をれ、 さんの感想・評価
3.6
物語 : 3.5
作画 : 3.5
声優 : 4.0
音楽 : 3.5
キャラ : 3.5
状態:観終わった
本作を視て父性について考えさせられた人は多いかもしれない。(全12話視みました)。
視聴前情報は特に集めていません。原作についても全く知りません。誤理解誤解釈があると思われます、その際はご容赦頂きたく存じます。
公式サイト;
https://www.somali-anime.com/
・本作を視て父性について考えさせられた人は多いかもしれない。(全12話視みました)。
まず、本作中での、愚かすぎる人類と、十把一絡げにされている異形のものたちの関係や歴史についてコメントするのはやめておきます。勿論そういった設定や経緯に満足しているわけではありませんが、原作者はそこには舞台装置としてだけの役割を与えているに過ぎないと思うからです。
ゴーレムが、偶々拾った可愛い異形な生物が、ほぼ絶滅してしまった人類の子でした。その子と、ゴーレムの活動可能な残りの時間を一緒に旅をして過ごす物語です。ゴーレムと人の子の間には、血縁や種の繋がりは勿論、面識さえありませんでしたが、ゴーレムを、その人の子が「お父さん」と呼んだときに、一緒に旅することは決まったように感じました。このことは、人の世界を探し出して、人の世界にその子を返すという、合理性があるように見えますが、合理性よりも、ゴーレムにそれまでなく、新たに芽生えた感情という機能の表れによる問題に思えました。それは、人の世界の存在がほとんど期待できないにもかかわらず、短い余生をそれに費やすというのは、その人の子を大切に思い始めたに違いない、と思うからです。おそらく、森の番人たるこのゴーレムにはいつか父をやってみたい気持ちがあったのでしょう。
本作は作者の、父性に関するメッセージのように感じられます。
近年ステップ・ファミリーの増加による血縁以外の父子関係の増大と、あらゆる種類での家庭内や車内での虐待や暴力や放置が毎日のようにマスコミで取り沙汰されています。異種間で父子関係が成立するのかという根本的な問いを差し引いても、そもそも父性とは何かについて本作は描かれていると解釈できると思います。それは父と子に認められること。一緒に楽しく時間を過ごすこと、危険や不利益からただひたすら守ってあげること。そう解釈しました。
さて、ただ本作で一つ気になることがあります。それはソマリはいろいろな経験をしたかもしれないけれど成長したのかという点です。ゴーレムが最優先すべきことは、ただ危険から保護し尻拭いをするだけではなく、自分無きあとの生存率を高める、またより良く生きていく方法を身に付けさせることではなかったのかという気がしてやみません。そういう意味でワタシはゴーレムは親になり損ねていると考えます。そういう訳で本作を推すかといわれたら、ワタシは推しません。
・ソマリがカワイイ、でも喰われないか心配(1話め視てみました)。
ゴーレムは、森で人の子のソマリを偶然見つけ、父親代わりになります。そして人に返すために一緒に旅に出ます。