「クロックワーク・プラネット(TVアニメ動画)」

総合得点
65.0
感想・評価
311
棚に入れた
1642
ランキング
3450
★★★★☆ 3.1 (311)
物語
3.0
作画
3.0
声優
3.2
音楽
3.3
キャラ
3.2

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ネタバレ

どらむろ さんの感想・評価

★★★★☆ 3.8
物語 : 3.5 作画 : 3.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:観終わった

中二病を反骨に拗らせたヒロイックファンタジー活劇。痛快か、クサいと見るか、好み次第?

「ノーゲーム・ノーライフ」の作者(ともう一人の共作)のライトノベルが原作、全12話。
惑星全てが歯車で再構築された世界観で、天才肌の少年少女や、機械人形の美少女たちが、世界の命運を賭けて、腐敗権力や邪悪な野望に立ち向かう!
勝気金髪ヒロイン、毒舌機械少女、無垢機械幼女の可愛さが見所かも…

痛快ヒロイックファンタジー活劇として、悪い作品では無いと思う。
良くも悪くも、中二病を拗らせた作風故に、好みが合わないと印象良くない感じ?
…若年層向けのラノベであり、中二卒業(高二真っ盛りだと特に)視聴者から反感持たれそう。
(ジャンルと作風違うけれど、ブラック・ブレットとやや通じる)

{netabare}『物語』
1000年前に地球滅亡、ひとりの天才技師により、惑星ごと全部を時計仕掛けの歯車で再構成したという、ファンタスティックで壮大な世界観!
主人公のナオトはひねくれたオタク気質の変人だが、人間離れした聴覚であらゆる歯車の異常を感知できる天才(というか超人)、そんなナオトが、千年前の伝説の機械人形リューズ(毒舌美少女、めっちゃ強い)を修理、ラブコメ…には全然ならず、邪悪な陰謀に立ち向かうヒロイン・マリーと出逢い、天才児たちが世界の命運を賭けて戦っていく…

世界観も展開もドラマチック。
勧善懲悪も分かり易い、ヒロイックファンタジーです。
私は理系に疎いので、SF考証は重視しません。
(全て歯車!すごいセカイだ!)

まず気になるのが主に2点、ナオトとマリーの天才チートと、敵の腐敗っぷり。
ナオトの異能はこの世界観において最強、話が進むとマリーも負けじと超人であった。
世界の片隅で燻っていても、実は天才であり、世界の命運を握る大活躍ができる!
これって、ワクワクするんじゃなかろうか…主人公に感情移入出来さえすれば。

敵は「軍」、軍部というか腐敗した体制権力を据え、こいつらが私利私欲で都市ごと何万人も犠牲にして憚らないトンデモない邪悪!
ええ~~~!?いくらなんでも、それって…
勧善懲悪は王道とはいえ、体制権力は悪!それをやっつけるのは高潔で天才な子供たち!
という構図は、清々しく中二病拗らせてるなぁ…。
マリーは「国境なき技師団」(現実の国境なき医師団が元ネタか?)として高潔な理想の持ち主、対する汚い軍部…
原作のレーベルが講談社ラノベ文庫、いかにも講談社らしい、露骨な反権力志向。
…まあ、そいつらギャフンと言わせるのは王道だし、痛快ではあるのですが、うーん?些か「露骨」過ぎる。
前半解決後にマリーが偽善者呼ばわりされちゃうシーンは、やり過ぎだと思う。
私利私欲で大勢犠牲にする悪は珍しくないけれど、本作の軍の印象悪いのは、不祥事隠し、という権力の汚さ「だけ」を強調しているから。
別に京都滅ぼすくらい悪党ならやっていい、その代わりもっと壮大な野望持って欲しい…


前半の腐敗軍部をギャフンと言わせた後、後半の方が(比較的)好みでした。
野望が壮大だし純粋な悪、(方向間違っているが)高潔なテロリストなので。
後半の敵ボス爺さんの思想はイマイチよく分からんのですが、「この世界は間違ってるから、壊してしまえ!」はこの手のラノベ作品だと割とお約束かも。
(OVAのストライクザブラッドⅡの敵(CV:速水奨さん)も似た感じでしたし?)
…多分、「過去に囚われし老人」対「未来に希望を持つ子ども」という図式。

