあるのだが、
いずれも稿を改めて詳述する予定なので、ここでは梗概だけを記しておく。

第一点、物語の多重性。

物語を俯瞰したとき、「旅」と「魔法」との二つの軸が並立するのが見て取れる。
だが、両者は同一のフェーズ上で連続してはおらず、
おのおのが位相の異なる個別のフェーズを形成しているようなのだ。
両者の相異は「通時性/共時性」の対概念を用いて説明できると考えている。
魔法パートはヒロインであるフリーレンの物語として一貫して構築されているが、
旅パートは決してその一部ではなく、本作のユニークな個性となる自立した半面である。
その本質を「回想」の機能に即しつつ解き明かしてみたいと思う。

第二点、テーマの所在とフリーレンの本質。

通時的にストーリーの軸が定まっている魔法パートに対して、
共時的な旅パートは、どちらかというと象徴的な意味の磁場としての傾向が強い。
その中心にヒンメルの銅像が位置づけられるだろう。
そしてそれは本作の中心テーマである「記憶」を集約し、体現するシンボルとなる。
この意味で、旅パートの主役はヒンメルであると言ってよく、
フリーレンは彼の記憶の保持者、管理者の位置に退いている。
その一方、魔法パートでは彼女こそが不動のヒロインであり、「平和と闘争」のテーマを担う。
フェーズごとにそれぞれのテーマが設定されている点が本作の特徴であり、
結果的にフリーレンは一面で主人公、一面では語り部という両面を併せ持つ。
一貫した彼女の像が掴みにくく、捻れたり歪んだりして見える所以でもある。
「葬送のフリーレン」の意味は、この二面性に即して理解されるべきものだろう。{/netabare}



最初に試みたテーマ探究が頓挫して以後、迷走を重ねてきた次第は前に記したが、
その敗因分析の中で、主人公とテーマとを無条件に結びつける自分の"予断"を反省した。
措定された「内面」を掘り下げるだけの従来式では、テーマには接近出来ない。さらに、
何故そうなのかを問うていけば、当然、この作品の特異な本質を言語化しなければならない。
突拍子もない仮説とアクロバティックな推論ではあるが、これが迷走の果てにたどり着いた、
自分としては最後の、おそらく最も有効と思われるアプローチなのである。

今にして思えば、難航しそうな予感は最初からあったようだ。
人間探究系の貌を見せつつ、それとはそぐわないどこか無機質な感触も引っかかっていた。
"心情"よりも、"フォルム"に傾斜した解釈を試みたのはその帰結なのかも知れない。
こんな頭でっかちなレビューなんかで苦労せず、素直に作品を楽しんだ方が余程賢明だったろう。
だが、作品がそれを許さない。徹底的に踏み込むことを要求するから、応えるしかない。
あと三回ほどの続稿を目下準備しているところである。嗚呼!


2024. 7. 20

投稿 : 2024/07/21
閲覧 : 926
サンキュー:

19

lostmemory さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

令和にこういう作品が見れることに喜びと感謝

※視聴完了
これほど見終わった後の満足感が高いのは
本当に久しぶりだった。相当長くアニメを
見てきているから自分もゼーリエ並に見る目
は厳しい。つまらないアニメは二度と作るな!
と言いたくなる。その私を満足させた。
恐れ入ったよ。合格だ。


※視聴中感想
ここでの評価があまり高く無いことにまず安堵した。
これは万人向けの作品ではない。制作陣もそれを
分かって作っている。そして非常に大人向けの作品だ。
セリフの1つ1つを見ても、ある程度の年齢に達して
ないと理解出来ない、あるいは全く響かないものが多い。
最低でも30歳以下はお断りといった感じだ。

個人的にこれほど練り込まれて演出や構成の素晴らしい
作品はいついらいだろうか。とにかく絶賛しかない。
100点満点なら、さすがに満点はつけれないが90点
以下には絶対に評価出来ない。それくらい良い。

この作品はひたすら人間とは何かを描いている。
ほんの一言のセリフ、ちょっとした演出で
キャラクターをしっかり深堀りしている。
この作品は主人公のフリーレンが人間を知る物語だ。
それを史実に映像にしている。

少なくとも令和に入ってからのアニメでは自分の中で
トップ3に間違いなく入る。

近年の色々なアニメを見ているともう自分が見たい
アニメは見れない時代なのか…と落胆していた
だけにこういう作品が見れるのは喜びと感謝しかない。

この作品に対して戦闘シーンがどうこう言っている人は
作品の見方を根本から間違っている。この作品の本質
は繰り返しになるが人間とは何か?を描いているのだから

投稿 : 2024/07/19
閲覧 : 76
サンキュー:

15

ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

とりあえず簡単な感想

 原作は未読。
 ファンタジーRPG的世界観の中、魔王討伐後のアフターストーリーというのが異彩を放つ。

 ファンタジーやSFで人間と異なる寿命を持つ存在が登場する作品は、共に生きられる時間の
差による離別、共に過ごしている時でも時間感覚の違いなどが描かれることがある。
 本作ももれなくそういった要素があるどころか、むしろそこが一番のテーマであるような感じ。
 ヒンメルとの死別後、人との出会いや過去の思い出を大切にするようになったフリーレンの
旅が話の主軸。
 作品の全体的な雰囲気は静的なものだが、それだけに味わいのあるヒューマンドラマといった
感じで、旅における各エピソードは人生の折り返し点を迎えた人の方が色々と思うところが
あるのではないかと思う。

 フリーレンの行動や考え方は以前とは変わっても時間感覚は早々変えられるはずもなく、
フリーレンの旅においては、そういった部分の人間との違いがシリアス展開にしろ、コメディ
要素にしろ、随所に顔を出してくるのが興味深い。
 フリーレンに関して、長寿ゆえに精神も老成しているのかと思いきや、結構子供じみた部分が
目立つが、単に長生きしているわけではなく、成長速度も遅いみたい。
 そう言えば容姿も少女然としたものだし。
 成長は遅くとも、魔法の修練を長年続けていた成果は出ているわけで、見た目に反した
とんでもない強さを身につけており、随所随所に出てくる戦闘エピソードで発揮されるチート
ぶりも見どころの一つといった感じ。

 フリーレン以外も魅力的なキャラが多く、特に後半の一級魔法使い試験編では数多くのキャラが
登場するため、魅力的なキャラの宝庫といったところ。

2024/07/14

投稿 : 2024/07/14
閲覧 : 32
サンキュー:

3

ネタバレ

えりりん908 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

ほんのひとつの、エピソードだけでも

ちゃんとリアルタイムで鑑賞し終えたんですけど、
しばらく引きずっちゃいました。
これだけしっかり、脚本も作画も構成・演出もつくられてしまうと、
そのうえ声優さんたちの演技まで完璧だと、
もう賛辞しか浮かばないんですけど・・・

異世界ハイファンタジーなのに人間と魔族の機微が練りに練り込まれて、
バトルもエピソードも、作画と抒情性。とにかく美しくて。

アニメのハードルが、観る側にとっても、つくる側にとっても、
この作品意向では
グン!と上がったのは、間違いないですね。



以下、過去に書いた感想文です。
:::::::::::::::::::::::::::::::;;;;;;;::

12月23日、16話が放送されました。
バトルも無く、ふたつの村での静かな旅路。
それだけなのに、
愛すること、記憶にとどめ切れないこと。
後世に記憶をつむぎ、残し、伝えていくこと。
ふたつの挿話が奇しくも同じテーマを鮮明に映し出してくれていて、
今までリピートして初めて感情を揺さぶられて来たこの作品なのに、
初めて初見で、
胸に詰まって息が苦しいほどの思いをしてしまいました。
この次は年明けになりますね。
葬送のフリーレンという、素晴らしい作品と巡り合えて、
幸せです。

****************************************

12月なかばの今、15話まで放送されていますが、
こんなに「行間の密度がしっかり濃い」アニメって、
なかったんじゃないかな。と、そう感じています。

まるで小説のような。

ラノベやマンガでは稀にしか存在しない、
行間=含み、というか、「想像の余地」が拡がる心地よさ。
これって、アニメでは、正直感じたこと、ほとんどないです。
しいて言えば、
GHOST IN THE SHELLとかカウボーイビバップ、
今敏監督の作品群に少し、かな。
(エヴァンゲリオンみたいに、「脚注」の多い作品は意外とたくさんあるけどw)

だから、よく出来た小説といっしょで、
エピソードが進むたびに、アタマに戻ってまたリピートしてしまう。
そして、たとえば初見ではあまり何も感じなかった、
主人公=フリーレンが泣く初回のシーン、
エピソードが進んで立ち返るほどに、
重みとか意味とかどんどん増していって、
心に刺さって来るし、新しい発見がある。

凄くすごく、頭をフル回転させて、と同時に感情移入して、
しっかりと取り組んでおられる監督と制作プロダクションさんには、
もうアタマが下がりますとしか言えないです。

各話ごとにそんな作劇が、
初回からここまで、いっさいクォリティを落とさないで
紡がれていく。
これって、もう、それだけで奇跡のようで。
だから真面目に感想を書き綴ってしまうと、
到底いつ書き終えられるかもわからない。
そんな作品が、いま、現在進行形で作られているのです。

なので、全部は今は語り切れませんが、
今、最新の15話の、ふたつのエピソードのうちのひとつについて。
このBパートだけでも、
今回限りしか出番のないであろうオルデン卿
その嫡男と次男の物語とか、彼らの出自とか、
たくさんの含み=想像の幅と深さが拡がる感覚があって。

そういうこともあるので、
今回はこのBパートの中の、ひとつのシーンだけ、
抜き出して、感想を。

それは、シュタルクとフェルンの、ダンスシーン。
ペアダンスって、経験の無い人にはまったくわからない分野です。
今までしっかりと描かれたのは、
「ボールルームへようこそ」ぐらい。
ただこれは、競技ダンスなので、普通の社交ダンスとは違いますけど、
それですら主人公の師匠のラテンダンスは割としっかり描かれていたのに、
肝心の、主人公が主戦場とするスタンダード部門は、ペアのフォームが変だったし、
基本は止めカットで、
大きく動くところだけ目立つように作画されていて、
細かい動作は雰囲気しか、描かれてなくて。

他の作品にもたびたび、社交ダンスのシーンは描かれてきていますけど、
大抵は止め絵か天井からの俯瞰でごまかしているし、
ステップを描写するにしても、足元の作画は、
ワンカット、つまり1小節分しか描かれていません。
手技も、よくてアンダーアームターン1回だけしか描かれません。
(例外は、「デスパレード」のオープニングで、題材がオープニングだけに、中々気合いが入っていて、綺麗に手技をいくつも繰り出しています)


