「ゆるキャン△(TVアニメ動画)」

総合得点
93.9
感想・評価
1816
棚に入れた
7198
ランキング
7
★★★★☆ 4.0 (1816)
物語
3.9
作画
4.0
声優
4.0
音楽
4.0
キャラ
4.1

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ネタバレ

kurosuke40 さんの感想・評価

★★★★★ 4.8
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 5.0 音楽 : 5.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

相手を尊重するということ

焚火がほのかに暖かい。透き通った空気に、静寂にはじける焚火の音。
繊細な風景に、染み入るような音楽。異様に美味しそうな食事風景。満たされた時間が流れる。
キャンプ風景だけでなく、先のキャンプに向けての準備とそのわくわく感も心地よい。
そして、何よりも犬のように人懐っこくも老猫のような距離感を保つなでしこに、
これが相手を尊重するとこいうことか、と教えられた気がします。

私たちはどうしても自分の感覚で相手を捉えがちです。
静けさを好む人は騒がしいやり取りを見て煩わしくないのかなとか、
賑やかさを好む人は一人とか何が楽しいのかなとか、
自分の基準で変な奴だなーと認定してしまう。

ただ変な人なんて誰もいなくて、
静けさを好む人がいる。賑やかさを好む人がいる。ただそれだけなのです。
何が好きで、何が嫌いか。私には理解ができないかもしれない。
でも実際に相手は相手特有の好き嫌いを持っている。

「自分がされて嫌なことは相手にしない」という標語は往々にして役に立つ判断基準になりますが、
本当に重要なのは「相手が嫌がることをしない」「相手が好きなことを否定しない」こと。
私にとっては普通や好きなことでも、相手が嫌いならば大きなお節介です。
食べ物がわかりやすいですね。
いくら私が好きな食べ物でも、相手が嫌いならば、食べさせようとすれば殴り返されても文句を言えないと思います。
そして、好き嫌いは食べ物だけではなく、いろんな物事に対して個々が持っています。
「相手が嫌がることをしない」なんて当たり前のように見えますが、
相手の好き嫌いが事前にわかるなんてことは少ないですし、そもそも自身の想像力不足で嫌いな人がいるとも考えつかないこともあります。
と同時に「相手が好きなことを否定しない」もなぜ好きなのかやっぱり想像しにくい場合があると思います。
相手の好き嫌いがさっぱりと理解できないかもしれない。
でも、嫌なことをされたときの不快感や好きなものを汚されたときの怒りは理解できるはずです。

なでしこ(たちは)自分は自分、相手は相手としっかりと割り切っていて、
自分の意見はしっかりと言うし、断られても(それは相手の好き嫌いなのだから)その場限り以上で不機嫌になることもない。
特になでしこは、相手に近寄りつつも、引くところは引いていて、それでいて自分のしたいことはしっかりと行っている。
嫌いな食べ物がなさそうななでしこが、リンに好き嫌いを聞いて、そつなく流すところだったり、
四尾連湖で一緒のテントで寝ることを断ったくせに、自分から入ってきたリンに対して、のしかかるだけでその後いじらなかったり、
同じく四尾連湖でリンとは別々の行動をして、一人でボートを漕いでても超楽しそうだったり。
相手の好き嫌いを加味した上の行動が見られ、
純粋な意味で「コミュニケーション能力が高い」というは、彼女のことを指すと思います。


また、この作品に癒される理由の1つは克己の強要がないことだと思います。
ソロキャンだろうが、グルキャンだろうが、キャンプじゃなくても何でもいいから、
自分の好きなことをして満たされる時間を過ごせるならば、それでいいんだと。
大抵の人は、美味しいご飯が食べて、温泉で極楽極楽と言って、富士山や夜景を見て、SNSで共有する。
それだけでも満ち足りた時間を過ごせるんじゃないだろうか。
満ち足りた時間を過ごせるなら、人生は別に何か成し遂げなくてもいいんじゃない?、と。

そんなメッセージ性を嫌味なく、すーと感じられて胸に落ちるのは、
この作品やなでしこたちによって、背景にどんな生き方も尊重するような雰囲気があるからじゃないかなと思います。
別にええんやでー、というあおいちゃんの声が聞こえますね。
もし『ゆるきゃん△』に二つ名をつけるならば、私は『尊重』だなーと思います。


また、相手を尊重するということを肌で感じて、
同時に、裏を返せば相手を尊重することは、自分は自分で良いと許すこともセットだなと感じました。
相手は相手だけど、同時に私は私なのだと。
尊重と自尊はセットだったのですね。妙な自信もついてしまった気がします。ありがとう。


自然の雄大さとともに、なでしこたちの人の温かさで、私たちを包み込んでくれるような、ゆるく、素晴らしい作品でした。
ご精読ありがとうございました。


蛇足
タイトルはすばらしいですね。
キャンプの料理の手間だったり、人間関係だったり、上述の生き方だったり、この作品はゆるくて温かいところがたくさんある。
それと一言「ゆる」という接頭辞だけで表し、それ以外のタイトルはあり得ないと思える。俊逸です。

デザインもいいですね。
リンは体が華奢で髪が長いから、もこもこした、ちょっとゆるいシルエットの方が似合うし
なでしこの帽子もセンスがいい。
全体的にアウトドア系の服の色、柄とシルエットが本当に似合っている。

リアルタイム放映中に、仕事でゆるキャン効果なるものを耳に挟み、実績があったのですが、
当時はふーん程度に思ってましたが、視聴後はこれはそれぐらいの効果はでるわーと素直にわからされました。

個人的に『ゆゆ式』と同じくらい好きな作品で、
人生のターニングポイントになった気もします。尊重ってこういうことだったんだねと。

なでしこ姉は特に好き嫌いが表情に出にくくわかりにくいタイプやねぇ。

投稿 : 2018/07/15
閲覧 : 280
サンキュー:

21

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