蒼い星 さんの感想・評価

4.3
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態：観終わった

真摯に作られたアニメ。

神童と呼ばれたピアニストの少年と、
自由奔放な演奏をするバイオリニストの少女の邂逅。
音楽と恋愛を絡めた美しい文系アニメです。

原作は月刊少年マガジンで連載されていましたが、少年漫画としてはかなり異質ですよね。
進撃の巨人といい、ジャンプの型には無い良い作家を講談社は発掘してきますよね。

「四月は君の嘘」という作品は、亡き母へのトラウマから前に歩くことをやめた主人公・有馬公生が、
ヒロイン・宮園かをりに突き動かされて、自分の内面と向き合い再びピアニストを目指す物語です。

このアニメのここが凄い！　…やはり演奏シーンに尽きるでしょう。
流石にモブ演奏家は止め絵ですが、名有りの登場人物の演奏の動きは良いですね。
ロトスコープかモーションキャプチャーを使っていると思っていたのですが、
公式サイトによると、演奏家を撮影してそれを見ながらの手書き作業みたいですね。
どれだけ手間ひまをかけてスタッフが精魂込めて作っているのだろう？
実在の演奏家・篠原悠那さんと阪田知樹さんの生音源も相まって、
作画と音楽のレベルが、かなり高いかと思われます。

うーん？と思うところ　…わざとらしい台詞回し。
この作品は少年漫画が原作のフィクションですので、人の感性によって合う合わないがあると思います。
やたら台詞が詩的だったり、こんな言い回しで喋る人なんていないよ！なんて、
かく言う私は、やたらめったら作品の雰囲気がキザな気がして若干苦手だったりしていますｗ

作品に思うこと　…稚気もあるが芯がある作品。
子供の頃に親に塾や習い事に通わされていた人は多いと思います。
何故自分はこんなことをさせられているんだろう？
勉強でも運動でも芸術でも、ただ言われてやってるだけの人は、
自分で意味や目標を見つけて楽しまないと上達の入り口にすらたどり着けませんよね。
でもまあ、ただぼんやりと生きてる何かを為すことに喜びを見いだせない、
そんな時に出会えたら心に火を灯すことが出来るかもしれない！
眼に映る世界をカラフルに変えることが出来るかもしれない。
原作者のメッセージが込められている作家性を持った作品だと思いました。

最後まで観終わって　…この作品のキーワードは「嘘」
かをりの言葉や行動に隠された気持ち。
ストイックで切なくて、これもひとつのラブストーリーの形ですね。

先刻述べたキザさが合わないということですが、純粋さ故のキザでもあるとも言えますね。
ギャグのノリ等、それほど好きでもないですが最後まで見てよかったと思える、そんな作品でした。

観客が演奏に感動しているのに審査員はいつも大激怒って本当にあるのか、ちょっとわからないですけどねｗ

これにて感想を終わります。