「彼方のアストラ(TVアニメ動画)」

総合得点
89.5
感想・評価
975
棚に入れた
3809
ランキング
76
★★★★☆ 4.0 (975)
物語
4.2
作画
3.9
声優
4.0
音楽
3.8
キャラ
4.0

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ネタバレ

Progress さんの感想・評価

★★★★★ 4.1
物語 : 4.5 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.0 キャラ : 4.0 状態:今観てる

彼方のアストラ レビュー

・地球型惑星を巡り、故郷の星に戻るSFサバイバル
・刺客探しや自分たちを宇宙に飛ばした陰謀を明かしていくミステリー

SF繋がりでこの作品のレビューも書いてみようかと思い、サクサクっと書いちゃいますね

今期に関しては、SFというか科学物、サイエンスアドベンチャーって言えばいいかな、「ドクターストーン」という作品がとても印象的なんですよね。
何故かというと、あちらは空想科学ではなく、実在する科学を扱っていて、科学の文明を取り戻す、そのために科学を自然の中で一から構築していく面白さというのがあるんですよね。

と、「ドクターストーン」作品の話はこれぐらいにして本作品「彼方ノアストラ」について話しましょう。
まず、作品を理解するためにあらすじ(introduction)を。

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introduction(アニメ公式サイトより引用)
宇宙への往来が当たり前になった近未来で、
9名の少年少女たちが惑星キャンプへと旅立つ。
宇宙旅行に胸を躍らせながら出発した彼らを待ち受ける、
予想外の事態とは……!?

「マンガ大賞2019」大賞を受賞!
『SKET DANCE』の篠原健太が描く大人気SFサバイバルストーリーが
待望のTVアニメ化決定!

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ふむ、このイントロでは、作中に何が起こるかは明示されていませんね。SFともミステリーとも、サバイバルとも判断できない。

惑星キャンプへと旅立つのですが、彼らは目的地とは違う宇宙空間に、宇宙スーツだけで飛ばされてしまいます。そこに都合よく宇宙船があり、母星に帰るためにに少年少女達は生存可能な惑星を渡り歩き、食料を自給しながら帰ることになります。
その中で、誰が彼らを知らない宇宙空間に飛ばしたのか、という犯人捜しによって緊張感のあるミステリー空間を作り出しています。

まず、第一印象。私として心がときめくSF要素は、惑星感を自由に航行できる船です。
現代の技術では、距離的、時間的制約が生じて不可能である旅をできるのです。
現代でも地球型惑星がハピタブルゾーンにいくつも発見され、地球とは別の惑星に生物がいるかもしれない、別の惑星に移住できるかもしれないというロマンを感じているところに、疑似的にどんな生物がいるだろうか、どんな環境だろうか、そういった物を提案できる題材ではないでしょうか。
これとは対象的に、ゴツゴツしたり、人が住めない環境であったりする惑星や衛星、彗星などを掘削して資源を得ているのが「シドニアの騎士」「ID-0」のような作品。

かつ、宇宙を自由に航行できるというロマンは、この作品の前からあありますよね。
「スペース☆ダンディ」「銀河英雄伝説」など。(後者は軍単位で動くからちょっと違うか)
未踏の地にロマンを求める、SFにはそういう向きもあると、類似作品を見て感じます。

さて、SFとしての第一印象はこれくらいにして、さらに中身に入っていきましょう。
少年少女達の冒険という事で、難しい倫理観をサイエンスによって問題提起するよりも、物語の面白さにサイエンスが作用するように作られているように感じますね。
物語の面白さと問題提示の強さという分布図があったとすると、物語の面白さが強ければ、問題提示の強さは、強い低いの「中間」くらいに位置していると感じました。
何故か。これはネタバレになってしまいますが、少年少女達は大人達のクローンであるという事。しかし、クローンであったとしても、彼らの母星ではクローン規制法が採択され、その事実を知っても、彼らは前を向いたため、そこまで重くテーマにはそえなかった意図を感じます。一方でクローンという技術、そして記憶をクローンに移す技術によって、15~16歳まで育ってきた人間性が消され踏みにじられるかもしれないというSF的問題提起をしている。

ここに私好みのミステリ的視点があり、作品の物語上では、少年少女達が全員の親(DNA提供者)が愛情がないと思う中、アリエスは唯一愛情を感じていたということを主張します。それを彼女の出生の秘密とつなげており、感情の謎と、出生の秘密をつないだミステリーが、物語のレベルの高さを物語っています。それがSF的な技術への問題提起の中で展開されていることで、本作品がよくまとまっていると感じました。
愛がなぜあったかという、人の死なない謎、そういうジャンルのミステリーが展開されたことが、私の好みです。そして、本当にカナタの親が愛情があったかなかったかという謎、カナタ視点で見る親心の不完全性に、興味をそそられています。

(追記:アストラ号のクルーたちの中で唯一歴史を知っていたのがアリエスであったという事を、引っかかりとして気付くべきだったかもしれない。それは、彼女以外の親が歴史を隠し、彼女だけは歴史を隠されなかった。彼女の出生がほかのクルーとは違う性質を持っているという意味を持っていました。)


さて、ほとんど語りたいことは語ってしまったのですが、一応ミステリーとしても書きます。
といっても犯人捜しや犯人とのばかしあいって、ミステリーの中でもサスペンスっぽいですね。犯人に気づかれないように突き止めたり、犯人をいよいよ追い詰めたという、シーンごとの緊張感はサスペンス。火曜サスペンスで「科捜研の女」がやっているように、ミステリーにサスペンスの魅力は切り離せない。そのサスペンスとしての魅力であるし、犯人を言い逃れできないようにトリックを明かすその論理性はミステリー。そのミステリーは、いわゆる人が死ぬ謎における、殺人の動機であり、それだけではあまり感動し得なかったですが、犯人の心の変化をもって友情系の青春劇としての落としどころの感動が生まれたのはありましたね。


さて、最終話付近になってきています。「彼方のアストラ」。
様々な謎が一度に解決されるであろうという最終回に期待して、このレビューを終わらせていただきます。

投稿 : 2019/09/17
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サンキュー:

37

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