「化物語(TVアニメ動画)」

総合得点
92.1
感想・評価
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棚に入れた
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ランキング
25

かさい さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.5 キャラ : 5.0 状態:観終わった

尾石達也の存在感

尾石さんがシリーズディレクターを降りて以降の物語シリーズと、尾石さんがシリーズディレクターを担当している化物語ではだいぶ印象が違う。
ビジュアルディレクターとして参加している武内さんも、化物語以降はプロダクションデザインとして参加しているが直接絵コンテなどでの参加は見られない。
両者とも、傷物語に専念しているという証拠だとは思う。
いなくなって気づく、二人の存在感を強く感じた、そんな作品だった。

視聴は2周目。傷物語に向けて視聴。

総合:4.86/5

【物語】4.8
個人的には、なでこスネイク以外凄く好き。全体を通してのストーリー性はそこまでない。基本的には2、3話で完結する。その中で、一定期間内に起こった出来事に対しての伏線、キーワードなどが含まれていたりする。
基本、話の内容が凄く良い。必ずまとまってるし、オチもしっかりあり、後日談も用意されている。
怪異を巡る物語。キャラについての物語でもある。過去について掘り下げたりしたキャラもいれば、そこまで触れないキャラもいた。

【構成】4.8
各章だいたい綺麗にまとまってる。原作の情報量を考えて、数話でまとめるのはなかなか難しいと思う。最終的には3話分オーバーしてしまったわけだけど、最終回のまとまり方は凄く綺麗だったので、 個人的にはかなり好き。
1話構成が若干微妙な感じもする。今の物語シリーズ同様、唐突に話が始まりだしたり、唐突に終わったりしてしまう事もある。1週間ぶりの視聴の際には前回の終盤を見直したりもする。
構成が悪いのではなく、視聴者に少し優しくないのかなと。それぐらい構成がシビアなのか。

【作画】4.75
キャラはかなり安定していた。けど、作監を担当する方によってキャラのイメージはだいぶ違っていたと思う。渡辺さん総作監だけど、作監として参加されてる回は、より渡辺さんの色が濃かったと思う。全体通しても渡辺さんの仕事量がうかがえる。
前半の武内さん作監はかなり好き。
渡辺さんのキャラ修正というより、表情に修正入れていた印象。特に武内さんの場合、キャラの表情がリアル寄り。影も凄くカッコいい。武内さん作監回はしっかり武内さんを感じれる気がする。
尾石さんコンテ回は動く回が多い。主にアクション。表情も凄みがある。血もめちゃくちゃ出す。阿部さん必見。今村さんパートも見応えあり。

【美術】4.8
飯島美術監督。この作品に限らず、美術面でもかなり特徴的な制作会社だと思う。コンテを切る演出家さんによってBGの入れ方やタイミング、レイアウトも変わってきていると思う。前半の武内さんコンテでは、かなりの頻度でBGオンリーが見れる。
独特な世界観や雰囲気も、背景の割合が高いと思う。文字などの情報量、遊び心なども。公園の設定とか誰が考えたんだろう。学習塾跡とかの雰囲気も凄まじいし、ガハラさんの家とか面白い。

【声優】4.9
どのキャラも、その演じている声優さんの代表するキャラと言っても過言ではないと思う。
とにかくこのシリーズはセリフ量が多いし、キャラも個性的だし、演じる面では本当に難しく、大変だと思う。
キャスティングは大体シャフトでの仕事経験がある方。
とにかくキャラに合っているというか、しっくりくるというか、声質も影響していると思うけど、上手い人が演じているという事実は大きい。忍野役の櫻井さんとか凄くハマってる。外見的な雰囲気にプラスαで更に雰囲気増した感じ。抑揚のつけ方、口調のクセとか上手い。

【音楽】4.85
神前さん凄い。こんなBGMは化物語でしか聞けない気がする。雰囲気作りが凄い。全体的に怪異が絡んでくると不気味なイメージの曲が多いけど、ドンピシャな感じ。感動できるいい曲もあれば、こんなBGMもありかと驚くレベルのものまで。

