えるつー さんの感想・評価

2.6
物語 : 1.0 作画 : 4.0 声優 : 3.0 音楽 : 4.0 キャラ : 1.0 状態：観終わった

掘り下げ不足と唐突なストーリー

このアニメの根本的な問題は、キャラが多すぎて一人一人に対する掘り下げが出来ていない点だと思う。
アイドルだけでもJupiter、DRAMATIC STARS、Beit、High×Joker、W、S.E.M の6グループ19人といて、アニメから入ると名前を覚えるのにまず苦労する。確かに他にもキャラ数の多いアニメは沢山あるが、このアニメが前日譚＋13話の中でそれぞれのキャラに対する掘り下げが出来ていたとは言い難い。
これは尺の問題でもあるし、このSideMというアニメが、複数のユニットをそれぞれ''主人公''として活躍させるアイドルものであることに一因があると思う。
要するに、このアニメには明確な主人公サイドというものがない。
私が知っている他のアイドルものの作品名を出させてもらうと、アイドリッシュセブンではIDOLiSH7、あんさんぶるスターズではTrickstarという明確な主人公サイドがあり、基本はその主人公の立場になって物語を見ている。それに対して、このSideMはそれぞれのユニットにスポットを当てる回があるため、視点の入れ替わりが激しく、''誰か一人に絞った掘り下げ''が難しいように感じる。勿論、各回では焦点を当てるキャラがいるが、あくまでその回のみだけだ。明確な主人公サイドがあるアニメならば、キャラの数が多かったとしても掘り下げるのは基本的には主人公サイドがメインで、その分濃密な描写をすることが出来る。13話をかけて描かれる心情描写だとか、困難だとか、様々な障壁にぶち当たって葛藤し、悩み、絶望し、なんとか乗り越えていく姿だとか、そういったものが多くとも2話程度で描かれてしまうとなればそれは当然薄くなってしまう。
悪く言えばどのキャラの成長や言動も｢予想できる範囲内｣のことなのだ。一般的にキャラの性格は｢明るくてお調子者｣だとか、一言で紹介しやすいようなキャラ付けをなされていることが多いが、当然ひとりひとり違う個性を持っている。
正直に、簡潔に、このアニメのキャラに対する感想を言うならば ｢どこかで見たことがあるような｣｢深みがなく｣｢薄っぺらい｣キャラという印象だった。

｢理由あってアイドル！｣というキャッチフレーズ、そして様々な職業経験のあるキャラという魅力的な点があるのにも関わらず、それぞれが主人公だからこそ掘り下げ不足が多く｢えっ、そんな簡単なスカウトでアイドルになるの？｣というような拍子抜けする感覚を覚えたりと、残念な印象が残ってしまった。

また、ストーリーに関しても唐突感や疑問点が多く、新設事務所である315プロダクションが何故こんなに大人数をスカウトしてギャラを払うことが出来ているのか、なぜテレビ出演などのコネを持っているのか、録なレッスンもしないまま(している描写が少ないまま)デビューができるほどこの世界は甘いのか、それなのに医者を辞めてアイドルをやった方が稼げるのか.....等の部分が気になり入り込むことが出来なかった。あまりにも雑というか、現実味を帯びていないのではないだろうか。新設事務所なのにこんな.....え？こんなに仕事来るものなの？
テレビ出演は社長の人脈や営業でなんとかなったのだとしても、下積み時代があまり無いままメディア露出をしていっていく点が個人的には気になった。

もちろんゲームをやればアニメを見ただけでは感じなかった魅力が沢山伝わるのだろうが、アニメという媒体の中で伝わってきたものだけで評価を付けるとすれば、個人的には見返そうと言う気にはならない作品だった。

ただ、OPやED、そして各ユニットごとの新曲はとても良かったし、作画も綺麗だと感じた。
アニメという媒体で伝わる最大の魅力はそうした点にあり、そこはしっかり伝わっていると思う。

追記
アイマスシリーズは初めてなので細かい部分を気にしすぎかもしれません。