それが、この作品では、
フェルンの「本当に似合っていませんね」から
ダンスシーンが終わるまでの、ほんの1分15秒ほどだけで、
リードとフォローの人間関係、
フォロー役のフェルンが1ヶ月レッスンを受けただけで臨む不安感、
3ヶ月リードの訓練を受けてきて、それでもフォローの何倍も大変らしいリード役で、
シュタルクがしっかりと醸し出す「リーダー感」、
そういうところが巧みに描かれていて、見惚れてしまいます。
もちろん、足元のステップもリーダー主導でしっかりとリズムに乗って、
数小節にわたって、ちゃんとワルツしてます。
そして、特筆すべきは、ふたりのあいだの心情をうかがえる技の交換。
フォローって、自信がないと、顔が下を向いて足元を見てしまうし、
何よりも縮こまってしまって右手を大きく上げられないし、
身体の軸線=自分の肩より外に手を出せないものなんですが、
そんな様子が、ちゃんと描かれています。
そしてその状況、フェルンの心情を、しっかりと受け止めながら、
リーダーが視線の高さとダンスの進行方向への視線をしっかり保持して、
フォロー役のフェルンが安心できるように優しい表情を浮かべて、
そこからフォローの信頼を獲得すると、
一気に左手を外に伸ばしてフェルンの右手を導いて、
綺麗なアームホールドを形成してしまう力感。
ここに、シュタルクの強い身体と運動能力と、勇者のような資質が、
垣間見られて。
そして手技もワンハンドエクステンションや持ち替えてのクロスなど、
矢継ぎ早に繰り出して。
ここでシュタルクがしっかり背筋を伸ばしているのと、
空いた腕を自分の背中にピタリと沿わせているの、フェルンが空いた手を飾るのと合わせて、
凄く、すごく綺麗。
そして極め付けは、ペアダンスとしては中級技の、ダウン。
これって普通は、社交ダンスで初めてペアを組んだ同士で出来る技ではありません。
フォローが自分の上半身を、リーダーの腕に預けるのですから、
競技ダンスでの「振りつけ」でもなく、
そして初めての「実践」であっては、
普通なら絶対に出来ないことだと思います。
フェルンは、
短いペアダンスのあいだに、しっかりとシュタルクの修練を理解できて、
それ以上に、戦士としての日々の研鑽を知っているからこそ、
安心して身体をゆだねることが出来るし、
ダンスのあいだにそういう感覚を、フェルンから感じ取っているから、
シュタルクも自信をもって、ダウンをくり出せる。
こういう、ペアダンスならではの気持ちのキャッチボール、というか、
お互いを肌感覚で理解し合うところが、
本当に、本当に美しくて。
ダウンって見て分かりやすい技なんで、アニメではよく使われるけど、
しっかりムーブメント(=予備動作)まで描かれる丁寧さ、豪華さが素敵!
しかもこれ、モーションキャプチャーとかじゃなくて、
手描きらしいのです。
マッドハウスの中に、
きっと社交ダンス好きが、それもかなりの「ダンス狂」が、
ひとりか、あるいは何人か、いるに違いありません。
(そう言えば、デスパレードもマッドハウス制作でしたw)

こんな風に、15話までで既に30近いエピソードを描いて来たなかの、
ほんのひとつのエピソードの中の、ひとつのシーンだけで、
思うこと言いたいこと、言えることはいっぱいで。

これ全部やっていたら、絶対追いつけないし、堪らない。
こんな凄い作品を現実にさせてしまう、
斎藤圭一郎監督。
「ぼっち・ざ・ろっく」のときにも、
アイデア冴えわたる演出術に目を見張りましたけど、
この作品は、それ以上です。


これからの後半ワンクールも、期待でドキドキで、
もう完全に、
ファン目線で作品追い続けてしまっています(^^♪

投稿 : 2024/07/13
閲覧 : 211
サンキュー:

31

うにゃ@ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

晴る

周りが面白いと言ってるだけにとてもよくできたストーリー展開、内容、作画。
とても面白かった。

ヨルシカ「晴る」はドイツ語で blauen Himmelだから云々かんぬんは、なるほど。

100点中92点

投稿 : 2024/07/04
閲覧 : 40
サンキュー:

3

かとー さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

原作も本当に素晴らしい!アニメは単調に感じるかもしれないけど‥

金曜ロードショーで初めてアニメが2時間の初回放送、漫画大賞の作品でハードルが上がりっぱなしだったけど期待に応えてくれた素晴らしい内容でした!

原作に忠実な作画、音楽の良さに声優さん達の
安定感!漫画もずっと面白いし、次のドル箱アニメはこの作品で決まりです!

ーー追記ーー
最終回まで見ました!独特な世界観でほのぼの系のアニメだから淡々と進んでいく。結構単調だし、それ系がダメな人は合わないかも!この作品の評価は漫画も見て判断してほしい。そうすればアニメが更に楽しく見れるはずです!

投稿 : 2024/07/04
閲覧 : 605
サンキュー:

14

てぃるふ@棚高評価順 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.2
物語 : 1.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 1.0 状態:観終わった

最初は面白く感じたが

始めの方は寿命の違いによる時間の価値観の違いや、感動とするほどではないがいい話だなと思うことが良くあったが
魔法使い選抜編から地味な戦闘や周りのそれほど興味のないキャラに焦点が当てられているようで退屈に感じた
またフェルンが最初こそかわいいキャラだなと思っていたが最近不機嫌で周りを動かしている場面が多くつい悪印象を受けてしまう

投稿 : 2024/06/30
閲覧 : 130
サンキュー:

5

ネタバレ

ヘンゼル さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

新鮮な感覚

原作は1巻のみ購入。
というのもアニメ化する数年前から、既に気になったので買っていました。
その当時は自分の好みには合わなかったので、続きは買わずに半ば忘れかけていたぐらいで・・・。
正直アニメ化する前までは、「そこまで面白いかな」と侮っていましたが、実際蓋を開けてみると、並大抵のアニメを蹴散らせるくらいには面白かったですね。

ですが色々と問題もあるなという印象ですね。そこら辺はレビュー後半に書きます。
まずは良い所を。


本作で特に良かったのは作画ですね。
見せ場の作画は圧倒的。
並大抵のアニメ映画以上の作画で、鬼滅の刃とかもそうですが、地上波の普通のアニメで気合が入りすぎなぐらい良かったです。

しかし、全てに気合が入っているかといえばそうではなく、上手く気づかない程度に手を抜いています。
例えば引きの絵とか、ダイジェストになっているところとか。
こういう視聴者が気づきにくいとこで上手く手を抜き、見せ場は本気以上の圧倒的作画で視聴者を感動させてくる。
本当に制作会社様には尊敬しかないです。


ストーリー面では期待していたものとは違いましたが、普通に楽しめる出来にはなっていました。

期待していたものとは違ったというのは、勇者ヒンメルが亡くなって、フリーレンが後悔し、「人間を知る」という名目で旅を始めるという物語の始まり、つまり序盤に受けた印象と、紡がれた物語から感じる印象に自分の中で相違があったからなんですよね。

始まりは重厚的なんですよ。
人の死を扱っているわけですし、「人間を知る」物語、そして「葬送」というタイトルから感じるのは、魔王が滅び、平和になった世界で出会いと別れ、そして死を送っていく、という情緒的なものを浮かべると思いますし、実際、私はそう感じていましたしね。

ですが、物語が進むにつれてそういった重厚的なものだと感じ取れるのは、メインではなく、サブテーマのような扱いになっているような・・・。

物語が軽くなった、というのは語弊がありますが、カジュアルさが増して、物語の重厚感が薄れたのは否めなかったです。
最初にハンバーグだと思っていたものが、実はハンバーグにかけるソースだったみたいな、物語に風味を持たせるための味付けぐらいの扱いだったんだな、と。
上手い例えが見つかりませんね・・・。もっと語彙力が欲しい。

しかしカジュアルさが増したからと言って、本作のメインテーマである「人の死」から外れた物語をやっているわけではありません。

ドワーフの話とかはまさに、フリーレンの本質に触れているような話でとても好きです。




では良い所を上げたところで、本作の問題点について思ったことを書いていきたいと思います。

本作における最大の問題点は、「作風と演出の相性が悪かった」という点です。

それを如実に感じたのは試験編。
激しい戦闘が行われていたとしても、それがいまいち気分的に盛り上がらない。
フリーレンやフェルンもそうですが、出てくる殆どのキャラクターにダウナー属性がついていて、そのキャラのテンション感と状況に大きな溝があるからだと思います。

テンションを0~100の間で数値化してみると、本作に出てくる殆どのキャラのテンション感って20~80の間くらいなんですよ。
そのため激しいアクションシーンになったとしても、本作のキャラは80くらいがテンションのMAXなので、状況とテンション感が合っていないなと思ってしまうんですよね。

自分的に戦闘シーンはテンション感的にMAXの100で観たいのに、冷や水が常時注がれてずーっと温度が80度くらいをキープしているような感じで、結局盛り上がる戦闘シーンがぬるま湯みたいな感じで終わってしまう。
そんな感じです。

キャラは凄く好きなんですよ。
デンケンから始まり、ヴィアベルやラント、ユーベル、リヒターといった、そのキャラが抱える個性が本作の作風と凄くマッチしているし、勇者ヒンメルの影響も垣間見える過去回想があって、話の筋道としても非常に考えられたものになっているなと思いました。

作画が本気を出しすぎてしまっているのも原因かなと思いますね。
原作では淡白な戦闘シーンを必要以上にカッコ良くしてしまったせいかもしれません。

しかし逆に言えば、作風とマッチしているシーンも当然あります。

例えば魔族という、人を襲う化け物が本作では無機質で恐ろしいものとして描かれているという所ですね。
この魔族の設定は、どこか冷たい印象を受ける本作の作風にマッチしているなと思いました。

そして、そういう描かれ方をしているうえで、人間と見た目が同じであるアウラのような強い魔族が、死に際に涙を流す人間らしさもあるというのが、いわゆるギャップ萌えというやつなんだと思います。
アウラはフリーレン作中でも屈指の人気キャラですし、そういうのが要因なんじゃないかな?と。

いずれにしろ試験編は、色々とフリーレンの中では異質でしたね。
テンション感に違和感を持つという、自分の中では新鮮な感覚を味わえました。


総評としましては「作風と物語には相性がある」ですね。

試験編以前の作風が、静寂さや物静かなものであるため、ダウナー属性とは相性が良かったのですが、戦闘シーンがメインである試験編は、躍動や成長の要素が多かったために、ダウナー属性とはかなり組み合わせが悪いように感じました。

特定の属性を沢山のキャラにつけるのは構いませんし、それが作品の色としてあるならそれはそれで大切なものだと思います。

ただそれは同時に縛りでもあるので、自分の作品をいかに客観視できるかが意外と重要なんですよね。
ですがこういう作業は本来編集者がやるべき仕事なので、作者さんの責任ではあまりないかな~と思います。

