「寄生獣 セイの格率(TVアニメ動画)」

総合得点
79.4
感想・評価
1602
棚に入れた
7712
ランキング
494
★★★★☆ 3.8 (1602)
物語
4.1
作画
3.7
声優
3.8
音楽
3.6
キャラ
3.8

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北山アキ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.2
物語 : 4.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 2.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

生きることは悪なのか

原作既読だが、ずいぶん昔なので話の展開はよく覚えてない。
覚えているのは面白いことと、ミギーの根源的な問いかけ。

最後まで観て
原作は思い出さなかったが、漫画で読んだときほどの衝撃は感じなかった。
だが、原作を知らずアニメから入ったのだったら楽しめただろうと思う。
音響や演出の仕事に対する視聴者の不満の声には同意する。
キャラデザとミギーの声についてはアニメ製作側を支持する。
ミギーのキャラ造形が突出した魅力であると再確認できた一方で、
その他キャラの造形の弱さも原作由来のものかなと思った。
(だって、ミギーのこと以外ほとんど思い出さなかったし、他のキャラのことはまたすぐ忘れる自信があるし)
ただ、漫画でもアニメでもいいけど観て損はしない。
なお、実写版を観る予定は無い。
短いから、ミギー語録は大幅に減るし、力の入れどころはアクションになるだろうから、僕の需要がない。

3話まで観て
既読だと、作品の最大の魅力であるミギーの考え方や「寄生」という寓話的な設定のインパクトや新鮮さは味わえないが、十分面白い。
キャラデザインがキャッチーになってるのに問題は感じないし、
ミギーの声も慣れて自然に聞こえるようになった。

生物として生きると同時にコード(記号、記号の集合・体系)としても存在せざるを得ないヒトという生態に
正面から問いを投げかける稀有な漫画作品だと思うので、
原作未読の人にはアニメでも原作でも体験することをおすすめする。

ヒトは動物としては何万年も大して変わっていない。
対して、ヒトが作る記号が千変万化であることは歴史が証明するとおりだ。
(困ったことに歴史自体がコードであって、それ自体千変万化するのだけれど)
ヒトが変わっているように見えてもその実コードが変わっているだけ。
進化なんて悠長な肉体の変化を待つこと無く、コードを変えることで行動パターンを変え、環境変化に対応するための生存戦略なのだろう。

では、コードを取り去った場合の自己保存の本能に忠実なヒトの姿とは
どういうものなのか?
ミギーはそう問いかけているように見せかけて、実はこれも違う。
第1話で描写されたように、ミギーもヒトの本を読んで学習したことで生まれたヒトのコードの産物だとも言える。
結局、ヒトの感情のトリガーのほとんどはコードだろうし、
コードの範囲で思考し、コードを操作することで自己保存を達成しようとする
どこまでいってもコードと不可分な存在がヒトなのだと思う。
逆に言えば、ミギーとて特定の価値観(=序列化されたコード)に従って行動するヒトの写し鏡に過ぎない。
飾りが少ないだけなのだ。

コードを使い、コードに縛られることがヒトの生存戦略だと書いたが、
これは良いことばかりではない。
コードの異なる者同士が相対すれば、お互いが異質に見えるし、ともすれば殺し合いにも発展する。
ヒトの最大の脅威がヒトになり得る所以である。

新一とミギーが共存できていられるのは、肉体の共有が不可避的に重要であるという認識=コードの共有が成立しているからである。
それが失くなればこの関係は終わるだろう。
終わらないとすれば別のコードの共有が必要になる。

最後に「原作信者ウザい」とは思うものの、
ぼくが淡白なために何かに執着する心、偏愛する気持ちを否定しては行けない気もする。
それだけ愛されている原作だというだけのことである。
一方、原作未読のヒトは色眼鏡を掛けずに観られるのだからラッキーと思う。

投稿 : 2015/03/27
閲覧 : 227
サンキュー:

8

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