「クジラの子らは砂上に歌う(TVアニメ動画)」

総合得点
72.1
感想・評価
553
棚に入れた
2461
ランキング
1175
★★★★☆ 3.5 (553)
物語
3.3
作画
3.7
声優
3.5
音楽
3.6
キャラ
3.3

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ネタバレ

chariot さんの感想・評価

★★★★☆ 4.0
物語 : 3.5 作画 : 4.5 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 3.5 状態:観終わった

雰囲気は良い。何か…何かが足りない。

漫画原作の全12話。
ジャンルはファンタジー+戦争(?)+死生観。

砂の海を渡るあるひとつの村のような船・泥クジラ。
そこに暮らす記録係の少年・チャクロを中心としたお話。

泥クジラに住む人々はサイミアと呼ばれる能力を持つ「印(しるし)」と持たない「無印(むいん)」がいて(しるしに対してむじるしじゃねーのかよw)、印は総じて短命で30前後で寿命を迎える。
印と無印が共生する泥クジラで貧しいながらも平和に過ごしていたがチャクロが出会った一人の少女リコス。
そこから話は動き始める……


感想。
良かった点と悪かった点。(総合点は悪くないがそれほど褒めてないので注意)

作画4.5
目を惹くのが背景画の美しさ。
細かい所にまで気を配った書き込みと配色。
ファンタジーらしいメルヘンチックに描かれる世界は非常に心を奪われる。
それに対しバトルシーンの雑さが難点。
人死にの多い作品でキャラが倒されていく中でもBGMつきの紙芝居になりがちで力を入れる所と入れない所の加減が不満でした。
{netabare}エマの踊りにそんなに力入れなくていいじゃん?
サイミアを用いたバトルや侵攻された民の不安や恐怖をもっと強く描いて欲しかったです。{/netabare}
背景とヌールなどの異生物や準ずる不思議空間に加点、その他に減点で4.5とします。


音楽4.5
OP/EDともに世界観にマッチした良曲。
切なくそれでも勇壮で運命に立ち向かう民の力強さを感じられました。
BGMやSEも丁寧で◎


物語3.5
{netabare}ストーリーと世界観は非常に好みのものでした。
なので加点したい所ですが…
何をどう言えばいいのか明確に伝えられないのですが…
解る事を解り易く伝えると…
「雑」
物語ではなく、演出が悪い。(なので正確に評価すると物語評価は4.0ぐらい出してもいい)
謎を小出しにして引っ張り続けるも吐き出し始めれば今度はそこまで説明しなくても察しさせろよと思えるぐらい喋る。
そしてその説明の中にまた意味の解らない単語を混ぜてくる。
原作もそうなんでしょうかね?
積み上げて一気に開示するとその情報量で余韻とか驚愕とかそういった伏せてきた物が明かされた「つながった」感が非常に薄れる…

また作画の項でも書いたけどバトルシーンがおざなりなので、キャラの掘り下げの薄さも相まって死に涙するようなシーンでもああ、死んじゃった、ぐらいにしか思えない作り。
あとしっかりしているのかなんなのか不明だけど死亡フラグを見事に回収していくスタイルなのでカッコいい事言い出したヤツは死ぬ。
フラグがピカピカ光まくってるヤツが死んでも「やっぱりね」としかならない。
{netabare}いいシーンを作りたかったんだろうけどニギとオウニの別れのシーンは冗長。
それより大幅に短くとも最大の悔いと愛情を感じられたトクサの死の方が心打たれた。(これに関しては事前にスオウと幼馴染であった過去をちょっとやっておいた方が良かった気もする…)

バトルの緊迫しているはずのシーンでボーッとするチャクロとか唐突に語り出すモノローグとかバトルのテンポを阻害する演出も全体の流れを考えて欲しかった。{/netabare}

あとはラストを原作と変えたようで2期があるか怪しいらしい。
もし2期を作る気が最初からないのであればもっとブラッシュアップ出来なかったのか。
必要な謎と不要な謎、その切り分けをしてもっと1話1話に深みを持たせてやれば構築された独創的な世界観やストーリー的には面白い素材だったと思います。

ぶっちゃけ…
{netabare}・団長とババ様(ラシャ)の血縁だとか、そもそも団長の目とか歪んだ性格とか明かす気のない謎は要らないんじゃね?
・ハムとコカロの存在もはっきりしないしコカロの登場でコカロが舵なら逆にハムはなんなんだ、って話になる訳で…エマとコカロで泥クジラの操舵が可能になる…ならヌース・リコスにいたと思われるハムは?
また舵であるコカロがヌース・スキロスの手にあった理由は?
ヌースを1個ずつ破壊していくとオプションで色々出来るようになるの?(笑)
・ラスト周辺のオルカやリョダリのシーン要る?相手は引き下がってないという姿勢を見せる事で泥クジラの民の船出が楽観出来ない険しい道である事を示唆する感じ?一応後付けっぽく感情を持つ帝国の人の説明にサルクスの説明?
・アツァリ(速水さん)の声に若干のエフェクトがかかっていて機械仕掛けなのかと思ったらサルクスを食う副作用らしいが…説明する気もないのにしっかりエフェクトかけるとか無駄な細かさは要らん。{/netabare}

あとは…
チャクロが記録係である関係で時々彼の記録と思われるモノローグが語られる。
結果として立場上彼は主人公でありながら主人公らしさは見せないキャラであり、実質オウニが主人公ポジである。
ここがネックで、チャクロを主人公としていつか覚醒するんじゃない?いつか大活躍するんじゃない?って待ってると損をする。。

そんな感じで色々勿体なかった評価3.5で。
{/netabare}


キャラ3.5
個人的には特に魅力のあるキャラがいなかったです。
{netabare}早々に退場したサミとかネリとかは可愛かったですし、ギンシャ姉さんも可愛かったですが…
チャクロがぼんやりしている立場なのでイマイチ。
オウニも団長も頼れる強さでいいんですがやっぱり強烈さが足りず。
石田演じるオルカもらしいキャラではありますが推すにはイマイチ。もっと狂人であれば面白味もあったけど。
狂人といえばリョダリだけどあれはあれで「可哀想な彼」を出してしまうと
興醒めするという……{/netabare}
多分キャラで惹きつけようとする作品ではないのだと思います。


まとめ。
泥クジラの民が呪われた運命に抗おうとするお話です。
基本的に重く苦しい展開が続きます。
ラストも綺麗にまとめてあるとは言い難く、強くおススメするには足りない作品ですが…
重い展開の中で光を、未来を、求める強さのある作品です。
背景も非常に美しく、世界観は良質なものなので将来原作も読む事を念頭に置いて視聴してみても良いかもしれません。
僕も「原作はもっといい」と聞いたのでいずれ読んでみようと思っています。

投稿 : 2018/01/02
閲覧 : 243
サンキュー:

12

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