描き方次第な所もあると思うんですけどね。

と、長々と本作のマイナスな感想について書いてしまいました。
すいません。
物語全体として見ればとても面白かったですし、キャラも魅力的で、ただやり取りを見るだけでも幸せな気持ちになる日常回は特に好きです。
作画もきれいですし。
自分的にお気に入りなシーンは、メトーデにフリーレンを取られて、嫉妬しているフェルンですね。
素直にめちゃくちゃ可愛かったです。

こんな風にフェルンに母性本能を持たせたりなど、キャラの肉付けやギャップ萌え、掘り下げ方が上手い所が本作の人気な理由だなと思いました。

というわけで以上です。

投稿 : 2024/06/28
閲覧 : 58
サンキュー:

5

元毛玉 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

遥かな時を生きるエルフは何を見て何を思うのか

原作未読

お話のざっくり概要
勇者パーティーの一人だったフリーレン
それから50年、魔導書巡りの旅に出る
拗ねたり当たり散らしたりの面倒くさいフェルン
こやつヘタれ!すごいヘタれの戦士シュタルク
ゴリラの相棒且つ典型的なダメ男のザイン
そんな仲間と共に今日も元気にミミックへ頭を突っ込む
だいたいそんな感じ

エルフをモチーフにしたファンタジー物で、
物凄く高い完成度を誇る本作。
つべこべ言わず見た方が早いです。
色んな方のレビューがあるので詳しくはそこで!
(え?レビューとしてどうなんって?それは言わないお約束☆)

いやーだって、語りたい事は概ねのレビュアーの方が既に書いてて、
出遅れた身としては書くことがないなーと。

んー、何か少しは他のレビューと差別化はかるか…
あ、AI画像で調べ物をしてて、偶然みつけたのがコチラ

https://www.youtube.com/watch?v=eif6Ct81wpk

完成度が高すぎ!凄い!
ミミック!突っ込んでる!凄い!(小並感)

とにもかくにも見た方が良い作品です (σ・ω・)σYO♪

ちなみに好きなキャラはシュタルクっす(`・ω・´)

投稿 : 2024/06/28
閲覧 : 197
サンキュー:

32

ゅず さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

あなたはどうする?私はこうする。

当たり前って
幸せなことで
それに気付くのって
無くした後なんだよね。

日々の端々や物や場所に
思い出にもならないような
記憶かけらがあって

悲しいことも嬉しいことも
自分にとって何かを得ることができる
だからいろんなものやことを触れ合いたい
とも思うし
失うことが怖くていろんな物との距離をとってみたり

そんな日々を繰り返しながら進むんだね。

投稿 : 2024/06/27
閲覧 : 15
サンキュー:

3

Lovesing さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

勇者ものだけど製作陣の力が伝わってくる

勿論原作は言わずもなが面白いので、アニメは楽しみにしてましたよ。
アニメはとにかく作画に力が入ってるし、凄く間を大切にしている様な気がしました。凄く時間の流れを分かりやすくしていて、景色の描写などでしっかり伝わるようにしていました。
戦闘シーンも迫力あるものになっており飽きない!むしろヲタク的には最強きたー!ってなりますね。
最強主人公が最強感ないのが1番いいし、普段は普通の魔法使いと変わらんのが良いところ。
起承転結綺麗にまとめた作品だと感じました!

投稿 : 2024/06/25
閲覧 : 49
サンキュー:

2

ネタバレ

たくすけ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

原作の良さもあるけど制作会社や声優がいい仕事してる

始まる前から何かと見聞きしてた作品。
またジャンプアニメか?と思ったらサンデーでした。


最初に悪い所から。


自分はゴリ押しが苦手でして…
ひねくれてるので鬼滅の刃、呪術廻戦、SPY×FAMILY等を素直に見れなくなってしまう。
ゴリ押しを否定はしません。
売りたいんだから出来る限りの武器を使いたいのはわかるので。
今回のフリーレンはまずOPがYOASOBIという事で、推しの子でアイドルがバズりまくってからそんなに経ってなかったのもあってちょっとウンザリ。
「またYOASOBIかよ…」となりました。
曲は良いけどアニメと合ってないんじゃないかと思ったり。

金曜ロードショー枠を使って1~4話を放送したのもちょっと嫌。
2時間枠に合わせて編集したのではなく普通に1~4話を放送しただけ。
種崎敦美は上手いけど「また種崎敦美ですかぁ」となりました。
こういうひねくれた考えを持ってたので序盤はあまり覚えてないですw
内容が万人受けしないと思ってるのでゴリ押しにモヤモヤします。

我ながら面倒臭い奴だなと思います(笑)


内容については後半の魔法使い選抜試験編はそんなに好きじゃない。
魔法使いではないから仕方ないけどシュタルクの出番が無いのが残念。
それでも面白かったけど、旅アニメが好きなのでザインと別れるまでの方が面白かったかな。



良かった所

雰囲気が良く味があるというんですかね。
なんか心に染みるものがあります。
戦闘以外に派手さは無いけどパーティー内のやり取りや行く先々の人々とのやり取りが丁寧に描かれていて良い。
スピードがゆったりしてるしでセリフの間を上手く取ってる気がする。
なので視聴者にちゃんと伝わってるのではないかと思う。
回想を入れてキャラクターのバックボーンが伝わっており愛着が湧く。

上にも書いたけど旅アニメが好きなのでそれだけでも結構嬉しい(笑)
ちゃんとした旅系は意外と貴重な気がするのでありがたい。
フリーレンが人間を知るという目的があり、時にはズレた発言をしながらも旅をしながら学んでいく展開も良し。

ザインがパーティーを離れたのも良い。
どうせ「やっぱお前達と行くよ」とか言って戻ってくるんじゃないかと思ったけど友に会うという目的を優先した。
そうするのが普通なのかもしれないけど、少年誌掲載の作品は戻ってくるという展開にする事が多いと思うんですよ(イメージでしかないが)
ちょっとした変化球なんじゃないかと思ってます。

大々的に打ち出してきただけあってクオリティーが高い。
魔法使い選抜試験は戦闘の作画や演出の良さあったから面白かったのはある。
面白いつまらないは置いといてマッドハウスは作画が安定してるイメージがある。

旅だけだと飽きてしまうかもしれないので選抜試験編に突入したのは良いと思います。
試験終わって旅を再開したのでしばらくは旅を描く形であって欲しい。
2期は決まってないけどきっとやるでしょう。

2クール目のOPが良い。
曲調だけで言えば1クール目と逆の方が合ってる気がする。
落ち着いていて主張しない邪魔しない劇伴も良かった。



序盤はあまり覚えてないくせに書くのもあれですが全体的に良かったです。
ただ、やはり万人受けはしないかなぁ。
まあそれくらいの方が良いんですけどね。
人気が加熱しすぎると嫌になるのでw
面白いつまらないの評価がはっきり分かれそう。

ゴリ押し感が無ければ素直に受け入れて絶賛してたと思う。
そこは自分が悪いし損してるなと思いますね(苦笑)

投稿 : 2024/06/23
閲覧 : 38
サンキュー:

4

どどる さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

みんな過去に縛られているのが良い

「観客の知らない、1話が始まる前の出来事が、作中キャラの心を縛り続ける」というストーリーモデルが大好き。
知らない回想、知らない感情に縛られているキャラ、かなり気持ちがいい。

さらに、過去への縛られ方が良い。
親から、地域から受けた教育を信仰のように守っているキャラはいない。
みんな過去に、自分で「これは大事だ」と感じるものを大事にして生きている。
年を取ってからの出会いも多く、原体験ばかりじゃないのも良い。

投稿 : 2024/06/18
閲覧 : 33
サンキュー:

4

Tio さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

最高のアニメ

フリーレンの長い人生の
時間感覚での10年は
自分にとっては、
自分を変えてくれたあの1年かな、
とか終始いろんなことを
一緒に考えさせてもらえる。

作画も大変美しく、曲も素晴らしい。
アニメ、原作ともに
友達に激推ししたい(した)作品!!

投稿 : 2024/06/14
閲覧 : 24
サンキュー:

3

サルモネラ菌 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:今観てる

完成度が凄い高いアニメだった

原作の絶妙な空気感をそのままアニメにできてる。
作画もCGをあまり使ってなかった気がする。
全部ぬるぬる動いててすごかった。
最高のアニメです。

投稿 : 2024/06/13
閲覧 : 33
サンキュー:

4

Qoo さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

回想シーンが待ち遠しくなるアニメ

キャラの過去を掘り下げることが大正義となりつつある昨今、本編置き去りで長すぎる回想シーンを取り入れるアニメばかりになり、正直うんざりしていた自分。

しかし本作品は短めの断片的な回想シーンを物語の中に散りばめる斬新な手法を用いており、回想自体は1分少々と短めなものの心を撃ち抜かれるシーンばかりで気がつけば回想シーンが待ち遠しくなるほどになっていた。

また本作品は原作も十分面白かったがアニメ化して大成功した部類と言える。原作の唯一の弱点であった淡白な戦闘シーンが大迫力のアニメで補われており、カメラアングルも凝られたものに変えられていたり、服の皺や風に靡く髪などまで繊細に描かれていて作画への力の入れようが伺えた。

キャラについてはとにかく可愛いの一言に尽きる。見た目もだが言動が愛くるしく、好感度の低いキャラはほぼいないぐらい。また徐々に進展していくキャラの関係性を見守るのも楽しく、とにかく微笑ましい気分になる。

音楽はOP,ED共にビッグネームなので間違いなし。地味に良かったのがBGM。ケルト系の音楽が物語の雰囲気と最高に相性が良く様々なシーンを盛り上げてくれた。

投稿 : 2024/06/10
閲覧 : 76
サンキュー:

17

hidehide さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

何だか色々、凄くいい…良かった!