細かい物語はともかく、敵機械兵をバッタバッタと薙ぎ倒す活劇は、中々に痛快でした。
リューズちゃんつよい!アンクルちゃんかわいい!
天才児たちだけでなく、渋い大人の活躍も本作の良さ。
昨日の敵は…な王道も良し。(身体はお姉さん、心はオッサン)
主人公たちの逆境にあっても軽妙なノリも、悪くない。
感情に疎いリューズとアンクルちゃん、特にアンクルちゃんと疑似親子になっていく交流は、萌え8割ながら、ハートフルさも中々。

ラストも、世界の敵になっちゃうけれど、真の正義と大切なモノは我らにあり!さあ行こうぜ!な清々しさ。
素直に、気持ちの良い英雄たちに幸あれと思いました。


総じて、好みが割れる作品じゃなかろうか。
純粋無垢な小さな英雄たちのヒロイックファンタジーを、応援できるか?クサい、イタいと思うか?
…私のようなオッサンには正直合わん所が多いのですが、内容自体は良かったと思う。
前半の露骨すぎる体制権力アンチがやや難ですが、主人公たちの芯がしっかり通っていて、後半程応援したくなる。
あとアンクルちゃんかわいい(重要)
終わってみれば清々しい作品でした。



『作画』
キャラデザは好みです。でも作画は崩れがち、キャラデザは良いが、バランスが悪い気が。
とはいえ、アンクルちゃんの可愛さは十分。
機械仕掛けの世界観描写、天才たちのトンデモアクションなど、ツッコミ所はあれど見所は十分でした。

『声優』
南條愛乃さんの変人少年良かったです。シリアスとの落差など好演。
大西沙織さん、正統派ヒロインで辛い感情の起伏が伝わりました。
加隈亜衣さんの人形系毒舌、千本木彩花さんのあざとい幼女も良い。
松田健一郎さん、石塚運昇さん、菅生隆之さんら男性陣も渋い。
飛田展男さんのマリー非難シーンは熱演過ぎて…

『音楽』
OP「clockwork planet」がドラマチックでメロディー・歌詞共に私好み。
EDも良曲、楽曲面では良かったです。


『キャラ』
クセは強いがキャラの魅力は高いです。ダブル主人公どちらも好感持てる。
あり得ないチート天才児たち、純粋無垢に守りたいものの為に突き進む。
ナオトは欲望に素直で機械の娘たち溺愛が変態だけど、むしろ好印象。
精神的にも強メンタル主人公、むしろ精神面でチートキャラでした。

同じ天才でもマリーの方が(ナオトと比べると)感覚が普通で、共感し易い。
腐敗した権力に立ち向かう高潔なお嬢様、良ヒロインでした。
ヒロインというよりも、普通に主人公として清々しい。
ツンデレ。ナオトというよりも、アンクルちゃんに対して。

リューズは慇懃無礼な毒舌機械少女という時点でポイント高し。
かわいいのですが、前半はマリー、後半はアンクルちゃんに萌え所は食われてた感も。
身を挺して戦う健気さ、ナオトの為ならマリー犠牲も躊躇わぬ辺り、進撃の巨人のミカサっぽさも?

幼女機械少女、アンクルちゃんかわいい!
こんな娘ほしい…!健気だし。
アンクルちゃん可愛いだけでも本作視聴した甲斐がありました。

渋いオッサン、ハルターがバトル面でも、マリーお嬢様の精神面でも頼れる。
コンラッド整備士長など、大人も魅力あるのは好印象です。
天才チートな子どもではなく、バトル面は大人が担当する構図は良い感じ。
身体はお姉さんの人も。

前半の軍部は、ダメな敵でした。単に不快なだけ、やられ役としてもダメ。
後半の老人は、ギリギリ合格点。何やりたかったのかは理解出来んが。
三重の知事は悪人ではないが…大人は汚いのもやむを得ないという図式は切ないなぁ。{/netabare}

投稿 : 2017/06/24
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サンキュー:

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