「甘々と稲妻(TVアニメ動画)」

総合得点
77.8
感想・評価
923
棚に入れた
4594
ランキング
582
★★★★☆ 3.7 (923)
物語
3.7
作画
3.6
声優
3.8
音楽
3.6
キャラ
3.7

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ムッツリーニ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 4.0 作画 : 2.5 声優 : 4.0 音楽 : 3.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

飯テロ? いいえ、食育です

妻に先立たれた高校教師とその娘がちょっとした出来事を切っ掛けにして出会った教え子の女子生徒と共に料理を学んでいく中で心を育んでいくという話で、いわゆる感動モノというか、人情モノですな。
自分は「良い話やろ? 泣けよ」とか「おう兄さん、感動したなら金出せや」みたいな作品に対してはとことん冷めてしまうたちなので、「僕の彼女が死んだから悲しんで」みたいな作品に対しては「だから何だ」と壮絶なファックサインを送ってやりたい衝動にかられるんですが、この作品は違います。
まぁ感動の方向が全然違うので比較がおかしいかもしれませんが、それはともかく。
この作品は人を共感させる手腕が優れていますね。
育ち盛りの子供を抱えた片親の家庭で。
親は仕事に忙しく食べ物は弁当や冷凍ばかり。
家に二人でいても家事に忙しく食事は別々。
子供はいつもご飯を残すが、小さい体に大人用の弁当は多いのだろうと自分を誤魔化す日々。
そんな中で偶然気付いた子供の本音と自分の不甲斐なさに打ちのめされ、変えようと努力し、その中で見える子供の笑顔に安堵し涙する。
それは親として理想の姿の一つであるとともに、子供に人生を捧げることにある種の危うさを感じてしまう。しかしそれが彼の生き方という枠組みからはみ出さないのが素晴らしい。
こういう作品って大抵は説教臭くなったり、過度な美談を押しこんだりして(個人的に)とてもじゃないが見れたものじゃなくなるんですが、「他所の家庭の事だからあまり首を突っ込むのも悪いけど時々庭先から様子を伺ってしまう」ような登場人物達の絶妙な距離感がこの作品のドラマ性を希釈していて良い味を醸し出しています。

ただ残念なのが、娘であるつむぎちゃん(5歳)の成長が見られない事ですね。
この作品って親と子が互いに成長していく話で、原作でのつむぎちゃんは話を重ねるに連れて時々大人みたいな事を言ったりするお姉さんっぽい子に成長していくんですが、アニメではそれが無く最後の最期まで悪い意味で幼児のまま終わります。
まぁ全12話ですし、尺が足りないのも解りますが、悪さをしたつむぎちゃんが叱られて、お父さんと仲直りして皆でご飯という終わり方はちょっと……
原作では一応、この後つむぎちゃんは美術教室に通い出して、そこで出会った男の子と一悶着起こすエピソードがあって、妊娠で長期入院している母親を不安に思いぐずり出す男の子に「うちのお母さんはもういない」とつむぎちゃんは言うわけです。
初めは「お母さんがいつか帰ってくる」と思っていた子がいつの間にか人と違う自分の環境を理解し口にするというカタルシスがあって、自分はてっきり無理矢理にでもこのエピソードを拾いに来ると思っていたので梯子を外されたような気分というか、ひどく落胆してしまいまして。
まぁ、これはこれでつむぎちゃんを愛でるためのアニメとして成り立ってるから良いんですけども。

投稿 : 2016/11/26
閲覧 : 159
サンキュー:

4

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