「まちカドまぞく(TVアニメ動画)」

総合得点
82.6
感想・評価
650
棚に入れた
2388
ランキング
355
★★★★☆ 3.9 (650)
物語
3.7
作画
3.8
声優
4.0
音楽
3.7
キャラ
4.1

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ネタバレ

森可成 さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 5.0 作画 : 4.0 声優 : 5.0 音楽 : 4.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

まるで「国姓爺合戦」を観るような・・・ただ尊い

「国姓爺合戦」は近松門左衛門作の浄瑠璃劇であります。

あらすじは長くなりますので省きますが、
史実を基にしつつも、どんどん架空のストーリーとなり、
ハッピーエンドとなる話です。
要するに、こうだったら良かったのに、という
IF物ですね。

何故か、私は「まちカドまぞく」を観て
「ああ、まるで国姓爺合戦を観たようだ・・・」と
埒もないことを思ってしまったのです。

そう思ったのは2つの要因があります。
一つ目は
「魔法少女」
についてです。

「魔法少女まどかマギカ」によって魔法少女の概念は
大きく変わることになりました。
まどマギ自体に私は特に不満はないのですが、
多くの信者、そしてフォロー作品を生みました。

結果として魔法少女という概念が
殺伐とした世界観やグロテスクな描写と結びつき続ける
という風潮が続いています。

キャラクターと内容のアンビバレンスというのは
インパクトはあったと思うのですが、
それが風潮となっている時点で既にインパクトはありません。

普通の女の子を殺伐とした世界に放り込みたいのなら、
他に描き方はいくらでもあると思うのですが。

そこで「まちカドまぞく」ですが、
ここで魔法少女桃は
戦わないことを選びました。

これってある意味で魔法少女という概念の理想像ですよ。
まあシャミ子が善良で弱いからなんでしょうが、
奇をてらった魔法少女にぐったりしていた
私には干天の慈雨のように感じられたものです。

「そうそう魔法少女ってこんな感じでいいんだよ
、脳筋すぎるけどな。」
と思いました。

二つ目の要因は誰もがこの作品の魅力に
挙げるでであろう
「シャミ子と桃の関係性の推移」です。

本来であれば魔法少女を倒さねばならないシャミ子、
本来は魔族を倒さねばならない桃。

最初は心配半分、監視半分くらいで
シャミ子を見ていた桃。
そんな桃を苦手にしていたシャミ子。

それが次第に親友のような関係に変わっていく。
むしろ、もう付き合えばいいのに、ってくらいですけど。

正反対のように見えて
お節介でお人よしで負けず嫌いなところは
そっくりな二人の関係は本当に微笑ましいです。

そして最終回。
力をなくしつつある桃を自分の眷属になるように
誘うシャミ子。
あの弱弱しかったシャミ子が、
もう何も無くさない、全部取り戻す、
と宣言する様には感動しました。

そしてEDでのナレーション。
いつもは笑わせにくるのに

「頑張れ優子 誰よりも優しく 強くなるんだ」

きらら伝統のいきなり泣かす日常系ですよ。

もちろん原作はずっと続いていて
ここから更に面白くなりますが、
このアニメの時点でも私は大満足でした。

戦うはずだった二人が、徐々に距離を詰め
一緒にいたいと思うようになっていくのは・・・ただ尊い。

この二人の尊さと清く正しい魔法少女像、
面白過ぎるシャミ子の言動、優しくもおかしな世界観
可愛くも変な脇役たち、美しい最終回。

これを観終わった私は
「国姓爺合戦」に熱狂した大坂町民の心地だった訳です。

いやあ、本当に二期やって欲しいです。
こんなに二期やって欲しいと思う作品は「ゆゆ式」以来です。

異世界ラノベ作品とかに回す予算があるなら二期・・・
と切実に願いながら筆を置きます。

投稿 : 2020/05/12
閲覧 : 297
サンキュー:

18

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