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「屋根裏のラジャー(アニメ映画)」

総合得点
計測不能
感想・評価
8
棚に入れた
20
ランキング
7726
★★★★★ 4.1 (8)
物語
3.8
作画
4.6
声優
3.6
音楽
4.2
キャラ
4.1

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屋根裏のラジャーの感想・評価はどうでしたか?

ネタバレ

薄雪草 さんの感想・評価

★★★★★ 4.5
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 5.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

ファンタジー好きにはうってつけ

予告編を見て原作を手にしました。
原題は「 The Imaginary 」。邦題は「ぼくが消えないうちに」。 
「ぼくが」ですから、主人公は "ラジャー" という名の少年になります。
「屋根裏の」も何だかちょっと楽しそう。
どこかいわくありげな匂いがして、ワクワクと心が弾む期待で臨みました。

視聴者が目にするスクリーンは、ラジャーが見ている風景です。
それは同時に、ラジャーを "イマジナリ" として創り出した "アマンダ" という少女の、ありのままの現実と、ありのままの空想とが "二重視線に写し出される景色" でもあります。

二人の年齢は、なんとなく9歳くらいに思います。
彼らが目にする全ては、知能で理屈化し、抽象的思考を深め、外的な評価を欲していく発達年齢の入り口でせめぎ合っているものです。
いわゆる "10歳の壁" というものです。

作者はイギリス人のA・F・ハロルド氏。48歳です。
2016年、7~11歳向け部門でイギリス文学協会賞を受賞しています。
ただ、全体としての印象は、イギリスらしい理屈っぽさが混じっていたようにも感じました。


では、あらためて、みなさまに。

"ようこそ、イマジナリの世界へ"。



物語を俯瞰するためには、主人公の動機が大切になります。
でも、ラジャー本人は、アマンダが創り出したイマジナリ(想像上のキャラクター)です。
だから、主導権はアマンダが握っています。
主体的な志向性も、客観的な指向性も、私的な嗜好性も、そう。

ところが、肝心かなめのアマンダが、{netabare}序盤のうちに物語から "いなくなります" 。 {/netabare}
アマンダの動機という唯一の拠り所が喪失したままに、ラジャーの動機=物語の展開を受け止めるという作業が、視聴する側の目前に用意されるのですね。

ここがちょっと難しいところだと思います。
もしもファンタジー好きな方でしたら、案外、アジャストは楽にできて、胸にストンと落ちるのでは?と感じました。

理屈で理解しようとすると、ちょっと高めのハードルになってしまいそうです。



そもそも、イマジナリには "主体性がない" というのが一般的な捉えです。
万一、イマジナリが自我を強く持つようになれば、本人への幻聴だったり、強迫的な精神的圧迫だったりにつながりかねません。

でも、本作には、そうはならない絶妙な匙加減があったように感じました。
どのシーンがとか、どの台詞がとかは、うまく挙げられないのですが、何となく9歳前後の心的発達に、その源泉が見えるような気がしました。

物語を理解するコツがあるとしたら、できるだけ冒頭のうちに、アマンダの言動にシンクロするか、そうでなければアマンダの写し鏡であるラジャーの心の揺れを追いかけることになるでしょう。

もしも高校生くらいなら「映像研に手を出すな」、設定いのちの "浅草みどりの空想力" が頼りになるかもしれません。
中学生くらいなら「涼宮ハルヒの憂鬱」の "閉鎖空間" が、夢うつつ的非現実感として、作品理解の処方箋に繋がるような気がしました。



既に、他の方のレビューにもありますが、ラジャーに対抗する敵方?の二人の関係性がいまいち理解に苦しみました。
なにかのアイロニーなのか、あるいはメタファーなのか、考察するとしたらここなのでしょうし、深掘りするのも案外と面白いかもしれません。

近い概念にタルパマンサーというものがありますが、それとも少し違うような気もします。
もしかしたら、イギリス文学に通底する何らかのセオリーがあるのかもしれません。
原作者のハロルド氏は、大学で哲学を学ばれたそうなので、そのあたりに原型が探せるのかもしれません。


日本の作品にも、似たようなモチーフがあるように感じましたが、ちょっと思い出せませんでした。


そんなモヤモヤ感も残りましたが、EDに流れた楽曲が耳にとても心地よかったのと、詩的にも深く感じ取れて、心が洗われたように席を立つことができました。(字幕もぜひお読みくださいね)。

グラミー賞受賞のアメリカの男性デュオ、ア・グレイト・ビッグ・ワールドによる「Nothing's Impossible (ナッシングズ・インポッシブル)」という曲です。(パンフレットより引用)

とても美しい曲です。
YouTubeにアップされていますので、お時間のある時にでもお聴きになってくださいね。



おまけ
{netabare}
イマジナリが生まれたり、安住できたりする場所が "本がたくさんあるところ" というのがポイントの本作。

自由な想像・空想がイマジナリの根源だと仮定すれば・・。
また、それを信じること、信じ続けることが、ときに心の支えにつながると気づけば・・。

「信じる」とは、その字のとおり「人の言葉」そのものです。
ですから、本があるところ、言葉が溢れている場所というのは深くうなづけます。


夢、希望、願い。
それらは、最初のうちは実体のないイマジナリ。

ですが、言葉を口に出して話し続けるなら・・。
その言葉を補う別の言葉を、たくさんの本に助けられているとしたら・・。

いつかきっとイマジナリにあふれる、平和で自由な世界に向かっていくのかもしれませんね。

子どもさんはもちろん、夢を取り戻したい大人の方にもおススメします。
{/netabare}



おまけ2
{netabare}
個人的なお話で申し訳ないのですが、本作の監督さんには、2019年の作品にひどく落胆しましたので、正直なところ視聴を控えようかと思っていました。

