「寄生獣 セイの格率(TVアニメ動画)」

総合得点
79.3
感想・評価
1601
棚に入れた
7710
ランキング
497
★★★★☆ 3.8 (1601)
物語
4.1
作画
3.7
声優
3.8
音楽
3.6
キャラ
3.8

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ネタバレ

yapix 塩麹塩美 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.0 作画 : 4.0 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

新一は右利き?・・・そう、それは大変だったろうね。左手で上手くできると良いんだけど・・・

何を隠そう私も「原作組」である。
あの「寄生獣」をアニメ化・・・大丈夫か・・・
そう思い煩う心労のあまりなかなか視聴に踏み切れなかった。
・・・で、実際のところは、
原作との比較も何も、もう忘れちまってたよ!
20年も前だもんねぇ。
もちろん、あらすじは覚えていたし、
キーとなる人物・用語なども観れば思い出す程度には記憶にあった。
でもストーリーの忘却具合が絶妙ですっかり楽しむことができてしまった。

問われているのはただ一つ「人とは何なのか」
哲学である。
描かれているのは「生(性)を全うするため闘い」
エンターテイメントもたっぷり。
20年以上たった今も全く色あせていないことに驚愕。
20年前に抱かれた危機感が今もなお喫緊の課題であるということ。
20年後のそんな世界に漂う厭世観、無力感、絶望感・・・
・・・は言い過ぎだとしても、
経年劣化を感じさせない、この作品の持つ底力に敬意を表したい。

アニメ版について
{netabare}アニメ化にあたって、スマホとかSNSとか細かな設定を現代にアレンジしていたのは○(ピンポンと同様の措置)。
アニメから入ってくる今を生きる10代20代に違和感なく受け入れさせるには必要な措置であろう。{/netabare}

パラサイトについて
{netabare}声優さんは苦労したのではないか?
「人」とは異なる種、当初は「人」を全く理解していない「人」にそっくりな種族。
田宮良子改め田村玲子は、「人」への理解を深め「人」らしく振る舞えるようになってくるんだからなお厄介なはず。
ミギーの平野綾も好演であった。
中性的で理論派のミギーに全然違和感を抱かせなかったのは作品全体にとって大きなプラスになっている。{/netabare}

田宮良子改め田村玲子について
{netabare}超一級の知性である。
自己を理解しようとする。
これは、他者を理解しようとすることである。
自己を理解するためには他者との相違を認識する必要がある。
私は目が二つある。
あの人もこの人も目が二つある。
私は他者と同様に目が二つある普通の人間である。
私の目は大きい。
あの人よりもこの人よりも大きい。
私は他者よりも大きな目を持つ人間である。
「人」と「パラサイト」は全く異なる種である。
捕食するもの、捕食されるもの、という立場の違いも大きい。
それ故に、相互理解不能な存在であろうか?
否である。
「人」も「パラライト」も知性があり、言語によるコミュニケーションが可能なのである。
そのことに気づき、いち早く実践に移したのが「田宮良子改め田村玲子」である。
彼女(パラサイトに性別があるのか不明であるが便宜上「彼女」としておく)は様々な実験により、パラサイトの能力を計測し、その限界を概ね掴むところまで至っていると思われる。
だからこそ「パラサイト」という種を「か弱き存在」と言うことができるのである。
彼女は憂えている。
「パラサイト」という種の行く末を。
パラサイトは仲間を増やす術を持たないのではないか?
無性生殖によって個体が増える様子もなく、
有性生殖的な活動の兆候すら垣間見えない。
彼女とAとの性行為も「人」の身体を用いてのモノであり、
その結果生まれた子も全くの「人」である(らしい)。
(余談だが、Aとの性行為はどのように営まれたのであろうか?性的興奮などと無縁の二つの個体を性行為が可能な状態に変化させるにはどうしたのであろう?・・・ホルモンの分泌を操ることによって性的な興奮無しに性交可能な状態になる・・・ってことかな?)
つまり「パラサイト」の個体数は減ることはあっても増えることはない。
これは憂えるに足る。
こんなか弱き種が「人」と対立していては絶滅するには時間の問題である。
だからこその「共存」の道の模索である。
「人」を喰らわずに生きる道を模索するのである。
命令が来ているのにもかかわらず模索するのである。
「この種を食い殺せ!」と。
彼女は「人」をどのように理解したのであろうか?
理解したからこそ「我が子」を託したのであろうか?
抵抗することなく「我が身」を奉げたのであろうか?
何に奉げたのであろうか?
パラサイトの未来?
我が子の未来?
人類の未来?{/netabare}

投稿 : 2015/09/05
閲覧 : 312
サンキュー:

39

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