やっぱり!!のり塩 さんの感想・評価

4.1
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態：観終わった

☆春夏秋冬!!ギンコの日本ぶらり旅★

■評価
テーマ性　　　　：★★★★ 4.0
オーガニック度　：★★★★ 4.0
ストーリー性　　：★★★★ 4.0
日本度　　　　　：★★★★☆ 4.5
おススメ度　　　：★★★★☆ 4.1

■ストーリー
生命の根源として存在する蟲。その蟲達と人との
関わりを描いた蟲師ギンコのぶらり旅。

■感想
ただ蟲やギンコを通して人の有り様や生き様を静かに眺め感じる事が
本作の肝。一期の頃からも変わらぬスタンスで描かれる意志の強さ健在の
力作といえます。

本作は人の摂理と自然の摂理が織り成す生命の物語であり、テーマは
『人が自然の理と摂理を肌で感じる事』、この一点だと思う。
風に吹かれる、外気の臭いに触れる、太陽の光を感じる、雨音に耳を傾ける
。そういった一瞬一瞬にも物語があり、その瞬間を丁寧に汲み取った神秘的
な生命の営みを眺めている様な浄化作用が本作にはある。

だから蟲師たちは人や蟲たちの生命の営みを壊す様な事はめったにしない。
ただ人に起こる様々な事象が自然と繋がりがある事を蟲を通して理解して
いくこと。この一点のみに焦点を定めて展開されるストーリーのシンプル
さと、日本に四季が訪れる様に話によって表情をガラリとかえる雰囲気が
様々な感傷に浸らせてくれるのもよい。
そして色淡く角のない明瞭な作画や神秘的な音響も興を静かに盛り上げて
くれる。個人的に好きなエピソードは『第六話：花惑い』『第七話：日照る
雨』『第八話：風巻立つ』『第十話：冬の底』。作画と雰囲気そしてその
ストーリー性にうなってしまった。

非常に静かな作品で一話完結ものになるため、長大で抑揚の効いた銀河系
ストーリーを求める方にはもしかしたら肌に合わない作品かもしれないです
。けれど土や水や森や山に神秘を感じ自然体で生きる事ができる日本の
良さを感じ取れる作品なのは確かです。

最近私も蟲に取り付かれている気がして...気が滅入っている。
夜中になるとコンビニに吸い寄せられポテチを買い漁る腹の虫。
一生懸命働く後輩や仲睦まじいカップルにちょっかいを出したくなる
お邪魔虫。ギンコさん・・・そんな私をてんとう無視して頂いて結構です。

こんな下衆な話でレビューを閉めようと思ったのだけど、意外にも
日本語の中には虫(蟲)をなぞった言葉がたくさんある。
『弱虫』『泣き虫』『虫の息』『虫酸がはしる』『虫の知らせ』…
こんな日本語をみていると『蟲』というものが、概念だけでも人の近くに
存在し架空の存在ではない様に感じてしまうのは私だけではないと思う。

ご拝読有り難うございました。