「ef - a tale of memories.エフ・アテールオブメモリーズ(TVアニメ動画)」

総合得点
87.4
感想・評価
2428
棚に入れた
12431
ランキング
149
★★★★☆ 4.0 (2428)
物語
4.1
作画
4.0
声優
3.8
音楽
4.1
キャラ
3.9

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ネタバレ

ろき夫 さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 3.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

時間の重なりを生きる

終わり、というのは突然やってきて、そのたびに寂しくなったり、悲しくなったり、そのあっけなさに怒りや虚しさが込み上げてきたりして激しく感情を揺さぶられる。あーだ、こーだしてるうちに、自分の存在もいつかは消え失せて、それを自覚すらできない状態になる。こうやって文章に自分の思いや考えを打つことさえできなくなる。

――― じゃあ、今やっていること、今までやってきたことは無駄になるのか?

もちろんそんなことはなく、過去の一瞬一瞬に何かを感じ取っていた自分が記憶の中にちゃんと生きている。記憶も徐々に薄れていくかもしれないけど、ぼんやりとした残渣が「こころ」と呼ばれるものの中にほのかに残っている。

試験や成績は結果がすべてだけど、人生は結果論じゃない。だから、始まりと終わりに重きを置くのではなく、一瞬一瞬に思いを馳せれば良い。辿ってきた道に石ころを置いていくように、経過した時間の中にいくつのも自分が生きている。現在の自分はそれが積もり積もったものだ。そう考えれば今に意味を見出せる。いつか終わりを迎えたとしても、過ぎゆく瞬間に、楽しみや喜びを感じている自分が残って、そこで生き続けることができるのだから。かの有名な日本人哲学者、野原ひろしもそう言っている。


しかし、千尋の場合はどうか?

彼女は13時間で記憶を失ってしまう。
記憶の積み重ねがなければ今を頑張ることはできないし、「明日は今日よりもいい日になる」なんて分かるはずもない。人間に与えられる一般的な「生」を実感することが出来ない、残酷な運命を背負っている。「朝に生まれ、夜に死ぬ」の本来の意味は、「朝に初めて生まれた気持ちで目覚め、悔いのないように全力で日中を過ごし、安らかな死を迎えるように眠る」とのことだが、千尋の場合は恐ろしいことに、ほぼ直接的な言葉の意味で通ってしまう。

とすれば、記憶に頼れない彼女は何を以て生きる証とするのか?

そこに出てくるのが日記で、日記のページが、彼女にとっての、道端に置く「石ころ」なのだ。
日記の1ページ1ページが彼女の歩んできた人生であり、その中に彼女は生きている。
記録を読むことで今の自分を確認し、「生」を実感する。
そしてそれを放棄したときが彼女の「死」を意味する。
だから彼女は日記を大事に保管し、それを毎晩、毎朝、四六時中記録し、読む。


この物語は、普段自分達が何気なく何ともなく享受している「生という実感」を、恋愛ファンタジーの中で、見る側に意識させる。13時間という短い時の中でしか記憶を保てない少女だからこそ、一瞬一瞬を生きる姿が尊く感じられ、その熱さに胸が締め付けられる。そこに恋愛を絡めて来るんだから、もう切なすぎて、いろいろとヤバい。

特に、最終話に関しては最高だったとしか言いようがない。

今まで幸せを感じたことのない彼女だからこそ、得難い幸福感を味わうと同時に襲いかかる不安感も計り知れない。どうせ失うなら、人生の絶頂の状態でこのまま・・・という思いは否定できない。
千尋が日記を破り捨てたことは、彼女にとって「身投げ」と同義で、屋上からの飛び降りを彷彿とさせる遠慮のない演出には、はじめて見たとき鳥肌が立った。

正直なところ、恋愛アニメにおけるシャフト演出はあまり好ましく感じていなくて、化物語、ぱにぽにだっしゅ!あたりのギャグ要素のあるアニメだとユーモアに見えて面白いけど、恋愛もので思いっきりそれをやられると、そのくどさに若干白けてしまっていた。みやこのヤンデレ化は最初見た時はドン引きしたし、「この女ヤベーwww」的な。でも、やっぱり慣れてくるもので、次第に「味があるな~」と思える状態に。

千尋と蓮治の物語は個人的にも大好きで、申し分のないラストには感動した。
記録の壁を越えて結びついた二人の記憶。 いつまでも幸せでいて欲しいと心から思う。
後日談までしっかりあって、綺麗なまとまり方に、作品に携わった人たちに対して尊敬の念すら覚える。


・・・他にも感じたことは色々あったと思うんだけど、やっぱり忘れちゃいますね。記憶力も良くない方なんでw ただ、忘れたくない大切な感想だけは残しておかなきゃね。ではではノシ

投稿 : 2014/11/29
閲覧 : 367
サンキュー:

9

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