ですが、今回は原作ありきの作品でしたし、アニメーションを楽しめればいいかなと割り切りました。

その期待には十二分に応えてくれました。
ダイナミックで、フレキシブルで、ときどきシュールな演出にぎょっとしたりして、とても面白かったです。

という訳ですので、嫌なトラウマの残っている方にも、おススメしておきたいなと思います。
いつの間にか、劇場から消えてなくなってしまう前に、ね。
{/netabare}

投稿 : 2023/12/25
閲覧 : 57
サンキュー:

5

ネタバレ

てとてと さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

リアリティー突き付けるファンタジー。消されるなこの想い的な王道で自分は高評価

「メアリと魔女の花」に続くスタジオポノック2作目の長編映画108分。

【良い点】
子供の想像で生まれた存在イマジナリーフレンドの儚さ、生み出した子供(元子供だった大人も)に忘れられたら消えてしまう等の立ち位置が切ない。
リアルと想像の大冒険がシームレスに移行するファンタジーの楽しさから、そんなステキな想像の世界・存在がいかに儚いかを終始突き付けられる。
イマジナリに関する諸々の設定や儚い在り方を切実に見せつつ、感動に持っていく。
アマンダの母(シングルマザーで仕事に行き詰ってて余裕が無く、かつてのイマジナリフレンド忘れてる)の世知辛さからの、かつてのフレンドと再開展開もベタながら感動的。
割と大人視聴者に刺さる感動要素があり、良き王道作品。

多分「ピーターパン」の系譜で、より現実のシビアさ前面に出した現代的なテーマがありそう。
悪役の在り方、創造性を他者から食らって不老不死はいかんだろうと。
説明不足だが多分悪役はピーターパンシンドロームの悪例で、空想に囚われているだけの大人は醜い?
多分だけど現代人への警鐘を少し感じる。

ウェンディポジションなアマンダよりも空想側視点で描かれる物語で、諸々の設定の積み重ねで空想世界や存在が実在するかも?な世界観構築している。
空想の大冒険の描写が素晴らしく、スタジオポノックの真骨頂だった。
対比しての現実(現代イギリス?)との落差から、イマジナリたちがリアルに存在し存在の危機を迎えてるんだと実感させるのが上手い。
イマジナリな主人公狙う悪役がアマンダ母などリアルに干渉する人間(化け物だけど)な事でも、見えない世界が本当にあるかもと思わせた。
空想世界が実在し、消されやすい儚い存在で、けれど忘れられたくない、忘れたくない大切な存在である。

男の子が大切な女の子の為に頑張る系の王道なので自分好み。ラジャーはよく頑張った。
自分が消滅しかかっている、でもその子の為に…的なシチュは大好き。
協力者たちとの交流や共闘も王道だった。
エミリ可愛かった。

声優陣は上手くは無いが自然で悪くない。
楽曲も地味に良かった。英語の主題歌も良曲。

【悪い点】
敵の在り方が説明不足でよく分からない。
悪霊ぽい女の子?は何だったのか、とか。

ロボットおもちゃとか、アマンダよりヒロインぽかったエミリとか、消されちゃったイマジナリにフォローが無い。
特にエミリはかなり魅力的だっただけに勿体無い。ここら辺の冷たさは何となく英国文学ぽい印象でイマイチ。
シビアといえばシビアだけど、素直にハッピーエンドと喜びにくい。

敵が脅威度高い割に地味。
最終戦の絵面がシュールだったり。

全体のストーリーはかなり良いんだけど、イマジナリが消える条件云々が後出しが多い気も。
良く出来た作品だけど、ファンタジーの割に結構理屈重視、の割にその理屈があやふや故か、やや違和感が残った。

声優陣はナチュラルな演技で悪くなかったが、本職に対して特に良くもなく。
特に悪ボスはちゃんとプロがやった方がよかった。

【総合評価】8~7点
メアリと魔女の花より格段に良かった。
こういうのでいいんだよやればできるじゃないか。
やや違和感あるのを差し引いても感動は申し分なし。
評価は良い寄りの「とても良い」

遺憾ながら評判は芳しくない模様。
かなり良作だと思ったんだけど…

投稿 : 2023/12/24
閲覧 : 56
サンキュー:

1

いぬわん! さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 3.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

投稿 : 2023/12/24
閲覧 : 11

おみや さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

投稿 : 2023/12/19
閲覧 : 10

けみかけ さんの感想・評価

★★★★★ 4.8
物語 : 4.5 作画 : 5.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

投稿 : 2023/12/17
閲覧 : 10

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屋根裏のラジャーのストーリー・あらすじ

『メアリと魔女の花』のスタジオポノックがイギリスの作家で詩人のA・F・ハロルドによる小説「ぼくが消えないうちに」を映画化した長編アニメーション。
少女アマンダ以外の人間には見えない“想像の友だち(イマジナリ)”である少年ラジャー。彼は屋根裏部屋でアマンダと一緒に想像の世界に飛び込み、喜びにあふれた毎日を送っていたが、イマジナリには人間に忘れられると消えていくという避けられない運命があった。その運命に戸惑いながら、一縷の望みを抱いて歩み始めたラジャーは、人間に忘れ去られた想像たちが身を寄せ合って暮らす“イマジナリの町”にたどり着く。(アニメ映画『屋根裏のラジャー』のwikipedia・公式サイト等参照)

放送時期・公式基本情報

ジャンル
アニメ映画
放送時期
2023年12月15日

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