「カラフル-Colorful(アニメ映画)」

総合得点
64.2
感想・評価
412
棚に入れた
1771
ランキング
3838
★★★★☆ 3.5 (412)
物語
3.8
作画
3.6
声優
3.1
音楽
3.4
キャラ
3.4

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ネタバレ

岬ヶ丘 さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 3.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

私たちは色んな色で出来ている、カラフルに生きて下さい

原作既読。初めて原作を読んだのは本作の主人公・真と同じくらいの年代でした。色々なことを教えてもらったとても大切な作品です。

本作は基本的に原作の物語のラインに則りながら、映画用によりシンプルにわかりやすい構成にまとめています。結局真の魂が体を借りた赤の他人だと思っていた中学生が、実は真本人だったというオチは原作未読の方でもある程度想像できるものだと思います。ただこの作品で重要なのは、あくまでも主人公がその答えに気付くまでの過程であり、彼を取り巻く人々との交流にあります。その後プラプラとの最後の会話があって、この作品が訴えかけるメッセージが明らかになるものだと思います。

主人公の自殺、真の初恋相手が援助交際をしている事実、母親の不倫も実は真の誤解でしたという落としどころではない、そういった意味では非常に重たいテーマを扱った作品です。けれど初めてできた友達の早乙女君や、真と家族の交流、進学を巡って食卓の場ではじめて気持ちを伝え合う家族、真とひろかや昌子との会話など印象的なシーンが多くありました。

アニメーション化に関して原作からいくらか変更点はありますが、個人的にプラプラが関西弁で話すという設定は非常に面白いアレンジだったと思います。彼の言葉がダイレクトに響きますし、重苦しい物語の中にあって緩衝材的な立ち位置としていい存在感を放っていたと思います。声優さんも当時子役の方だと思いますが、いいお芝居だと思いました。

背景は実在の場所をそのまま取り入れる手法で人によって好みがわかれるかもしれませんが、主人公たちが生きる世界をよりリアルに感じられて個人的には本作にあっていた気がします。キャラデザも少し独特の癖もありますが、等身大の中学生を描くという意味ではいい形ではないかと思います。

結局のところ、この作品の一番優れていた点はやはり原作だと思います。もちろんその原作を壊さずにシンプルに活かしきった監督の演出も素晴らしかったです。中学生時代というのは多感で複雑で、家や学校やそこでの人間関係が全てだと思い込んでしまうような危うさや脆さをもっている不安定な時間だと振り返って思います。主人公もそんな思春期真っ只中の一人であり、視聴者もまたそんな彼を自分のことのように共感したり、両親のようにはらはらと見守る気持ちになります。

どの層の方にも楽しめる内容になっていると思いますが、やはり真と同年代で悩んだり苦しんでいる方に触れてほしい作品です。この世界は確かにいいことばかりではなく、辛いこともある。それは世界も人間も色々な色で出来ているから。それでもそれを受けとめて少し目線を変えてみれば、これまで気づけなかった世界の豊かな色彩に気付くことができる。
苦しいこともこれからあるかもしれないけれど、大切な人と一緒に支えあいながら、人生という少し長いホームステイをもうちょっとだけ頑張ってみませんか?、生きる希望や前向きさを教えてくれる名作だと思います。

投稿 : 2017/05/19
閲覧 : 215
サンキュー:

5

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