「君の名は。(アニメ映画)」

総合得点
91.1
感想・評価
2501
棚に入れた
11426
ランキング
39
★★★★★ 4.1 (2501)
物語
4.1
作画
4.5
声優
3.9
音楽
4.2
キャラ
4.0

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ネタバレ

yokoryo さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.0 作画 : 5.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

今まで踏み出さなかった一歩を踏み出してくれましたね。

面白かったです。

ただ最初に断っておくと、今回絶賛のレビューではありません。
若干辛めのコメントもありますので、宜しくお願いします。

自分はわりと新海監督のロマンチシズムが苦手で、
いつも見終わってモヤモヤした気持ちになってました。スッキリしない。
ただ今回はそんな引っ掛かりも無く締めてくれました。
新しい一歩をありがとうございます。良かったです。
面白かった。

でも、やっぱりこんなに騒がれるほどでは、無いです。正直なところ。

友人も絶賛していたのですが、特筆すべき点はさほどなく、既出のテーマと演出装置を上手く絡めて100分の枠に無理無駄なく綺麗に納めきった。
教科書にしたいような構成と脚本。

そんな印象です。

これが本当に上手く凄いところなのですがね。

「欲を言うと、あと一歩何かに焦点を当てた主題性が欲しかったなと思います。」
これだけ絶賛されているので何か特別なものがあるのかと、かなりハードルも上がってしまったのです。。


新海監督の良いところは、
圧倒的は背景描写とキャラの心情をシンクロさせた演出。
キャラ達の繋がりそうで繋がれない、想いのギリギリのラインを攻める脚本の上手さ。
にあり、
これらが相まって、何とも言えないもどかしいという感情により視聴者の心を揺さぶるわけです。

それにはやはり、まだ現実を知る前の、ある種の潔癖的な性質を持つ10代後半頃の少年少女に物語を紡いでもらう事が重要で、より切なく美しくロマンチックに作品を仕立てていきます。

それが新海監督の作品であり、これまでの作品の特色でもあったと思います。

今回もそれは踏襲され、変わらず新海監督の持ち味を発揮。背景作画も驚くほど美しく、その描写の使われるタイミングもベスト。
雨の描写なんかはきっと好んで使っているのでしょう。これ以上ない美しさと描写のタイミングです。

ただ、特筆出来るのはここまでなんです。
あと一歩、何か重要な主題か副題をここに乗せてくれたら文句なかったのです。

{netabare}
おそらく今回の主題は[恋]かな?と思います。
それを、[入れ替わり][時間軸のズレ][記憶の消失]という3つの演出装置を用いて物語を紡いでいきます。
この、[時間軸のズレ][記憶の消失]の装置の使い方はなかなか秀逸で、[入れ替わり]により二人の距離が縮まり、いよいよ!という中盤のタイミングで、見事にこの二つの装置を起動!絶対に会えない!と、思いっきり「すれ違い」させられますw
あの切なさ。。。さすがです。

ただ、これらの装置はこれまでにも多くの作品で使用され、ある種使い古されたものでもあると思います。
そしてこれらは切ない物語を演出する上では非常に使いやすい、そして視聴者にも非常に分かりやすいもの。
その上この2つの装置を

「二人のすれ違いを演出するためだけに使用している」

のです。
ここが自分にはちょっと物足りなさを感じる一つの要因でもありました。
なぜ時間軸にズレが生じるのか、記憶の消失が起こるのか。
二人の生い立ちや、前世での繋がりなど、もう少し突っ込んだ作り込みを行っても良かったのかなとも感じました。
きっと映画の時間的制約と、焦点を当てたい「二人の物語」が、作り込みによって煩雑になり、邪魔だと判断されたのかなとも思いますが。

後半では、これらの障害を乗り越える頑張りと、それに抗いきれないもどかしさを描き、締め括りにキメる!という気持ちの良い構成。

完全なエンタメ仕様になっています。

この最後の、視聴者のもどかしい気持ちをスカッと晴らす。
ここは今回新海監督が踏み出した今までと違う一歩ですね。
正直このラストは新海監督の本意ではないような気もしますが。。。

ハッピーエンドは自分も好きです。
ただ、最終的に作品が二人の[恋]という主題のみで完結してしまっているのは本当にもったいない。

君の名は。というタイトルで、物語を紡ぐ二人が探し求めるものが[名]というキーワードであれば、[名前とはなんなのか?]という副題を作品中に盛り込むというのも、作品をより深く濃く出来たのかなとも感じてしまうのです。

まぁこれは個人的な好みなので、「いらないだろ」という意見もあろうかと思いますが。

{/netabare}

新海監督は、各作品において「演出装置を巧みに使う」ことに突出した監督だと思います。
本作品も非常に綺麗に、お手本のように、まとめあげている。
素晴らしい。

音楽、声優さんに関しても良作。
視聴後にあらためてタイトル画を見ると画の素晴らしい構成も見えてくる。
アニメーション映画のトータルバランスが非常に良く、それぞれどれをとっても良い、という作品でした。

あと、キャラデザはあの花ですし、それら含め人気アニメ作品に似た部分や場所は多くありましたね。ちょっと目ざとく見てしまいましたww

投稿 : 2016/09/06
閲覧 : 197
サンキュー:

23

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