不老長命なエルフ、そして、寿命がある人間…

1000年以上 生きている以上、
数人と過ごした10年なんて、記憶のかけら程度…

その、人生の 1/100の『かけら』が
いかに大きかったのか…と気付いた時、
そのエルフは

なにを思い、なにをするのか…

何故か、1話 1話、ジワジワきます。
なんなのでしょうね。

あの時、
こうしていれば、こう言っておけば、と、
自身の過去を想起してみたり、

この先は、
こうしよう、こう言ってあげたい、と、
思わされる作品です。

それでも
ちゃんと、笑える所は笑えるし、
『神話クラス』の強さも見せる

個人的には、
声優陣のチョイスが完璧過ぎ!と思っていますが…

実は、各話でのセリフのない、
音楽だけのシーン、というのですか?
あそこに『グッ』ときたりしています

まぁ…何せ全部が良作過ぎる…って事ですかね。

OP、ED、でチラホラ見受けるシーンには、
何やら意味深な所が多々あり、切なくなりますね…

ずっと、
3人の、時には4人の旅を、
フェルンに怒られるフリーレンやシュタルクを、
フェルンやシュタルクを褒めるフリーレンを
また見たいと…
ずっと見ていたい、そんな作品です。

投稿 : 2024/06/09
閲覧 : 167
サンキュー:

20

ネタバレ

ハニワピンコ さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

時間が変えてくれるわけじゃない

今更この作品の格をあれこれ語る必要もなく、盤石の体制で放送されて当然話題となった本作
自分は作品名と何となくのコンセプトは知った上で、正直アニメ作品としてはあまり好きそうではないコンセプトで進んでいくと思って実際その通りで、1話で魅せてくる感じは成程と思ったけれど、その後のABパートに分かれた短編でキャラの紹介やコンセプトに沿って生かしたエピソードはギャグも交えつつ非常に見やすくちゃんと作られていたが、連作としてやっていく中で、最終目標までの道のりの中で一本のストーリーがあまり描かれず乗り切れてはいなかった。しかしアウラ編は核となる部分が見えてきて、キャラ紹介も済んだ上での活躍と、人間と魔族の違いや過去と現在の違いを見せていく中でのフリーレンの変化も見せてきて面白くなってきた
その後はABパートに分かれた短編でもキャラ自体に興味が持て始めたので、描かれるエピソードエピソードを楽しむ事が出来た
意外とこの作品、ちゃんとギアがかかるまで結構時間が掛かって展開として難しかったと思うけれど、それでもここまで話題になっているってやっぱり1話の掴みってかなり大事なんだなと改めて思った
それと見せ方も、ありがち故に安っぽい感じにもなってしまうテーマでありながら大筋は普遍的だがそれより一歩踏み込んだり 別の視点から見せてくる、道直球過ぎる描き方はもはや描かれすぎている中で、凡庸にならない為には別の捻った“何か”を備えているとやはり作品として強い

大きく話題となったアニメーションについて
原作は未読だけれど、特に戦闘描写はかなり追加がされたと聞いている。実際その通りだと思っており、vsリュグナーのフェルンは、相手の魔法を防ぎながら前進する場面や、城の城壁塔みたいなところの中を通っていく場面をワンショットでカメラを移動させながら見せる、アニメではかなり作画が難しいけれど個人的にかなり好きな見せ方
日常パートもキャラの動作を丁寧に描いていたり、社交ダンスも二人だけでなく周りすらも手書きでやり切っていたりと、アニメーターも他のアニメでよく名前を見るような方だったりが参加して2クール28話作り切る、まさに現代アニメの一つの到達点とも言える出来だった

話題度を踏まえてもほぼ確実に続編はあるでしょう。意外とこの作品は一過性な話題よりは継続的な話題が見込める作品だと思っているので、1年以上間が空いたとしても同様の話題性を得られると思う
簡単に消費されない物語というか、一人一人丁寧に紹介とキャラ同士の関係を、ギャグや信条 過去の出来事などで活躍や出番を与えて魅力的に見せていくのでその分記憶にも心にも残りやすい、もちろんそうするための作者の力量も必要だがやりきっている、今の時代にここまでこの作りで話題になり受け止められているのは凄いことだとは思う
ネット上で伝播された部分もあるけれど、踏み込みすぎない公式の触れ方もかなり上手かった。そのおかげでネット上でもかなり好意的に受け取られているというのもこの作品の強さの一つである

物語 アニメーション 声優 ネット上を含んだ話題性どれをとっても引けを取らない現代アニメの一つの完成系 20年代アニメを定義する一つとも言える今作品は、ムーブメントが大きくというわけではなく、一人一人が当たり前の如く見ていて伝わっていく感じはとても象徴的であると思う

投稿 : 2024/06/08
閲覧 : 34
サンキュー:

8

バニラコーク さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

他人がどう言おうと。

珠玉の名作。
他人がどう言おうと。
感情が凄く平坦なのに
凄く揺さぶられた。
最高の作品に出会えて良かった。
これが好きな自分で良かった。
仕事が忙しすぎてコメントサボってたけど
これだけは書いときたかった。
明日も頑張ろう。

YOASOBIの曲、正直いらなかった。



期待しかありません。
一つあげるとしたら
サブスクで観られるのかって事です。
色んな人に観てもらいたい作品だと思うのですが。

投稿 : 2024/06/08
閲覧 : 104
サンキュー:

4

ネタバレ

カモミール さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.5 状態:観終わった

1000年以上生きているエルフの視点での話しが良かった。

魔族との戦闘での痛快さや時々出て来るコメディ要素が面白かった。1000年以上生きているエルフの視点での話しも良かった。

投稿 : 2024/06/01
閲覧 : 31
サンキュー:

2

ネタバレ

かがみ さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

いまここから別のいまここへ

ゼロ年代が「萌え要素」と呼ばれたキャラクター設定のデータベースが整備された時代であったとすれば、2010年代は「ナーロッパ」と呼ばれる世界観設定のデータベースが整備された時代であったといえる。そして、このような「ナーロッパ」というデータベースから出力されたシュミラークルの一大潮流が「異世界転生系(なろう系)」というジャンルであった。けれども、このような「異世界転生系(なろう系)」はその傍流に「異世界スローライフ系」と呼ぶべきジャンルを生成していった(もっとも多くの作品において両者は重なり合っている)。そして本作の幅広い受容はこのような「ナーロッパ」というデータベースを基盤とした「異世界スローライフ系」というジャンルがひとつの成熟期を迎えたことを意味している。また同時に「魔王」も「勇者」もこの世から居なくなった「後の」世界を舞台とする本作はヘーゲル的な意味での「歴史」が終焉した後のポストモダンとしての現代の比喩であるともいえる。その意味で何かの目的のために魔法を求めるのではなく魔法それ自体を愛好し、その探求のプロセス自体をも愉しむフリーレンは「いまここ」から「別のいまここ」へと超出していくポストモダンにおけるコンサマトリー的な生を理想化した存在であるといえる。

投稿 : 2024/05/31
閲覧 : 31
サンキュー:

5

をぬ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

制作陣の本気。

魔王討伐後の世界で勇者パーティのエルフの魔法使いフリーレンは人間を知る旅に出る。

オリジナルなシーンを追加したり、戦闘シーンを膨らませたり、原作から削られた部分もありましたが、本当に素晴らしいアニメ化だと思いました。

キャラもストーリーも凄いけど、特に魔族の設定には唸りました。
パーティ解散後のヒンメルがどんな暮らしをしていたのかも気になる。

投稿 : 2024/05/18
閲覧 : 56
サンキュー:

5

DahOh32684 さんの感想・評価

★★★☆☆ 2.7
物語 : 1.0 作画 : 4.5 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 2.0 状態:途中で断念した

過大評価

アウラ、自害しろの所までは見たけどぶっちゃけ面白くない

全体的に淡々としすぎてて虚無臭いので断念?

投稿 : 2024/05/07
閲覧 : 134
サンキュー:

1

リタ さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

28話通して安定感がある

人気作や話題作はなかなかブレない安定感があるから楽しめる作品が多い。

フリーレンもSNSで散々話題になっていたし、楽曲も未だに人気がある。

なので確かに引き込まれるし、テーマというか見せたい、追っていきたいものがしっかり決まっているので話が進んでいく事がどんどん楽しくなる。

個人的に多少イラつくメインキャラがいるものの、その他のキャラがカバーしていたり良い出会いがあったりで飽きる事もなかった。

28話はわりと長いはずなのに、あっという間に終わってしまったと感じるのは、魅力があるおかげだと思う。

過去に旅アニメで心えぐる系の良作や、最近でも不死旅系でも良いのがあったけど、これはこれでまた違った心に響く作品に出会えたと思う。

投稿 : 2024/05/06
閲覧 : 50
サンキュー:

5

アニメに覚醒 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 5.0 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 5.0 状態:----

とてもよかった!

勇者が速攻いなくなる物語で気を衒っただけかとおもったけどほんとよかった!
亡くなった人の回想シーンが毎回でてくるんやが、普段なら過ぎ去った過去何回も見せられても…ってなるけどこの回想シーンが物語にいかに必要か三話目くらいで感じる!
ぜひみて!!
蟲師とかすきなら好きだと思うよ✨(たぶん)

投稿 : 2024/05/06
閲覧 : 38
サンキュー:

3

ネタバレ

薄雪草 さんの感想・評価

★★★★★ 5.0
物語 : 5.0 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

その魔法使いは、タイムラグにどんな料簡を見せる?

原作は未読ですので、まっさらな気持ちで観ています。

みなさんの評価がとても高いので、期待を込めて視聴継続です。



4話。「葬送」って、生者が死者を悼んで見送るときの言葉ですよね。
{netabare}
だけれど、フリーレンにしてみると、人間と共にできる時間の長さや早さがあまりにも食い違っているので、感情はもちろん、知識さえ自分の場外にほかりっぱなしにしているみたいです。

そこから汲みとると、一義的には、そもそも人間の間尺には合わないズレ感みたいな日常とか価値とかが描かれるような気がします。
となると、葬送って意味の解釈がどんなふうに描かれ、どんなふうに受け止めるかが鑑賞のポイントになってくるのかもしれません。

フリーレン自身は、魔法使いとしては研究熱心に見えますし、能力的にも無双のようにも見えます。
その反面、人間由来の依頼にはマイペースに徹していて、相手に合わせるようなそぶりが少しも見えないんですね。
そこはまぁ、そこはかとないギャップ感で、お茶目な印象のフリーレンです。

見送りのなかには "回顧" や "懐古" といった含みがあって然るべきなのかもしれません。
ですので、そんな人間臭い文化性がどんなフリーレンを形づくるのか興味津々です。

これからのち、人のつながりや重なりが彼女を変えていくのなら、そこに生じるだろう世界観や時間軸の整合性が何を見せてくれるのか、なおさら楽しみで仕方ありません。
{/netabare}


7話までの感想。
{netabare}
とても、とても惹きこまれています。
もしも、もしも "今期の覇権" という表現が相応しいのなら、そう言っても良さそうな期待感が膨らんでいます。

皆さんのレビューを読むにつけ、新しい気づきにはたと膝を打っています。
「なるほど、そういう捉え方もあるのか。」
「あの演出は、そんな意図があったのか。」と。
ほんとうに感謝です。

それに、スタッフの趣向やこだわりのおかげで、毎回、鮮明な気持ちで、フリーレンの世界観へと没入できています。
ともすれば原作に手を出したくもなりますが、そこはぐっとこらえて視聴していきたいと思います。


