「PSYCHO-PASS サイコパス2(TVアニメ動画)」

総合得点
84.7
感想・評価
2432
棚に入れた
13649
ランキング
274
★★★★☆ 3.8 (2432)
物語
3.8
作画
3.9
声優
3.9
音楽
3.9
キャラ
3.7

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ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★★☆ 3.9
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 4.5 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

娯楽性は弱まったか・・・

 ネットでの評価を読むと1期より落ちると言う評価が多く、自分もテレビ放映時の視聴では
ピンと来ない印象が強かったが、今回のレビューを書くにあたって一気に全話視聴をした際、
多少印象が変わった。それでも1期より落ちるという印象が覆りませんでしたが。

 基本コンセプトは1期と同じくディストピアものとしての色合いの強い近未来SF+刑事ものと
いった形になっているが、1期においてはシビュラと槙島 聖護を巡る全体的ストーリーを軸に
しながら、個々の事件解決は娯楽作品として、それなりにカタルシスを得られたものだったのに
対して、本作は全体的ストーリー重視のためか、個々の事件がモヤモヤした終わりになることが
多かった印象。
 公安局刑事課一係を中心とした人間ドラマも、1期においては捜査方法を巡る狡噛 慎也と
宜野座 伸元の対立がありながらも、全体的には一体感がありつつ、個々のキャラの魅力が
感じられた。
 それに対して本作の一係はやけにギスギスして暗い印象だが、ことごとく常守 朱に楯突く
霜月 美佳や、一種の裏切り者である東金 朔夜という存在が同じ一係にいるために
しょうがないか。

 この霜月だが、1期でゲストキャラのような感じで登場した彼女が、こういう存在になるとは
思いもしなかった。彼女の立ち回り方、そしてなんだかんだで最後までしっかりと生き残って
しまうところなど、本作の悪役的存在である鹿矛囲 桐斗や東金 朔夜以上にヘイト感を
集めそうな存在だが、保身に走り、シビュラにすがる生き方など、シビュラ管理下における
一般的感性とはこういうものなのかと思わせる、シビュラが産んだ可哀想な存在だとも思える。
 逆に1期から引き続き登場した宜野座や六合塚 弥生などは影が薄い印象で、更に1期における
もう一人の主人公である狡噛がいなくなったため、良くも悪くも本作は常守の一人舞台という
印象が強い。
 この常守だが、1期の終盤においてシビュラの正体を知ったが、それでもシビュラ管理下の
法的範囲内で事件解決を図ろうとする。現行の社会維持のためにはシビュラが必要不可欠だと
いう判断なのだろうが、自身の精神に揺るぎがないところなどはかなりの強さを感じさせる。
 この辺はあくまで「人がシステムを使うものである」という一種の人間賛歌のような信念を
感じさせ、それが作品全体のテーマのようにも思える。

 本作における敵役である鹿矛囲だが、現行システムに疑念を持ち、社会を混乱させても
システムを変革させていこうというやり方は、1期の槙島と同じで、二番煎じ感は拭えない。
 ただ槙島が単なる免罪体質者であったのに対して、多体移植によりシビュラが認識できない
存在になった鹿矛囲という男の成り立ち、それが判明するまでの過程は興味深いものであった。
 もっとも多体移植とは言え、意識は一つであるわけで、それが認識できないシビュラって
随分と脆弱なものだなと思ったりもしたが。

 これに対するシビュラだが、1期において複数の免罪体質者の脳の集合体であることは判明
していたが、個々の脳はユニットの一つで、全体的な意志の統一はなされているかと思って
いた。
 それが東金 美沙子とシビュラ全体の判断の乖離など、実質的には集団が話し合いを
しているのと大差ないアナログなものだったのかとちょっと意外な印象。
 鹿矛囲の事件にしても早々に収拾を図りたければシステム権限で、「鹿矛囲が集めた
ドミネーターを使用不可にしてしまえば」と思ったりもしたが、あれも鹿矛囲を危険視する
東金 美沙子の意志とは別に、シビュラの他の脳は自身の進化のためにあえて泳がせていたの
かもしれない。
 このシビュラの回答である集団的サイコパス計測という考え方が、1期には見られなかった
ものでなかなか興味深い。実際、現実でも個々の意志は善意によるものであっても、その集団的
行動を客観的に見ると悪意に満ちたものに映ってしまうことは多々あるわけで。

 映像に関してはグロいものが多く、1期においてもそうだったが、本作はそれに至る過程や、
その後の展開の後味の悪さが、より残虐性を感じさせている印象。
 以前、別の作品のレビューでこの時期(2014年)の残虐描写における自主規制の差うんぬんを
書いた記憶があるが、規制の強かった「TERRAFORMARS」、「東京喰種トーキョー
グール」、「アカメが斬る!」に対して、本作は真逆を行っている。

投稿 : 2016/01/24
閲覧 : 232
サンキュー:

10

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