紫煙の心 by斑鳩 さんの感想・評価

3.6
物語 : 2.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 3.5 状態：観終わった

シナリオ構成がおざなり

Angel Beats!以来の麻枝准×P.A.WORKSで製作されたオリジナルアニメ

Angel Beats!の時もそうだったが、なぜかこの組み合わせは私にとって
相性が悪いらしく、序盤のストーリーが退屈に感じてしまい、話題の6話終盤まで
1.5倍速でまわしての視聴だった。
ストーリーの組み立て方はなるほど麻枝准らしいなと思えるのだが、無理に感動の物語に
しようとして創作に煮詰まってしまったかなというのが、本作を視聴し終えての感想。
先日、長井龍雪監督がインタビューで「あの花は後頭部を鈍器で殴って、ほら涙が出たろ」
という作品だと発言をしていたが、本作は殴った位置が悪く痛いんだけど涙は
出なかったという感じかな。
こうなってしまった原因はいくつか考えられる。
まずAngel Beats!もそうだが本作のような感動をさせようとする作品には
1クール13話では世界観やキャラ設定を説明するのに尺を使ってしまって
本題に入った頃には尺が足らず結末へ駆け足で駆け抜けなければ成らず、作品の
メインテーマを扱った物語が消化不良を起こしてしまう。
そして、麻枝准氏に対して我々視聴者が多大な期待を抱いてしまい、無理な
創作活動に成ってしまっているのではないかと思えること。
どんなに才能がある作家でも常に同じような感動で涙する物語を量産することは難しい。
本作のあらすじはアニメではなくアドベンチャー系のゲームシナリオとしてなら
十分膨らむと思えるし、まぁたぶんゲームとして開発することも視野に入れて
本作を制作しているのだとは思うが、アニメシナリオとしてはイマチかな。
こういう作風の作品はできることなら、2クール24話以上の話数でしっかり
作りこみをした物語で製作してほしい。

作画に関してはさすがP.A.WORKSで文句のつけようがない丁寧な仕上がりでした。

本作に出演している声優陣はほぼ安定した演技をする方たちなので
安心して視聴できましたが、唯一難癖をつけるとしたら乙坂歩未役の
麻倉ももさんの演技が浮いていたことが、若干気になったぐらいでしょうか
まあ今後の精進を期待します。

結論として、Key系の作品をP.A.WORKSで製作したので、作画はとても
丁寧に仕上げてあり、女の子のキャラデザはとてもかわいくデザインされて
いるのは好感が持てます。また主題歌をはじめ選曲は耳に残るとても良い
選曲です。
本作のプロットはとても良い出来でストーリーは13話と短い尺に結末まで
収めていることは、とても評価できるが、世界観や設定などが壮大なので
その説明などに尺を取られたしまい、中盤以降のシナリオ構成がおざなりで
物語の主題が消化不良の駆け足に成ってしまっているのはとても残念。