フランメ。
今やおとぎ話に語られる彼女も、フリーレンには昨日のように思い出される師匠。

その足跡をたどれるのは、一人の継承者のみ。
その功績を体得できるのは、連れあう仲間のみ。

大魔法使いの息吹に触れる口上は、彼らにはおしなべて謎めいています。
ですが、フリーレンがハブとなって、その命脈へと導いているかのようです。

滅びへと向かうかもしれないスタンスにあっても、引き継いだ想いを果たすかのような控えめな台詞。

安易な言葉には流されない彼女の双耳。
真実のみを怜悧に見定める彼女の双眸。

種を蒔き、花を咲かせ、実を生らせるのならと、時の流れを撚り合わせていくフリーレン。

EDに写る彼女の瞳の先に、十重二十重(とえはたえ)にいろどる Timeless が咲き乱れる。

EDに映る彼女の眼差しに、光陰は矢のごとくに、一日千秋に祈る Always が見てとれる。

一瞬のまぼろしとも思える人との交わりを、永続する希望として歌いあげる Milet さんのメロディラインが心を震わせます。

すっかり、すっかりお気に入りです。
{/netabare}


9話。「断頭台のアウラ」回。
{netabare}
作劇としてはとても面白かったです。
次週が待ち遠しく感じられたのは久しぶりでしたし、皆さまのレビューも楽しめました。

ただ、一つ気になるポイントも・・。
作品には直接関係ないので伏せておきます。

{netabare}
流れとしては、フリーレンとフランメの馴れ初めを紹介する回でもありました。
気になったのは、薫陶に語られる「動機と手法」です。

二人の共通項は「魔族への復讐」です。
怒りに滲む悔恨を、知略に置きかえる発想で、行動を創り変え、目的を遂げようと図ります。
それを自らの修行として1000年を費やせるフリーレンなのですね。

「目立たなく生きろ」とのフランメの教えは、フリーレンに臥薪嘗胆と深慮遠謀を促しています。
とは言え、彼女はどんな想いで、人類やエルフの長き被虐の歴史を葬送してきたことでしょう。

その胸中にあって、魔力の体外放出の制御を「何となく?」と見抜いたヒンメルに、待ちに待った時が熟したと判断したフリーレン。
ハイターとの掛け合いにイラついたのも、案外、彼らの計略にまんまと乗せられた、と解釈しても楽しそうです。

いずれにしても、ウィンウィンの10年の長旅がそこから始まったわけでしょうし、その10年の活躍を、わずか1秒にまとめる演出は、すこぶる見応えを感じさせる見事さでした。
このシーン。私は、フリーレンが時間を俯瞰する際の習性を表現していたようにも感じました。


また、二人が一致させた手法は「魔族を魔法で欺くこと」。
意外だったのは(推測ですけれど)魔王討伐においても魔力を全開放しなかったという彼女の怜悧な判断です。

フランメとの魔王をぶっ殺す約束は果たせても、アウラら大魔族を獲り損ねたフリーレン。
魔族を撃ち滅ぼすのが彼女の最終目標なのでしょうから、全存在をかけて復讐心をたぎらせるのは、彼女の意志としては理解できるところです。

それに魔族のプライドを逆手に取る術策は、まさに頭脳戦の極みと言えそうですし、飄々とするフリーレンの風体とのギャップが、フランメの教えの凄みを更に浮き立たせています。


ただ・・・少年誌の人気作の主人公の動機が「復讐」という設定は、そのアイデンティティーにおいて相応しくあるのだろうかと、私はいくらか引き気味です。
また、「欺く」という手法にも、どうにもスッキリしない印象が残ってしまっています。

まぁ、それだけ今の世の中が荒んでいる証左を反映していると言えるのかもしれません。
騙し騙され、謀り謀られ、しゃぶり尽くされ、搾り取られるというこのご時世の悪しざま。

コンテンツとしてのフリーレンは、その体現者なのか、あるいは真逆のアンチテーゼを示しているのか、一視聴者として、今後の展開が気になるところです。
{/netabare}
{/netabare}


10話。グラナト伯爵とモンクのクラフト回。
{netabare}
アウラの魔法によって命を奪われた魂を、(ようやく?)80年越しに解放し、膝を折って葬送するフリーレン。
私は、祈りを手向ける彼女の姿もそうですが、むしろその心の寄せ方に関心を向けました。

アウラに囚われた勇者の全ての魂を解き放つのは、フリーレンの魔力総量でも厳しかった。
ですが、80年前にヒンメルに叱られたのは、彼らを問答無用になぎ払うという不遜な振る舞いでした。

だから、彼女は今回、彼らをアウラの手下として見るのではなく、勇猛果敢に立ち向かった同志として、長き呪縛から解放する妙策を案じたのですね。

「自害しろ」と背越しに言い放ったのは、無念に散った英霊らの雪辱を果たし、彼らの眼前にその首が落ちるのを見せたかったのではないかと読みました。

フリーレンの祈りは、80年前に辱めた英傑らへの非礼に対する禊であると同時に、ヒンメルとのよすがを温めたい想いでもあったのだろうと感じました。



グラナト伯爵は、フリーレンの時間軸では赤子のような存在ですが、フリーレンをリスペクトする態度は大人の振る舞いです。
それは長く独りでいたフリーレンには、なかなか理解しにくいお作法かも知れません。

でも、フランメとの約束に信義を置く以上に、ヒンメルらとの10年で培い、フェルンやシュタルクとの旅で、遂につかみ取った宝ものだったとも言えそうです。

"強い魔法使い" 。
それは、魔力の総量や技術、相手を欺く知恵はもちろんのこと、強大な魔族に立ち向かった勇者たちを慮り、その尊厳に寄り添える人格と態度のことと感じました。



クラフトはモンクであり、モンクとは武闘僧とのこと。
日本の歴史に置き換えると、武蔵坊弁慶に比肩するのでしょう。
両者とも、出自も身の果ても不詳とする伝説的な存在のようです。

クラフトは自身の功績を、女神の称賛に求めています。
エルフと人類には心許ない記憶も、女神を仰ぐならその足もとに心の安寧が得られると言うのです。

ただ、その偶像性への恋着は、抽象概念として結び得ても、誕生日を祝ったり、笑いあったりする輩(ともがら)にはなり得ません。

フリーレンの料簡は、1000年に風化し形骸化されるおとぎ話にではなく、ヒンメルらの10年、そして今生浮世の旅にこそ見出せるものなのでしょうね。



シュタルクが兄から受けていた愛ある薫陶。
そしてアイゼンとフリーレンがこしらえるビッグハンバーグ。
これらのプレゼントが、彼の意志と肉体の強さを "勇者の剣" に値する端緒となればどんなにステキでしょう。

"本物の勇者" 。
それは、神々の審判に適うモニュメントを踏み絵と拘泥しながら生きる道か、あるいは世の毀誉褒貶(きよほうへん)に惑わずに未来へと踏み出すかの違いにあるのかも知れません。



ところで、二人がフェルンにささやいた「いい匂い」と、フェルンが連発していた「エッチ」。

怪しげな薬で、フリーレンを問答無用で真っ裸にしてしまうし(エッチ、なのかな?)。

銀のブレスレットは、古く宗教的には "精神的な束縛" という含意・・。
それをシュタルクにプレゼントするとは、エッチなんて軽口どころでは収まらないような・・。
しかも、どう見たって、いちばん "分厚そう" でしたし。

彼女の純粋にすぎる師弟愛は理解できなくもないですが、解釈次第ではシュタルクを擁護したくもなりますね。
フェルン、ちょっと怖いかもです・・・。
{/netabare}


13話。ザインの今と今更の回。
{netabare}
私としては、評価⭐️5つの回でした。
すべてのキャラのパフォーマンスにワクワクしました。

全体としては、ザインを誘うストーリー展開。
キーワードは「私は今の話をしている。」でした。

「今」とは、出会いの可能性に "期待を含ませる" 言葉。

本当はフランメから託され、フリーレンが引き継いだ言葉でした。
それは「魔王に対抗できる "いつかの今" 、ぶっ殺す "そのときの今" 」です。

でも、長年、魔力の体外放出を10分の1以下に押し込めてきたフリーレンです。
そんな "今" の積み重ねが、魔族への憎悪感も、戦う熱の総量も、自分を欺くまでにこじらせてしまったというのが実相のようでした。
言うなら、自己効力感の欠落と、自己欺瞞という底なし沼です。

彼女はヒンメルに「500年という流れに、戦い方を忘れてしまった。怖くなった。」と話していましたが、それはそのままフランメと過ごした "1000年分の今" を冒涜するものです。

フランメとの約束を反故にすることは、自分自身の生き方を偽ることに他なりません。
だから、ヒンメルから「今の話をしている。」と誘われたときに、胸を衝かれたのではないでしょうか。

80年前、フリーレンはヒンメルに誘われる立場でした。
今回はザインを誘う側、言うならヒンメルの立場です。

何百年と心を欺いてきたフリーレンを、ヒンメルのひと言が確かに変えたのです。
どうしてザインの10年を動かせないものと諦められるでしょう。

フランメから授けられた奥義(投げキッス)をヒンメルに振る舞ったのは、自己効力感(魔法使いとしての矜持)を確認したかったのかもしれません。
確かにヒンメルには効果覿面(てきめん)だったみたいです。
だから、ザインにも絶対的な自信があったのでしょう。

ヒンメルにはシュタルクばりの鼻血を流させ、ザインにはアウラばりの自惚れを糾すのが、フリーレンの料簡だとしたら・・。

これはもう、アイゼン曰くの「罪な女」認定のフリーレンですね。

~   ~   ~   ~

それにしてもフランメから託された魔王討伐までの "その時" 。
まさか "いつもの" ダラダラ評がフリーレンの真実だったとは予想外でした。

およそ主人公で、ここまで約束を先延ばしするキャラは、アニメ界広しといえどもなかなか見当たりません。
ますますフリーレンの素性と素行が分からなくなりそうです。

あえて蒸し返しますが、フランメ仕込みの投げキッス話も、なんだか当てにはならないかも。
だって、あんな生めかしい "しな" をフランメが演じるとは思えませんもの。

いえ、むしろ深慮から教えていたのであれば、さすが大魔法使いの先生、フリーレンの性格を "わかっていらっしゃる" です。
彼女がトラウマに萎縮するのを見越したうえで、元々の意地の強さが発揮できるように仕込んでおいた "奥義中の奥義" と言って良さそうです。

投げキッスという奥義。
その効力は、"魔力に由らず" とも、自己効力感を高めたり、自己欺瞞を打ち消したり、相手の "心臓を撃ちぬく" には威力たっぷりなんですね。
やってみると分かりますよ。何か得体の知れない活気がモリモリ湧き上がってくるのが感じ取れるはずです。(自己の解釈です。)

ところで "今更" ですが、同族嫌悪は自己嫌悪のことでもありますから、ザインの10年とフリーレンの1000年は、"今を選ぶという点において質も量も違いはない" という受け止めが "オチ" なのかもしれません。
{/netabare}