【演出】4.9
前半は武内さんコンテ回が続く。
前半は本当に凄かった。今の物語シリーズにはない良さがつまっていたし、武内さん、尾石さんじゃないとこの作品はできなかったと思える。
コンテ面では、とにかくレイアウトがカッコいい。カット割りが良い。武内さんが直接演出に参加しなくなる6話以降からまたガラッと印象が変わる。そのくらい、カット割りあたりは巧みだった。リズムやテンポも凄く良いし、アングルも際どい。
BGオンリーのカットもたくさん入れてくるし、クローズアップや俯瞰、アオリ、ロングなどが非常に多かった。印象に残っているのは、俯瞰やロングの際に人物の前に物を置いたりするあたり。網や骨組み、棒など。武内さんの特徴だと思う。
前半では、尾石さんの特徴が色濃く出ていたと思う。実写演出するアニメーターは数少ないと思うけど、その中でもかなり飛んでる方だと思う。腕時計やケータイが映る時でさえ実写の腕を見せてくる。2話の実写演出も凄く怖さがあるし、かなりの効果だと思う。
普通のアニメならありえない文字だけのカットなどもとにかく多い。一瞬だけカットの間に入ってくる。場面転換や話し手の切り替え、閑話休題などに使われたり。その他にも色んな場面で出てきてとても効果的な印象を受けたが、10話のあおきさんコンテ回はあまり効果的とはいえない気がする。
あえて動きを見せず、音だけで状況を伝えるという演出。意図的なのか作画都合上なのかは分からない。
6話以降から尾石さんコンテになるけど、アクションあたりはかなりド派手。文字演出も凄く効いてるし、カット毎に色が変わる演出なんかも。
最後の尾石さん回に関しては凄かった。劇場版的な雰囲気さえ感じてしまった。傷物語が楽しみでしょうがない。

【op&ed】4.9
一回しか使われていないopも存在する。とても贅沢だけどそれほど力が入っているということだろう。
神前さんの曲、meg rockさんの詞、共に素晴らしすぎる。詞に関してはしっかり本編とリンクしていてただのキャラソンに収まっていないところが素晴らしい。
opはキャラソン。尾石さんopに関しては、どんな脳ミソを持っているとこんな映像が作れるんだろうと感じる。
長いこと尾石さんのopを拝めていないのは悲しい。
板垣さんのopは可愛らしく、作画も抜けてる感じで板垣さんっぽい。
大沼さんopは可愛らしさのどこかに凄く怖さを感じる。色使いも大沼さんっぽくて好き。鈴木さんのopはとにかく最初の人物配置がキマってる。影なし作画も良い。

【世界観】4.95
この世界観はこの作品にしかない世界観。美術や音楽も凄く独特でユニーク。今の物語シリーズにもしっかり化物語の基盤はある気がする。原作の世界観も凄いと思うけど、それを映像でしっかり表現できるシャフトも見事だと思う。
設定も結構細かい点もあり、作品全体としての見所も多い。実写演出もこの世界観だからこそできると思うし、他の演出も他のアニメでやってしまえば崩壊レベルだけど、化物語ではしっかり成り立ってる。そのくらいの世界観なのだと思う。
中でも、登場人物がほぼメインに限られているということ。街を歩くにしろ学校にしろ、モブというモブがいない。正しくは、キャラとして存在していない。それくらい、化物語の世界ではメインのキャラに絞って物語を展開しているということなんだろう。

【キャラ】4.9
キャラで成り立ってるアニメだと思う。魅力的なキャラは多いし、それぞれしっかり過去があり、エピソードがある。主人公の地獄に関してはまだアニメでは少ししか触れていない。設定も凄く豊富。キャスティングも素晴らしい。
登場するキャラは多くはないが、その代わりに一人一人がかなり個性的なキャラになっている。その辺りは原作の力がかなり大きい。セリフの良さも凄くある。ふざけたやりとり、真剣なやりとりでもセリフの良さが凄く出てる。
ハーレムで、色物揃いの環境であそこまでしっかりと立ち回れる主人公も凄い。感情移入できるかは個人によって異なるけど、人気アニメの主人公という意味ではうなずける点は幾つもある。

投稿 : 2016/01/02
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サンキュー:

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