「化物語(TVアニメ動画)」

総合得点
92.1
感想・評価
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棚に入れた
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ランキング
25

hiroshi5 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

2対6対2の割合。社会の構造はここにある。

面白いです、普通に。
シャフトだけあって独特の世界観を築いており、ストーリーに入りやすい感じになってます。
また、原作でもそうなんですが、主人公の意思がはっきりしていて共感しやすい人物像が気に入りました。

原作を読んでいるともっと分かりやすいのですが、まぁそこは2012年から始まる映画とアニメを見ればおのずと理解できるかと。
なんにしても見るに値するアニメだと思います。

3/21/12 追記
ここからは、DVD&BDに付いて来るコメンタリーの話を・・・←おいw
二話のコメンタリーは個人的に興味深いものだったのを思い出したので、もう一度聞いてみました。
翼とひたぎさんが2対8の割合について会話ものです。

アリはアリの中で社会というものを形成していると言っても過言では無い。その社会の中で2割のアリは残りの8割より働き者というまるで黄金比のような確定された確率があるというのです。
これは人間社会でも同じで、会社や組織の中でも2割の人間の方が残りの8割の人間より働くというのです。

ここからが面白い。
翼さん曰く、これは逆の役割も果たしているというのです。
2割のアリは残りの8割のアリより怠け者、ということです。
つまり全体から2割の働きアリと2割の怠けアリを引いた6割のアリが普通のアリとなるわけです。この普通は、そのままの普通です。さほど勤勉でも無いし、さほど怠けている訳でもない。

そして、これは如何なる状況でも適応される条件らしい。例えば、全体の2割を占める怠けアリを組織から削除しても、残りの8割の内2割が怠け者になる、とか2割の怠け者達を集めても、その内の8割は猛烈に働きだす、とかです。

そして、コメンタリー開始3分で翼さんはこのセオリーをさらに吟味します。これは統計学から出たデータでなのですが、その統計をする人間の意志というものが恣意的にデータに介入するというのです。つまり、このセオリーが正しい方法で導かれた答えでは無い、という事です。
例えば、アリの2割が働いていない、と断定するとする。しかし、その断定は人間の観点から見てそのアリ達が働いていないと判断する訳で、アリの観点から見れば何らかの有益な活動の最中なのかも知れない。
人間も同じ。一見サボっている様に見える労働者も、実は企業や組織に利益を齎す活動をしているのかも知れない(コメンタリーでは思考労働なるタームが出てきました)。

ここからは、要領の話になりますが、現実世界には努力をしなくても成功する人はいるし、勤勉の努力しても結果が付いてこない人もいる。それら、全ての人を含めて、効率的な休息と設定は成果を上げるうえで必要な活動になってくる。つまり、有能な人間とはサボり方や怠け方を知り尽くしている人間、ということになる訳です。

先ほどの話に戻りましょう。2対6対2が現実的に正しいとして、それは組織の中で理想的な形と言えるか。
これは、翼さん曰く、言えるらしいです。
つまり、組織の中で生産性や効率というものを最大限に引き伸ばそうと考慮した時に現れる比率が2対6対2というのです。
勤勉な2割は組織の道を切り開き、残りの6割がそれを支える。別の2割はバックアップ。
野球で考えると、4番打者やピッチャーが勤勉な2割、他が6割で、ベンチ入りしている選手が残りの2割。
野球の中で、ベンチ待機している選手達のことを誰も怠けている、とは言わない。
詰まるところ、どんな人間を集めても2対6対2の割合になるのは、効率性を考慮した上でベストなバランスだからと言えなくも無い。
だから、組織の中で働いていない人間(アリ)はいない。皆がチームとして一丸になって働いているんだ、という結論になる。

そういう意味で、2対6対2の比率は統計学から導き出された、というより自然の摂理からなる方式だと、翼さんは言っているわけです。

これは面白い考え方ですが、個人単位で考えると、悲しくなる話でもあります。
私は将来、社会の中で、組織の中で、どの割合に入るのでしょうかw
一生バックアップに入るのは、社会の中で役割を果たすかもしれませんが、個人的にはまったく満足のいかない生活になるでしょうな。

投稿 : 2012/03/22
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サンキュー:

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