14話。シュタルクは「バカ」?の回。
{netabare}
「乙女の一念、岩をも穿つ」。

ここにきて "生臭坊主" に育てられた綻びが悪目立ちしてきた "乙女な" フェルンです。

そう言えば、彼女は、フリーレンに弟子入りする前から、一途に自分磨きをしていました。

ハイターへの敬慕と、フリーレンに師事したことこそ、フェルンの何よりの強みのはずです。

とは言え、"恋の攻撃魔法には不得手" なフェルンが、"内なる恋に恋してしまったら" 果たしてどうなるか・・。

しかも、相手が "岩男" のシュタルクなら尚のこと・・。

だって、彼は、いつだってハイター様をドン引きさせるアイゼン様の "一番弟子" なんですもの。

これではシュタルクの「バカ認定」が既定路線化していくのは避けられそうもありませんね。



それにしても、大人のゆとりを振る舞いながら、その実、屋根から盗み見する "オトナ" もどうなの?と思っちゃいます。

でも、こういう "バカさ加減" が、フリーレンが一番やってみたかった "人を知ること" なのかもしれませんね。
{/netabare}


15話。タイアップ&イノベーションの回。
{netabare}
今話もよく練られたストーリーラインでした。

前半は、シュタルクとフェルンにはお休みさせて、ザインとフリーレンとのタイアップ&イノベーションです。

新加入のザインには、フリーレンとの連携には今一つ時間不足。
その懐疑を解かしたのが、ハイターから聞かされていた説法です。
その示唆は、僧侶と魔法使いのタイアップには欠かせないヒントのようでした。

両者の魔法は、指向性も有効性も違うので、相互理解は難しいもの。
「だからフリーレンの言葉を信じたのです」というハイターの言葉を信じたザインの勇断。

新参冒険者のザインに必要なのは、パーティーへの理屈抜きの信頼だったのですね。

その結果としての鮮烈な電光石火の攻撃こそが、フリーレンの料簡でした。

ハイターの知見とザインの覚悟とを絡めた、三者三様のタイアップ&イノベーションが楽しめたAパートでした。



Bパートは、ザインとフリーレンはお休みモードで、シュタルクとフェルンのタイアップ&イノベーションのお話でした。

シュタルクの兄弟愛と、オルデン卿の親子愛のタイアップが、思わぬ展開でフェルンとシュタルクのパーティーダンスにイノベートされます。

いつもなら「シュタルク様はバカ」と言ったり言われたりの体面に繕う二人です。
でも、舞踏曲にステップを合わせ、視線を重ねる二人は、とても愛らしく、初々しく感じられました。

プレゼントに交わしあったときの、ちょっぴり雑な心持ちを、思いもかけないフォーマルな気持ちで、受け止めあえたんじゃないでしょうか。

お互いを気遣い合うフェルンとシュタルクのイノベーションは、もしかしたらフリーレンにも同じ感覚を呼び起こしたのかもしれません。

なぜなら、フリーレンもまた、かつてヒンメルからリングをもらった記憶に、懐かしく微笑んでいたのですから。



厄介事の匂い。

旅路でのタイアップ&イノベーションには、心をときめかすツール&シチュエーションとして、指輪も、ブレスレットも、舞踏会も "あり寄りのあり" です。

ですが、大人を自負するザインには、若者&若目立ちする一座は "おこちゃま道中" にしか見えないようです。

ましてや、連れのお姉さんは、魔導書にしか興味がないようです。
理想とするお姉さん像に比べると、今さらながら、厄介事の匂いばかりが鼻に付くのでしょうね。

そんなザインも、一皮むけば、ハイターの上を行くなまぐさ坊主。
若者らの嗅覚なら、"厄介事" のオトナ臭がぷんぷんするのかもですね。

それもまた、タイアップ(協力と提携)& イノベーション(結合と活用)に生み出される "人の心" の匂いなのかも知れません。
{/netabare}


16話。心を受け止める役目、の回。
{netabare}
今話は、耄碌(もうろく)しても、頑固であっても "時の守り人の矜持" が沁み出る良作でした。

Aパートは薄れてしまった妻の面影、つまりフォル爺の内面性を、Bパートでは忘れさられた英雄像の名前、こちらは頑固婦人の外面性に焦点を当てています。

おぼろげな記憶も、風雨に消えた名前も、胸に美しくしておきたい想いは、のちを生きていくためのともしびです。
二人の持ち時間に数百年のタイムラグはあったとしても、胸中深くに秘めている矜持は同じなのでしょうね。

目には見えない心の襞(ひだ)には、過ぎ去った時間を記憶に書き留めた真実が刻まれています。

「フォル爺のおかげだよ」と昔話に花を咲かせる楽しさで、心にひとつ安堵を得たフリーレン。
「未来に持っていってあげる」と、その役目を心に誓うのです。



長寿友達とは、エルフやドワーフのような "長命族" だけの特権ではないと思います。
フランメやヒンメルらも、フリーレンには忘れることのできない面影であり、声であるはず。

それなのにフリーレンの素っ気なさといったら、ほんとうにどうなっているのでしょう。
エルフの先天的な特性なのか、それともフランメの後天的な教えなのかは分かりかねますが・・。

「ほどほどに」だとか、「別に・・・」だとか、まるで他人事のように処するのは、いくら何でも水臭いですよね。
でも、彼女がずいぶんと変わったと思うのは、誰の目にも明らかでしょう。



どうにも不器用で心尽く彼らの旅路は、のんびりとゆっくりと気心を交わしあう旅でもあります。

今のパーティー組みの時間経過は、フリーレンの感覚では、ほんの数秒ほどにしかならないのかもしれません。

でも、タイムライフとしては、フェルンらとともに、多くの視聴者を交えて継承していく確かな懸け橋となるものです。

それは、2倍速とか3倍速とかのタイパでは到底伝えられそうもない、一瞬も目が外せない極上なエピソードばかり。

けれど、やっぱりフリーレンは気だるそうな顔をしてこう言うでしょう。
「私は、ただダラダラと "魔法の収集をしているだけ" だよ。」と。

それが彼女が人払いに使う常套句であることはとっくにバレバレなんです。
でも、かつて「ダラダラと "生きてきただけ"」とヒンメルに言っていたのを私は見逃していません。

ちょっとした言い回しの違いでも、フリーレンの気持ちにどれほどの変化があったのかが窺い知れるというものです。



かつてフランメが、最後にフリーレンに話したのは「私が魔法を好きになった理由」でした。
それはフリーレンに仕込まれた「理想の魔法使い」へ回帰するための処方箋にもなっているようです。

花々が咲き乱れるその真ん中で、フリーレンが楽し気に、軽やかに笑ってほしいと願ったフランメの了簡。
それは、戦うだけの魔法使いではなく、何気ない日常に生きる魔法使いの役目であることへの心遣いです。

1000年を超える寿命のフリーレンです。
彼女が「魔法が好き」と公言するのなら、行き交う人から "魔法使いが好き" と言われることが、あるべき人生の姿形なのでしょう。

フランメには、最初から分かっていたようです。
フリーレンが人目を忍ぶ天涯孤独であっていいわけがないことを。
人の心を深く知るべきなのだと。



最も長命なエルフ族。
「葬送のフリーレン」とは、人類にも魔族にも、本質的には "その立ち位置は揺るがない" との意味で間違いないこと。

彼女は、どのようなスパンで関わったとしても、常に見送る側にいます。
視点を変えれば、誰にとっても、彼女に葬送されることを意味しています。

ですが、1000年の静寂も、10年間の戦闘も、この旅自体も、そのお作法で割り切っていいものとは思いたくありません。
ですから、私は、「葬送の」を 『錚々の』と読み替えて、フリーレンの生きざまを捉えてみたいなと思っています。


「どうしたもんだか‥。」とこぼしたザインの揺れる想いも気になるこの頃。
まもなくお正月ですが、早々に時間を進めてもらいたい気分です。

全く、フリーレンには、私の了簡が足らなくなってきました。
これも "どうしたもんだか、な" です・・。
{/netabare}


~     ~     ~
   ~     ~     ~


2期もすっごく楽しめています。


21話まで観たところで一筆。
{netabare}
今話は刺さる台詞がいくつもありました。

「魔法は自由であるべきだ。」(フリーレン)
「魔法は探し求めているときが一番楽しい。」(デンケン)
「こういう魔法使いが平和な時代を切り拓くんだ。」(フランメ)
「魔法の世界では天地がひっくり返ることもある。」(ゼーリエ)

4人の台詞は、魔法使いの矜持と深い含蓄とを、確然と感じさせるものだったと思います。

今後は、大陸魔法協会と聖杖の証とのパワーバランスや、追い求める者と授ける者との大局観の差、既知の魔法解析と魔法への奇知への期待が高まります。

加えて、エルフ特有の長命性に対峙する師匠と弟子、それぞれの人間観(人間を知る旅)なども相まって話は進んでいくものと思います。

もはや本作は、近年まれに見る大河ドラマレベルの夢想夜話といった様相になってきていますね。

どこまでも原作中心主義に突き詰めた演出の妙に期待しています。
{/netabare}


22話。心許(ばか)りのタイムラグ?の回。
{netabare}
物語の進捗でいうと、バトルのあとのお休み回といったところ。
でも、本作の特長は、アフォリズム(人生訓)満載というのがポイントです。
登場するキャラのセリフに、いちいち寓意と含蓄がありますから、ひとつも聞き逃せません。

必ずと言ってもいいほどに、"次回以降の伏線" か、あるいはともすれば "以前の回に掛かる種明かし" になっていて、なるほどそこに結びつくかと頷ける巧みな仕込みになっています。


例えば、共感を得ることで、他者の魔法を使いこなせてしまえるユーベルは、ヴィアベルとの "何気な時間稼ぎの会話" にその伏線が張られていました。
23話以降、この "共感" が、フリーレンや他の受験者たちの絡みに、どんな展開を開いていくのか期待が膨らみます。

また、デンケンが老体に鞭打っても足掻くのは、宮廷魔法使いのトップであっても、故郷の墓参りにも馳せられないもどかしさが折り込まれていました。
名誉も権威も、奥さんへの思慕には到底及ばない、その内面にある境地が、フリーレンをどのように感化させていくのか興味がつきません。


エンデへの旅に同行している私たちも、フリーレンがさまざまな人間の心根に触れながら、相見互いにアフォリズムを "血肉化している姿" に、ともどもに共感を育てているのではないでしょうか。

フリーレンは "カンネの返礼品" は無味乾燥に思えたみたいですが、お冠だったフェルンをとろけさせるには、このうえない "未知の魔法" だったようで、畏まりながらも嬉しそうでしたね。

ともに助け合って第一次試験を乗り越えたともがら。
それぞれが今を生きるのも、それぞれの未来を活かしあうのも、お互いの心を許しあってはじめて "奇知なる魔法使い" になれるのかも知れません。

"人の心とのタイムラグを埋め合わせる旅" 。
それはヒンメルとフランメが遺した、フリーレンのための "アフォリズム"。
わたしは密かにそのように思っています。
{/netabare}


