「ヴィンランド・サガ(TVアニメ動画)」

総合得点
79.8
感想・評価
417
棚に入れた
1623
ランキング
475
★★★★☆ 3.9 (417)
物語
4.0
作画
4.0
声優
3.9
音楽
3.8
キャラ
3.9

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ネタバレ

STONE さんの感想・評価

★★★☆☆ 3.0
物語 : 3.0 作画 : 3.0 声優 : 3.0 音楽 : 3.0 キャラ : 3.0 状態:観終わった

とりあえずの簡単な感想(全然、簡単じゃなかったw)

 原作は途中まで既読。
 昔、少年マガジンを毎週購読していた時期があり、その頃に本作の連載が始まったのだが、
しばらくして月刊アフタヌーンに移籍してしまったので、そこまで読んでいた。
 当時、「あの絵と内容で週刊は無理だろう」と妙に納得したのを記憶しています。

 アニメ以外も含めて、11世紀の北ヨーロッパを舞台にした作品は少ないので、まず単純に当時の
人々の生活様式、文化、風俗、宗教観、倫理道徳などが描かれていたのが個人的には面白かった。
 中心として描かれていたのがヴァイキングと呼ばれる者たち。他のアニメ作品で描かれる海賊は
時代や舞台を問わず、冒険やロマンを求めるカッコいい者が多いが、本作で描かれるそれは生活の
ために略奪を行うならず者集団といったところで、決してカッコいいものではない。
 このきれい事で終わらない作品世界がリアリティを感じさせて面白かったが、当時の倫理観や
死生観が現在とは違っても、視聴者が現在のそれを持ってしまっている以上、「ヴァイキング達に
嫌悪感を感じる人がいてもおかしくないかな」とも感じた。

 内容的には主役であるトルフィンが、父であるトールズの非業の死により復讐心が生じてから、
その対象であるアシェラッドが他者の手によって死ぬまでが描かれており、目的を果たすことは
できなったが、トルフィンの復讐譚といったところ。
 俯瞰的、あるいは神の視点的な見方では、このトルフィンの行動を愚かしいものとして描いている
ように思えた。
 作品内で、親しい者を殺された復讐を否定的に描く作品は結構多かったりするが、その否定的
意見は「復讐しても失われた者は戻ってこない」とか、「いかなる大義があっても、相手を殺せば、
それは復讐対象者と同じ」といったものが多く、メタ的には復讐を行おうとする者を殺人者に
したくないためのものといった感じ。
 しかし、本作でトルフィンを愚かしく描いていたのはそういったものとは異なる印象で、
トールズの意思をまったく汲み取れていない部分や、今後の人生を歩むうえで大事な10代に
復讐しか考えてこなかったこと、あるいは復讐するという気ばかり逸り、そのための最善の行動が
できていないことなどが愚かしく映るように思えた。
 本来仇討ちは殺された者の無念を晴らすためのものだったりするが、トールズの死の一因に
トルフィン自身の落ち度があるため、トルフィンの復讐は贖罪意識がかなり強そうに思えた。

 トルフィンとしては「復讐者がいなくなって、この後どうする?」といったところでお終わって
おり、トルフィンの物語は長いプロローグがやっと終わったという感じ。
 そういう意味では、本作だけなら自身のすべきことが判っていて、そのために動いていた
アシェラッドや、本作中で覚醒を果たしたクヌートの物語であると言えそう。
 このアシェラッドだが善悪、理想と現実、あるいはデーン人の行動様式を嫌悪しつつ、同じことを
自分も行うなど、相反する要素を合わせ持つとにかく魅力的なキャラ。
 このアシェラッドや自身の境遇や信仰心により変貌していくクヌートが内包する複雑な要素が
魅力のキャラなら、逆にトルケルやビョルンはそのシンプルさが魅力のキャラといった感じで、
他にも印象に残るキャラが多くいたが、いずれも人間の弱さ、汚さ、残酷さなど負の要素を余す
とこなく見せてくれたのが印象深い。

2020/01/27
2020/07/25 誤字修正

投稿 : 2020/07/25
閲覧 : 336
サンキュー:

5

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