STONE さんの感想・評価
3.0
物語 : 3.0
作画 : 3.0
声優 : 3.0
音楽 : 3.0
キャラ : 3.0
状態:観終わった
とりあえずの簡単な感想
原作は未読。
動物を擬人化した作品というのは国内外問わず、多くの作品があるが、中にはキャラクター
デザインが動物になっただけで、中身はただの人間ドラマと変わらないものもあったり。
それに対して本作は動物の本能的部分にかなり着目しており、この本能によって生じる内部、及び
外部での問題が興味深いところ。
内部の問題は本能と理性、及び感情がぶつかることによる葛藤などで、主役であるレゴシの
捕食本能と恋愛感情の同居などがその最たるもの。この二つの要素は相反するようでありつつ、
捕食本能により引き起こされた恋愛感情かもしれないのが面白いところ。
外部の問題は肉食、草食動物が同じ社会を営むために本能を押し殺すように作られた社会環境や、
それによって生じた歪みの部分などで、この動物社会の設定はなかなか細かい部分まで
考えられている。
そういう点では単なる擬人化だけではなく、「人間のいない世界で、動物達が文明社会を
築いたら?」という一種の思考実験をしているようにも思える。
こういった部分はやはり「人間のいない世界で、亜人が文明社会を築いたら?」という
コンセプトを持っていた「セントールの悩み」に通じるものがある。
いずれの作品も種族の違いによる問題などが、現実社会の人種・宗教・国籍・貧富・階級などの
違いによって生じる問題点や、それを解消するための行きすぎた感のあるポリティカル・
コレクトネスを風刺しているような面も。
キャラクターの組み立てもかなり良く、主役格のレゴシと先輩であるルイだが、肉食と草食と
異なる出自により生じる考え方などは対立的なものだが、結果として自身のコンプレックスにより
無理した生き方をしているようなところが同じなのが興味深いところ。
ヒロインも魅力的でハル、ジュノのいずれも単に可愛い存在で終わらないところが魅力的。
自分も男であるがゆえに他作品によくある男に都合の良いようなヒロインも一種の理想的存在と
して見ていて楽しいものがあるが、ドラマとしての面白さ、人間的魅力は本作のようなヒロイン達の
方。
レゴシ、ハル、ジュノの三角関係の行方、ルイの安否、食殺事件の犯人など、ストーリー的に
気になるところが多々のまま終わってしまったので、2期の発表はありがたいところ。
2020/01/13