ワタ さんの感想・評価

4.4
物語 : 4.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 5.0 キャラ : 4.0 状態：観終わった

リアルとかファンタジーとか、わりとどうでもいい

久々に作品ページから皆さんのレビューをザーッと読んでみたところ
あまりの評価の割れっぷりに苦笑してしまいましたｗ
何気にエヴァに次ぐ賛否両論アニメなんじゃないですかね、この作品。

クラナドは現実感が皆無だとかファンタジーとして見ればよく出来てるだとか
よく言われます。個人的には変に定義付けする必要はないと思います。
どんなにリアリティがあっても所詮アニメですし(ちょっとアレな言い方ですが)
どんなにファンタジーであっても、感動できた時点で(その人にとっては)素晴らしい作品。

先入観を持たず、まっさらな気持ちで見て、その時感じたモノを大切にしたいですねｗ


・朋也が汐を5年間も放置していた件

これは本作に好意的な方でも引っ掛かりを覚えるところだと思われます。
個人的には最愛の妻を亡くした朋也に感情移入してしまったので
あまり責められないんですよねｗ もう悲惨すぎて見てられないって感じでした。
批判の声は当然だし、私自身「ん？」と思うところもありますけどね。

どちらかと言えば脚本の構成に問題があると思いました。

「ただ惰性のように生きていた。起きて仕事に出かけて、食べて、寝て、
体が覚えていることを繰り返すだけ。そんな日々に生きていた・・・」

こんな感じの朋也のモノローグにより「5年間」が語られます。
こんなにあっさりと流してしまっていいものなのか？5年ですよ5年。
冒頭2～3分のモノローグだけで片付けていい描写なのかなあ？
もしかしたら朋也は悲しみを振りきって、父として汐を育てようと決意したかもしれない。
何度も何度も決意して、でもその度に悲しさと空虚さに苛まれ・・・
そんなことを繰り返すうちに、無気力廃人化に至ったのかもしれないわけで。

作中で語られなかった以上、私の脳内補完(妄想)に過ぎないわけですが
5年間ずーっと朋也はモノローグで語られたような調子で過ごしていたのでしょうか？
過去回想でもいいので、この間の出来事について具体的に触れて欲しかったです。


以下総評

朋也の卒業(9話)～父との和解(19話)までの流れは本当に秀逸で
シチュやBGMがあざとかろうと、不覚にも何度も涙ぐまされた身としては、もう素直に降参です。

一期から通して見ると、人と人との「支え合い」が、一つのテーマだと感じました。
主に朋也と渚の二人の関係から。
一期では精神的に脆い渚を朋也が支え、二期では一期で朋也の支えのおかげで成長した渚が
朋也を支え続けました。あんなに脆かった渚の成長っぷりに感動。

父の不祥事にショックと苛立ちを覚え、投げやりになっていた朋也を支えた渚。
唐突なプロポーズの後、極自然に、当たり前のように「はい」と答える渚。
個人的に、作中最も印象に残ったシーンです。

支え愛。

「いいか小僧・・・いや、朋也。俺たちは家族だ。助け合っていくぞ」
このアッキーの台詞も象徴していると思います。助け合い、支え合い、なんですよね。


不満も結構あります。
物議を醸した終盤の展開とラスト。
考察サイト等を読んで、理解はできるのですが、感覚的にどうにも納得がいきません。

「渚の死を乗り越え、娘と共にこれからを歩んでいく」END
これじゃダメなんでしょうか。この方がよっぽど綺麗に収まってると思うんですけどね。
幻想世界とか光の玉とかの設定を一切なくした方が良かったんじゃないでしょうか？
それだと作品の根幹、作品そのものを否定することになるので、
作品ファンからは怒りと失笑をかいそうですが・・・

あと序盤の春原絡みのエピソード。
スタッフは体育会系の人間に何か恨みでもあるのでしょうか？ｗ
あまりにも一方的に悪く描き過ぎなのが気になりましたね。
まあその後の朋也と春原の殴り合って友情を確かめ合うシーンは良かったんですがね。
古臭さを感じさせるシチュでも堂々と描き切っちゃうところは本作の魅力の一つだと思います。


最初に述べたように、9話～19話は最高だったのですが
それ以外のエピソードや話の展開に差があり過ぎて、何とも評価し辛い作品です。