23話。わたし的⭐️5つの回でした。
{netabare}
受験者にとっては、自尊心にも自負心にも触れるその複製体。
ましてや攻撃型に特化している彼らには、敗北は受け止めがたいダンジョン設定です。
北の大地の魔族に対抗するには、いかに戦局に見合う魔法を平常心で使いこなせるか。
最高峰のステータスに問われるのはそこでしょう。

複製体=実力が互角なら、いずれは魔力の消耗戦となることは自明です。
万一、勝ち負けに拘れば "自らの零落に消える" ことになります。
となれば、プライドの選択にも、柔軟な発想と怜悧な計算が試されます。
あたかも・・ミミックに押し込み、吐き出させるように。

フリーレンの複製体に対峙するデンケンのパーティー。
対抗できるとしたら未見のメトーデの魔法能力なのかもしれません。
でも、ゴーレムに次の試験にチャレンジする機会も残されているはずです。



第2次試験官の意向。

ゼンゼは試験官としては協会のメンバー。すなわちゼーリエの主意の体現者でもあります。
試験課題のクリアにのみ価値を置く協会のスタンスは、はたして聖杖の証の料簡にそぐうものなのでしょうか。
もしかしたら、それは平和主義者を主張するゼンゼの信条にも、強い影響を与えるものなのかもしれません。

ゼンゼがフェルンに不思議を感じるのは、伝説の大魔法使いに微塵も物おじしない態度と、ダンジョン攻略に恐怖しない意識性にでしょう。
平和主義を標榜するゼンゼの受験者への期待は、魔法使い同士の融和と信頼なのではないかと見て取りました。
それはフリーレンとフェルンとが、笑いあえる師弟関係に一致できるもの。
ゼンゼが「正解」とほほ笑む理由がそこにみられそうです。



ダンジョンにワクワクするヒンメルの真意。

冒険者の常識は "バカみたいなもの" ?
でも彼の本意は、限られた生をフリーレンと楽しみたいとする本懐にあるはずです。
その世界観は、それぞれが今を生き、今に活かされるという "人の心" を示すことに尽きます。
結果として世界を救えたならと笑う基底にも、今という瞬間に歓びを見つけられる彼の精神性がストレートに伝わってきます。

フリーレンの旅の気づきは、人の気持ち(=ヒンメルの想い)を知るためにあります。
ゼンゼの価値観も、その利益も、平和への希求に見出せます。
ならば、笑顔こそが彼女の評価であり、天地がひっくり返るようなゴールにもなりそうです。

零落の王墓が完璧な複製体を創出するのならば、それを選んだゼンゼが、受験者に求めるダンジョン攻略法はいったい何なのか。
次回がすごく待ち遠しいです。
{/netabare}


24話。フェルン、チャンス到来の回。
{netabare}
Strong-willed.

フェルンを一言で表すとそんな印象です。
訳すと「意志が強い、頑固、決断力がある」になります。

彼女は、両親を亡くし、自死しようとしたときにハイターに出会いました。
フリーレンに言わせれば、酔っ払いの生臭坊主、大人のふりする知ったかぶりです。
そんなハイターでも、フェルンにとっては、慕い、尽くし続けてきた命の恩人です。

フェルンは一心に修練に明け暮れますが、ハイターの余命にはおぼつきません。
でも、命を救ってもらえたフェルンだから、ハイターが天寿を全うする直前まで、自身の魔法技術を磨き、ついに課題をクリアしたのです。

二心なく奉仕してきたフェルンですが、命を賭する旅路の明け暮れも、魔法の技術ではフリーレンの足元には及びもしません。
でも、彼女は Strong-willed.
言うなら、芯の強いナルシスト、淳良なレジリエント、義理堅いデターミンドです。

そんなフェルンが譲れないのが、フリーレンが思わず鼻をくすぐるほどの "いい匂い" なんですね。


そのフリーレンの "完璧な複製体" が、彼女たちの目前に立ちはだかります。
格上の魔法使いに対抗するには、拘束魔法か精神操作魔法だとリヒターは言いきりますが、フェルンはどう受け止めたでしょう。
ゲナウによれば、彼らの本当の相手は、神話に語られる魔物シュピーゲルなのです。

ダンジョンを隅から隅まで愉しむというフリーレンの心意気が、壮観な壁画としてフェルンの心をくすぐります。
「一般攻撃魔法しか使えないよ」というフリーレンの指示は、実はそれで十分にクリアできる能力がフェルンにはあると認められているようなものです。

育ての親ハイターへの高恩、師匠であるフリーレンへの報恩、そしていつか一人前になるための自己研鑽。
ゲナウが指摘するように、冷静な自己分析、チームワークが必要なら、ここでフェルンが頑張らない理由はありません。

なぜなら、実力も、魔力も、技術さえも模倣した完璧な複製体は、謂わば "フリーレンそのもの" なのですから。

リュグナーと対峙したときにフェルンが回想していたのは、フリーレンからの強烈なダメ出しでした。
「生きてきた時間が違う。魔力も技術も違う。私に追いつくことはできないよ。」と。

でも、そう言われっぱなし、凹みっぱなしではいられない Strong-willed なフェルンです。
フリーレンの完璧な複製体と闘う機会なんて、最大にして最高、そして最上のチャンス到来。

いよいよ、魔法使いフェルンの料簡の見せ場です。
{/netabare}  


25話。4人の魔法使いの料簡、の回。
{netabare}
ダンジョン攻略において重要なのは、確かな情報、展開の想定、作戦の練り上げ、そしてチームメンバーの実行能力です。
ゼンゼも「平和主義者」というヒントを出すぐらいの最高難度の一級魔法試験です。
足の引っ張り合いや、独りよがりのあてずっぽうでは、合格など望むべくもないことでしょう。

それにしても、第1次試験での対人戦と、第2次試験の集団的連携とを擦り合わせる難しさは、冷静な合理性、明確な目的意識性、経験豊富な相互信頼が求められるところ。
ラヴィーネら若い魔法使いにとっては、ダブルスタンダードにも見えるデンケンらへの歩み寄りは難しいことなのかも知れませんね。

そんな中、フリーレンが「恥ずかしいもん。」と立つ瀬がない体で申し開きする姿は、なかなかにお茶目で、その場を和ませるにはもってこいだったんじゃないでしょうか。
ただ、それが致命的な隙であっても、それを攻める魔法使いにも弱点があるわけなので、フリーレンには対策済みといったところでしょう。

それにしてもバトルに繰り出されるWフリーレンの攻撃魔法、すごかったですね。
もしも、デンケンたちがあの場にいたら、あっという間に巻き添えになって死んでしまっていたでしょう。
大魔法使いの伯仲するつばぜり合いが、どれほどに凄まじく、また圧があるかを思い知らされました。

今話は、それが堪能できた回でした。
劇場のスクリーンサイズならもっと良かったかもなんて欲張っちゃいますね。





もう一つ、今話のポイントは、"縦" と "横" に交錯する "魔法使いの系譜" が垣間見られました。

"縦" はゼーリエ、フランメ、フリーレン、フェルンと続く時間軸で、師匠と弟子との関係性とも言えるでしょう。
それぞれの思惑と行動がよく理解できる構成と演出でした。

"横" は、ゼーリエとフリーレンだけが共有できる "エルフ種族" という系譜です。
両者は、永遠、長大、立体的な時間軸に生きており、それこそ人知を超越する魔法の深奥の世界観を見せてくれています。

これら二つの時間軸に、3人の大魔法使いの錯綜する想いを生々しく見せていること、そして助演女優の立ち位置に若いフェルンを置くことで、フリーレンの "今" をより強く押し出し、かつバトルの熱量を上げて物語を展開しているところがとても面白かったです。


加えて、エルフの悠久と、人間の刹那の交錯において、それぞれが今をどう扱うか、それぞれにどう生ききるかというテーマを対立させながら、提示されていることにも関心を寄せています。
エルフと人間の時間の尺度の違いから、それぞれが未来をどう見通すかという大きなテーマにもつながっていくでしょう。

フリーレンの先生はフランメですから、人間が語る夢、命の使い方、それを育て、託し、絶えず繋いでいく系譜に、豊かな人間の心があることをフリーレンもきっと気付けるはずです。

私は、物語のファクターには、"キャラクターの人物像" 、"それぞれの動機" 、そして "初発のいきさつ" が大切だろうと思っています。
その意味では、フリーレンの今後の料簡を占うには、肝要な回だったのではないかと感じています。
{/netabare}


26話。フリーレン無双の回。
{netabare}
無詠唱、ノーリアクション、魔力不感知。

無限の、無限による、無限のままを操作する想像力。

大気を用いた圧倒的な物理的質量攻撃。


80年ぶりに見せるフリーレンの料簡。

その術式は、神代のシュピーゲルさえ容易には発動させない。

その身に受けたのは、おそらくは魔王とフェルンの二人だけなのだ。


まさに魔法の高み、魔法使いの極みである。

なるほど、フェルンが震えるのも納得がいく。

伝説の大魔法使いは、かようにして空前絶後を見せ、かくなる敬慕欽仰(けいぼきんぎょう)に相伝されるものなのだ。


{netabare} ところで、フリーレンはミミックの中で、毎回この術式をやってるんじゃないでしょうか。

縦ロール髪におさめる程度の力加減で、ね。
{/netabare}
{/netabare}


27話。わたしの杖、わたしの先生、の回。
{netabare}
フェルンの半生は、魔法の修業、実践、そしてフリーレンの料簡に折々に触れてきました。
それは彼女が大切にしてきた日常で、一人前へと引き上げてくれたフリーレンとの旅です。

フランメに師事したフリーレンの50年。
魔力の揺らぎをコントロールする術を、フェルンはわずか8年で極めたのです。

その才覚はゼーリエの揺らぎさえも喝破する超越した境地。
フランメが種を蒔き、フリーレンが花を咲かせ、フェルンに結実したのです。

ゼーリエのほんの気まぐれから始まった魔法使いの1000年の系譜。
人間の弟子を取るということは、天地がひっくり返ることと同意なのです。


私のなかで、ようやくEDのショートストーリーに繋がりました。

あれはフリーレンの夢。
師が弟子を求める心象です。

生命の限界領域を超え、魂の邂逅を果たしたい姿だったのです。
{/netabare}


28話。錚々の魔法使いたち、の回。
{netabare}
花弁は捨てても、フランメの遺言あっての弟子の育成。
ゼーリエの目利きは、パラダイムシフトばりの当意即妙。
大魔法使いをも呑みこむ胆力が、合格ラインみたいですね。


一代魔法使いデンケンの告白。
妻への愛、魔法フリーク、フリーレンへの憧れ。
らしくないけど、それも格好いいじゃない?


