「灰羽連盟(TVアニメ動画)」

総合得点
79.8
感想・評価
1543
棚に入れた
7732
ランキング
475
★★★★☆ 3.8 (1543)
物語
4.0
作画
3.7
声優
3.7
音楽
3.8
キャラ
3.8

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ネタバレ

蟹チャーハン さんの感想・評価

★★★★☆ 3.7
物語 : 4.0 作画 : 3.5 声優 : 3.5 音楽 : 3.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

灰色の羽の意味するものとは。ABと対極のアプローチがおもしろい

雰囲気アニメ、それも中盤からの出来事で
だるんだるんのダウナー系のストーリーで、
そこだけ見ると敬遠しちゃう人が多いのもわかります。

ただ、この作品は落ち込むほどに、
常に周囲に暖かい眼差しをもって見守る人々
がいるのがポイントですね。

自暴自棄になりそうなとき
思いの重さからつぶれそうになったとき
悩み抜いた先には、人は人からしか救われないということを。

ある日、空から落ちる夢を見て目が覚めたそこは、
灰羽と呼ばれる世界だった。

頭に天使のような輪はつけるけれど、
決して天使のように白くはない灰色の羽。

名前のまだない彼女には、
落ちる夢から落下(ラッカ)と名づけられた。

街は大きな城壁で囲まれ、
それは灰はねを護るためにあるのだという。

この羽で空を飛べればいいのに
でも、灰色の羽で空は飛べない

里山で灰羽の仲間たちと暮らし、
この世界のことを少しずつ理解していくラッカ。

年の近い友達もできた。
だが、そんなラッカの心を空虚にする出来事がおきる。

{netabare}
ある日、クウが消えた。
みんなは巣立ったという。
でも、ラッカにはそれが受け入れられない。

クウが巣立ってから一月、
ラッカはひどく落ち込んだままになる。

いないはずのクウに話しかけ、
いないはずのクウの部屋を掃除し、
寝起きもクウの部屋のソファで。

闇落ちしかけていたのだろうか。
気分が激しく落ち込むほどに
ラッカの羽には黒い染みが目立つようになる。

これがよくない兆候だと悟るラッカ

自分たちはどこからきて、どこへ行くのか。
ある日突然きて消えていく存在。
こんなワタシに生きている意味があるのかどうか。

以前からぼんやり思っていたことが、
突然いまになって現実を突きつけられず、
虚無感にとらわれてしまう。

その後もラッカの迷走は続く。

禁じられていた西の森へ足を運び、
井戸に落ち、はじめてまだ生きたいと思う。。。

とまぁ、こんな感じのストーリーなんですが、
落ち込み続けるラッカの周囲には、
常に仲間や人々のサポートもあったのが救いですね。

自分なんて無意味な存在であると思ってきたラッカが、
はじめて生きたいと思ったとき、思い出されるのは
温かい言葉なんですよね。

母親代わりのレキ姉もそう。
レキは生まれたときに羽が黒い染みだらけのまだらだったこと。
生まれる寸前に見た夢を思い出せないこと。

思い出そうとしても暗い夜に浮かぶ怪しげな赤い月に
砂利道を歩く自分しか思い出せないこと。

生まれたときは灰羽の仲間にも忌み嫌われたこと。
それでも見捨てず関わってくれた姉的存在がいたこと。

アニメでは特に描かれていませんが、
そんな人々の言葉が生きる意欲の肉付け下さえに
なっていることは想像できます。

ここからは個人的な解釈ですが・・・
灰羽は、天界に入れずに堕ちた人々なのでしょう。
最後に見た夢は死の瞬間なのかもしれない。

それは罪ではなく、無念や執念、心の残りかなと。
(悪事を働いたのではなく事故死ではないかと)

話師の語る 罪を知るものに罪はない。
ですね。

現世への思いも灰羽での思いも
どちらも積み重ねることが
すべて重しとなりえる。

だから灰羽の街では極力人と交わらず
住み着くことを許さないのでしょう。

そしていつか気持ちが穏やかになれたとき、
次の人生を迎えるために転生されるのかなと。

どこかふっきれたラッカは、いまのありのまま
の世界を受け入れることにしたのでしょう。

ラストの出来事に対しても、今度は心を強くして
受け止めることができたのかなと。

何も知らず、誰も教えてくれない世界。
会話することもはばかられ、
表立って物を買うこともできない世界。

一見すれば冷たく思える灰羽の世界は、
決して楽園ではなかったけれど、
そこは確かに次につながる楽園であった。

仮に自分がこの世界に落ちたとしたら…
知らないってことはやはり怖いと思うんですよね。

いつ消えるともわからない世界であり、
それは消えずに巣立っていく人を見送るだけな世界でもある。

ラッカとクウが親友だったイメージはないんで、
たぶん自身の存在意義に不安を覚えて、ことさら
クウを引き合いにだして誤魔化していたのではとも。

現実と対峙する決意ができるまでに
時間がかかるのも仕方ないのでしょう。
ただ、ラッカは、ちょっとまわりに迷惑かけすぎましたね(笑)

いつか時間がかかってもクウやレキのように
巣立ちの日がくると思うのですが、たぶんそのときは
クウのような笑顔を見せてくれるでしょう。

しかし、、、話師に案内された地下洞窟の霊所!
あそこ不気味すぎ、何を意味しているのかわかりすぎて
逆に怖い!!
{/netabare}

投稿 : 2016/03/13
閲覧 : 319
サンキュー:

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