「アクションヒロイン チアフルーツ(TVアニメ動画)」

総合得点
68.3
感想・評価
204
棚に入れた
719
ランキング
2080
★★★★☆ 3.5 (204)
物語
3.5
作画
3.4
声優
3.6
音楽
3.5
キャラ
3.6

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ネタバレ

takarock さんの感想・評価

★★★★☆ 3.5
物語 : 3.5 作画 : 3.0 声優 : 4.0 音楽 : 3.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

ストーリー作りのアプローチ

最近は漫画雑誌の誌面上でこれからプロを目指す人達に向けた
「プロの技術を学べ」みたいなコーナーがあり、
私なんかは「へーなるほどー」と興味深く読んでいます。

その中でとりわけよく言われるのは、
「自分の作品のどこがおもしろいのか、何を見せたいのかを意識する」ってことです。
これを突き詰めていくと作品中で最も盛り上がるシーンはどこ?ってことであり、
さらに突き詰めていくと最も見せたい1コマってどれ?ってことになります。
最大の盛り上げどころに最も読者の印象に残る渾身の絵を重ねる。
読切では非常に重要なことですね。 いや、連載作品にも同じことが言えるでしょう。

では、読者に一番見てもらいたいシーンを最も盛り上がるようにするにはどうするればいいのか?
序盤に伏線を張ったり、対比となるシーンを組み込んだりと様々な方法はあるでしょう。
例えば、強烈なインパクトのグロ絵を見せたいってことならば、
序盤はほのぼのな日常描写とかよくあるパターンですw 
このような話の作り方をシーン→理論のアプローチとします。

これに対して、まず起承転結を設けて、
そこからどのようなシーンを作り出していくかという話の作り方もあります。
これを理論→シーンのアプローチとします。

どちらも一長一短です。
前者は読者に印象づけるという点では効果的ですが、
シーンありきでテーマ性がぼやけてしまっていたり、
整合性がおざなりだったりという作品も少なくありません。
後者は話が分かりやすいという利点がありますが、
ややもすると、平板な話に陥ってしまいがちです。

私の印象では、本作は後者の理論→シーンのアプローチから
ストーリーが構築されていったように感じました。
その点で言えば、本作はなるほどよくできています。非常に分かりやすいストーリーです。
「最強戦士カジュダイオー」のショーを実施するも本家からクレームがきて公演が中止になったり、
本家「超天界カミダイオー」の主役を演ずる神栖真心(かみすまこ)の
プロフェッショナルな姿勢に圧倒され、自信を喪失したりと
様々な困難が訪れる度に仲間や陽菜野市の人たちの温かい声援に励まされ、再び奮起していく。
そこには明確な起承転結が存在し、
友情・努力・勝利という王道な作りになっているように思えます。

ですが、ここで敢えてシーン→理論のアプローチから本作を捉えていきます。
本作全話を通して最大の盛り上げどころ、
いや、最大の盛り上げどころにしなくてはいけないのは、
やはりラスト(11話、12話)だと思います。
しかし、私はここにやや問題があったように感じました。個人的にあまりノレなかったです。

本作は「ろこどる」や「ラブライブ!」といった作品との類似性が指摘されることがありますが、
これらの作品の最大の盛り上がりどころは、ズバリLIVEシーンです。
音楽の力というのは絶大ですし、そこに渾身の絵と動きが加わればそれだけでもう感動でしょう。
視聴者は、主人公たちのこれまでの苦労を回顧し、勝手に物語を紡ぎます。そして泣きますw
それだけLIVEシーンの訴求力は強いのです。
これに比べて本作はヒロインショーです。
城ヶ根御前(しらがねみさき)が到着するまでに
なんとか場を繋ごうと頑張っているのは分かるんですけど、
そもそも舞台上で演じられている「聖果戦士ヒナネクター」の話がよく分からないw
冗長にすら感じましたw
城ヶ根御前が到着してチアフルーツのメンバーが全員揃った!という感動シーンも
こっちはなんとなく感動している気にはなっているんですけど、
やっぱりなんか感動し切れない・・
やはりLIVEシーンに比べるとヒロインショーでは訴求力が弱いのかなと。

さらに言えば、城ヶ根御前の苦悩部分があまり共感できないというか、説得力がありません。
いつも肝心な場面で不幸に見舞われる自分が関わると仲間たちに迷惑を掛けてしまう・・・
いやいや、あなたこのプロジェクトを立ち上げたプロジェクトリーダーでしょ?
何ぬるいこと言ってんの? 最初から仲間を信頼しなさいよ。
「私は持ってない人だからそのせいで公演は失敗して皆に迷惑を掛けてしまうかもしれない
でも、私は皆を信じてるし、今は皆を信じている私を信じて! それでも駄目だった時は諦めてw」
と私ならどこぞの兄貴のような発破をかけますよw 覚悟が足りてないんですよね。

さらにさらに言っちゃうと、城ヶ根御前が会場まで駆けつける時に自転車が転倒したシーンで
「国民的…大ヒットアニメかよ!」(「君の名は。」)みたいなメタ発言はいらんです。
本作は数々のオマージュが存在しますけど、
真剣なあの場面でそういう言動は水を差すだけかと。

結局のところ、本作は視聴者に一番見てもらいたいシーンを最も盛り上がるようにする
ということが不十分だったように思えます。
クライマックスシーンの訴求力の弱さ、
そのクライマックスシーンを盛り上げる為のプロセスの構築の不完全さ、
本作を観始めた時は「これは期待できる」と思ったんですけど、
終わってみれば70~80点台の出来でした。
これは決して悪い点数じゃないですし、そこそこおもしろかったですよ!
でも「そこそこ」なんですよね。
「ろこどる」や「ラブライブ!」と比べてもちょっと・・・というのが本音です。

私感ですけど、ここ何クールかはそんなアニメばっかです。
「そこそこおもしろかった」、「結構おもしろかった」
皆さんのレビューを読んでいても頻繁に目にします。
賛否はあれど90点台のアニメのレビューは数も熱量もやっぱり違います。
そんなアニメに出会いたいなぁと思いを馳せながら現在秋アニメを視聴していますw

投稿 : 2017/11/04
閲覧 : 362
サンキュー:

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