「化物語(TVアニメ動画)」

総合得点
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25
ネタバレ

景禎 さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

カミマミタ

ライトノベルのアニメ化作品。円盤を8万枚も売り上げた、文字通り化物アニメ。

怪異(人に妖怪が憑いたような状態)を扱っているので、ジャンルは一応ファンタジー系バトル。しかし、バトルシーンより、他愛のない会話が中心ということで日常系とも言えるし、主人公+複数の女子によるハーレムものともいえる。ハーレムと言っても女子に囲まれるようなシーンはほとんどなく、基本は、主人公の独白と、主人公と一人の女子との間で交わされる会話が中心です。

静止画中心で、実写真、文字が駆使され、細かなカット割りが多用され、全体としてクリアで乾いた印象のシャフト+新房監督らしさ満載の作品。さらに、たまにあるアクションシーンは良く動き、適度にグロく、エロい。

私がこの作品に最初に接したのは数年前。どっかの動画サイトの一挙ストリーミング放送だったと思います。偶然、途中から見たその放送は、なんか、主人公が女の子と道路上で長々と話しているシーンだったような。(今から思えば、たぶん「つばさキャットその壱」だったと思います。)その、メンヘラっぽい会話を「なんじゃこりゃ~」と思いながら見てたような記憶があります。そういうわけで、そのときは「いったい何がおもしろいんだか?」という感想に終わってしまいました。

その後も、同シリーズの作品が放映されていましたが、やっぱりその会話中心のノリについていけず途中断念。セカンドシーズンも、とりあえず録画はしたが、ほとんど見ず仕舞い。ちなみに、私がついていけなかったメンヘラ会話について、いまどきのアニメ好きの知り合いに言わせると・・・この会話が絶妙にイイ・・・らしい。

いまさら言うまでも無く、世間的にはこのシリーズの人気は半端なく、個人的な好き嫌いは別にしても、いつかはちゃんと見ておかなければ・・・という気持ちはずっとありました。そして、今の時期になってやっと、満を持して・・という経緯。言うならば「いまさら聞けない物語シリーズ」ということですかね。

というワケで、この作品を最初からちゃんと見てみて、単に会話中心の退屈な文芸作品ということではなく、かなりおもしろい作品であること、そして、売れるべくして売れた作品、ということに今更ながら気付いたというのが本音であります。

男子主人公一人に対し、小学生から高校生までの女子ばかり登場する、そして全員それなりにかわいく、キャラは立っている・・・という、いわゆる典型的なハーレム系のキャラ構成ではありますが、基本的にそれぞれの女子一人ひとりとの1対1の会話が中心であり、男子一人が多くの女子に囲まれてイロイロある、という、いわゆるハーレム系の感じではありません。

その会話の内容がこの作品の特徴とも言えるのですが、会話のリズムそのものを楽しむように出来てます。本筋とは無関係な無駄話が多く、屁理屈のような内容。そして適度にエロい。(と言っても、高校生レベルの、わりと健全なエロですが)

会話以外にも絵的にもエロかわいくあぶない表現が多用されています。このエロのレベルや方向性も、現役高校生と、その延長上の萌え層(円盤を買ってくれる層)に照準を合わせたものになっているように思います。女の子のキャラデザも、そういう萌え層好みになっていると思います。

しかし、お話しの本筋は、あくまで主人公や女の子たちが様々な「怪異」に立ち向かうことが中心であるところ。その非現実的で幻想的な雰囲気も味わい深く、多少の毒に抵抗力があれば、質の高いファンタジー作品として楽しむことも可能です。

先ほど、キャラが立っていると書きましたが、「立っている」という表現は適切ではないかも。「立ちすぎている」、つまりは現実離れしているため、日常会話のようでいて日常会話でない。

会話とエロとファンタジー。日常と非日常の絶妙のバランス感が「売れた要因」ではないか?と勝手に分析してみました。

ちなみに、私の好みのキャラは忍野忍(おしのしのぶ)。一応断わっておきますが、私はべつにロリコンではない。{netabare}最終回。阿良々木暦の「助けて」に即座に反応し、彼の影から現れてあっという間に羽川の障り猫を抑え込んでしまうシーンが、あまりにカッコ良すぎて・・・。滅多にないアクションシーン、滅多にないから逆に際立つアクションシーン、そのカッコ良さ。{netabare}
ところで、余談ですが、このシーン。わずか数秒のシーンにいったい何枚の絵を使ってんだ?て感じですが、ここでPauseを入れると1枚1枚の絵の半端ないクオリティの高さを見ることができます。そうやっているうちに、ケリが入る分部にすごいものが映りこんでいるのを発見できました。一昔前、けっこう世の中を騒がせた「サブリミナル効果」というやつ?これってネット上ではかなり知られていることみたいですね。ラスト2話はテレビ放送ではなくネット配信された回なので、こういう遊びも可能だったのかも。
{/netabare}{/netabare}

それまでのシャフト+新房監督の作品にもその片鱗があったと思いますが、細かいカット割りや視点の変化。目や口、アホ毛など、顔や体の一部のドアップ、原色が多用された平面的で直線的な背景。こういうアニメの作り方は好き嫌いは結構分かれるかも知れないですが、アニメ全盛の今、どれもこれも似たような作品が多い中で、放映から数年経っても異彩を放ち続けている新房&シャフトアニメの完成形とも言える作品だと思います。(ひょっとしたら制作費的にも有利な特徴かもしれないし。)

この作品には2度の最終回があります。一度目はテレビ放映の最終回(12話)。そして、二度目はつばさキャットの最後である本当の最終回(15話)。この2度の最終回がそれぞれちゃんと最終回していて、視聴者はなんと2度も最終回の感動を享受できます。多くの作品が、最終回の始末の仕方に苦労している中、これはすごいことです。

どうでもいいかも知れませんが、主人公が通う高校は私立直江津高校ということで、新潟県上越市が舞台のはずなのですが、よく出てくる風景にある電車の線路とかは(音も含めて)どう見ても東京近郊の私鉄沿線ですよね、コレ。・・・え?そこはツッこんだらダメなところ?

投稿 : 2014/11/01
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