ヒンメルの逸話がヴィアベルを漢にした原動力。
血湧き肉躍る武勇伝であっていい。
ささやかな人助けが矜持であってもいい。


ゼーリエへの尽誠がレルネンの鑑。
不器用な師弟は、魔法のセオリーも武器用でした。
名ばかりの戦いなど時間の無駄、それが冒険者たちの回答でした。


フェルンの旅路につきものの埃と血のり。
神話時代の必然をチョイスしたのは、いったい誰のため?
心を掴まれなかった生活者は、まったく何人いるのかしら?


ヒンメルの死に涙を流したフリーレン。
「また会ったときに恥ずかしいからね。」
彼の魂に出会ったら、果たしてどんな料簡で言うのでしょうね。
{/netabare}


まとめの感想。
{netabare}
まずは、miletさんが歌う Anytime Anywhere が、本作の精神性にまさにぴったりで、とても素晴らしく思いました。

葬送を物語る "長恨歌" 、または旅情を偲ぶ "哀傷歌" 、あるいは魂を呼び交わす "求愛歌" にも感じられます。

ですが、そんなタイムラグを愛(いとお)しみ、心を未来に向かわせるための "応援歌" が一番似つかわしいように思われました。

しっとりと包み込む愛で、力強く背中を押しだしてくれる。
エンディングを飾るに相応しい、聞きごたえのある歌曲でした。





さて、私には、本当にどの回のどんなお話も甲乙つけがたく思えるのですが、あえて15話、16話が、特にお気に入りとなりました。

シュタルクが「跡継ぎには困らなそうだ。」と話した後に、フリーレンが3人に頬を弛ませるシーン。
フォル爺に「未来に連れて行ってあげるからね。」とくすりと鼻を鳴らすシーンです。

フリーレンは、故郷の村を守れなかったことで心が深く傷つくのですが、フランメやヒンメルらとの出会いで自己回復に向かえたとも言えそうです。
ですが、彼女の深層には、成し遂げたことと喪失したもののアンバランスな想いがくすんでいると感じます。

目的達成のこととは言え、1000年もの間、自分のいちばんの強みを10分の1以下に抑え込むなどは想像を絶しますし、大好きな魔法を相手を欺くために使うという自分縛りにも驚きます。

静かな修行の中で、絶対に揺るがない強靭な確信力と、あり得ない程に繊細な想像力を作り上げたフリーレン。
淡白にも思えるその営みの背景には、全てを差し置いてでも成し遂げたかった思いがあったことに、どれだけシンパシーが寄せられるかが、作品を楽しむ一つのポイントです。



フリーレンがゼーリエに「それは本当に偶然だったのかもしれないけれど。」と話すのは、孫弟子としての弁(わきま)えとリスペクトであり、しかし、フランメの直弟子としての信念と意気地とが、混じりあい、せめぎあっていたとも感じます。

世界に50人もいないとされる一級魔法使いの門を、一度に6人に開くことになったフリーレンの料簡。
それはフランメの遺言に耳を傾けたゼーリエの思惑とも重なります。

ただ、三者が語る "人間の時代" は、フリーレンは魔法は自由であるべき、フランメは平和な時代を作るため、ゼーリエは人間の魔法使いがお前を滅ぼす、と解釈に相応の温度差があります。

そんなゼーリエの勧誘を断り、フリーレンに師事することを選んだフェルンは、唯一フランメの薫陶を踏襲できる立場。
であればこそ、人を幸せにする魔法をチョイスしたフェルンが、たまらなくうれしい "フリーレン先生" なのですね。



1000年を生きた大魔法使いと、一級魔法使い最年少合格者のこれから。
それは、時代を平和へと動かしていく魔法の高みへと、さらに昇り詰めていく入り口です。

フェルンはフランメの意をくむ「跡継ぎとしての高み」を、フリーレンは今を生きることのしあわせを「未来に持って行く役割」を、"何度でも果たしていく" のだろうと思います。

そんな気持ちで振り返ると、「葬送のフリーレン」とは、平和を希求する心を永くサポートする者、という読み取り方が、より似つかわしいような気がしてきています。

ということで


The journey to Ende continues


首を長くして待っています。
{/netabare}


おまけ。
{netabare}
これはもう "沼" としか言いようがないのですが、ふとした気づきがありましたので残しておきたいと思いました。

それは、フリーレンは、今もなおヒンメルの葬儀直後のような気分なのでは?という想い(仮説?)です。



28話でゼーリエが「弟子のことを鮮明に思い出せる。」という台詞からずっと引っかかっていたのですが、失敗作と評したフランメでさえも、まるで昨日そこにいたかのように語れるエルフです。
(もちろんそれは演出上の必要なのですが、伏線でもあると思うのです。)

1000年前の出来事が昨日のように思えるのなら、ヒンメルと出会った80年前、彼を葬送した30年前、そこで流した涙とその感情は、フリーレンには、ほんの1分前のことなのかもと思うのです。

これはエルフの記憶する能力による特性なのかもですが、永遠に近い時間を当たり前に生きるDNAのようなものかと思います。
現代の脳科学によれば、人間はそのポテンシャルを20%しか活用していないんだとか。
だから、エルフは、例えば、年表のような相対的な位置関係で捉えるのではなくて、絶対的、包括的、瞬間的、感覚的に出し入れできるのかもしれません。

なので、フリーレンがヒンメルを思い浮かべる行為は、人間でいうところの回想や回顧、昨日や今日ではなく、もっと真近な事象と心情、まるでその時のままであろうことに、私は十分に納得できるのです。



フリーレンがヒンメルを想うこと。

それは人間の時間の感覚なら、若い方ならお爺さんやお婆さんとの思い出だったり、ご年配でしたらご自分の死の直前に幼い頃の記憶を思い出したりとか、そんな具合なのかなと思います。

でも、エルフの感覚なら、フリーレンの想いなら、と思うとき、「葬送の」という冠詞は、まさに今の話のこと、とても生々しいリアルなことのようにも感じます。

ゼーリエは「人間はエルフよりも死に近いところにいる。」と話していて、それを感情に当てればおそらく空疎感だろうかと感じます。
人の命の短さは儚いもの。と同時にそこには「人間を1000年も忘れない哀愁」も混じっているのではないでしょうか。
それは、到底人間には窺い知れないもので、「葬送」の一般的な概念に収まりきるものではないでしょう。

本来、葬送とは、死者を悼むことで、生きていく者の心を満たすための行為です。
フリーレンとゼーリエとが、そんな "人間の時代" に評価するもの、あるいは期待するものが、何を満たすのか、満たしたいのか、とても興味深いものがあると感じます。

その背景には、平和の軸(フリーレン、フランメ、ヒンメルら)と、戦いの系(ゼーリエ、大陸魔法協会)のそれぞれの志向性に、明々と違いが出るように感じます。
常に命を葬送していくエルフとして、果たしてどちらの立場であっていいのか、物語はいつか方向性を示してくれるのだろうと思います。



ところで、人間の最大の願いは、不老不死と言われます。
その体現者がフリーレン、ゼーリエだと考えてみると、果たして、彼女らの心境や境遇に、どんなシンパシーの接近が必要になるでしょうか。
それをひと言で表現したのが「葬送の」なんだろうと思います。

葬送する者(エルフ)への当事者性は、その心情にどれだけ寄り添えるか、長い人生にどのように帯同するのかという共感によって生まれます。
難しいのは、とんでもない長生きとか、生殖欲求や恋愛感情が生まれにくいわけなので、ちょっとやそっとでは接点が見つからないことです。
長耳という外見上の違いどころではない、内面性の深奥に触れるなど恐ろしくも感じます。

だから、でしょうか。
「生き甲斐の探究」というテーマであれば、フリーレンやゼーリエと同様に、シンパシーが強まるようにも思います。
たとえそれが、受験者の選定や育成であっても、くだらない魔法を集める趣味であっても。

思い留めておきたいのは、ゼーリエもフリーレンも、フランメの遺言を得た者同士の一致点が見えることです。
私は、それを "利己愛と利他愛の融合" と捉えています。

この時世も久しく「人生80年」と喧伝され、「健康寿命(死ぬまでの約10年間)」の充実が提唱される昨今です。
自分を大事にし、他人も愛することは、きっと悪くはないものでしょう。



フリーレンが、今もヒンメルのリアルな面影を胸の内に宿し、軽妙に言葉を交わしあっていることを想像すると、あたかもそれは彼女なりの、例えば恋慕のようにも、情愛のようにも感じられます。

フリーレンが言い残した「人の心を知る」ことの意味を胸に置きながら、ヒンメルの魂に再会するまでの旅に思いを馳せ、あらためて2期が告知されるタイムラグを待ちたいと思います。


それにフリーレンの料簡なら、きっとこう言うと思うのです。


{netabare}「そんなのは瞬きする間もないことだよ。」

と。 {/netabare}
{/netabare}

投稿 : 2024/05/05
閲覧 : 1020
サンキュー:

41

ネタバレ

アニメ好きなオタク さんの感想・評価

★★★★★ 4.9
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

ヒンフリはいいぞ

作画がとてもきれいで、変わった始まり方をするアニメだなとは思い、そのまま視聴を続けていたら、ヒンメルって…フリーレン好きだったんじゃ?と気付き、そこで原作を大人買いしました。
YOASOBIのPVも何度見たかわからないぐらいみました。

1クール目の旅と出会いときどき戦いは面白かったのですが、2クール目が長い長い一級魔法使い試験の話になるので、2クール目はちょっと途中で飽きてしまって、今ようやく見終わりました。ちなみに原作に忠実な作品なので、原作もここの部分はあまり楽しいとは思いませんでした。(好みだと思いますが)
でもアニメになった分、動きや派手な魔法がわかりやすくて良かったです。

ただ一級魔法使い試験で登場キャラクターが大幅に増えたので、このキャラたちがまた話に関わってくるんだろうなと思うと続きが楽しみです。原作は引き続き買っていきます。

投稿 : 2024/05/04
閲覧 : 30
サンキュー:

6

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葬送のフリーレンのストーリー・あらすじ

勇者ヒンメルたちと共に、10年に及ぶ冒険の末に魔王を打ち倒し、世界に平和をもたらした魔法使いフリーレン。 千年以上生きるエルフである彼女は、ヒンメルたちと再会の約束をし、独り旅に出る。それから50年後、フリーレンはヒンメルのもとを訪ねるが、50年前と変わらぬ彼女に対し、ヒンメルは老い、人生は残りわずかだった。 その後、死を迎えたヒンメルを目の当たりにし、これまで“人を知る”ことをしてこなかった自分を痛感し、それを悔いるフリーレンは、“人を知るため”の旅に出る。 その旅路には、さまざまな人との出会い、さまざまな出来事が待っていた―。(TVアニメ動画『葬送のフリーレン』のwikipedia・公式サイト等参照)

放送時期・公式基本情報

ジャンル
TVアニメ動画
放送時期
2023年秋アニメ

この頃(2023年秋アニメ)の他の作品

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