「この世界の片隅に(アニメ映画)」

総合得点
82.8
感想・評価
691
棚に入れた
3062
ランキング
346
★★★★★ 4.2 (691)
物語
4.3
作画
4.2
声優
4.2
音楽
4.0
キャラ
4.2

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ネタバレ

森可成 さんの感想・評価

★★★★★ 4.4
物語 : 4.5 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

点数つけたらこうなるけど、そういう作品じゃない

「この世界の片隅に」
は戦争を描いた映画ですが
いわゆる「戦争映画」ではありません。
いわゆる「反戦映画」でもありません。
そんな概念で規定できる作品ではありません。

家事ばかりをしながらも
いつもにこにこ過ごす
若奥さんの、すずさん。
そしてその家族の日常生活を
丹念に追っていくことに
注力しています。

でも、そこに戦争はどんどん
影響を及ぼしてきます。

ご飯を作り、洗濯をしている人たちの
上に爆弾は容赦なく落ちてきます。

普通の人たちの普通の生活の中に
戦争は割り込んでくるのです。


私は残酷なシーン、ショッキングなシーンで
戦争の悲惨さを訴えかけること自体は悪くないと思います。

ですが、それってミクロ的と言いますか、
亡くなったり、怪我をされた個人に対する哀悼や同情で
終わってしまうことが往々にしてあるのではないか、
とも思ってしまうのです。

究極的には命を失うことが一番恐ろしいという考え方も
あるとは思うのですが、
私は、今そこにある生活、家族、友人がどうなってしまうか
の方が恐ろしいと思ってしまいます。

本作は正にそこをドンピシャで描いている作品です。

日常の生活を丁寧に描いているからこそ、
戦争の残酷さと理不尽さが際立ち、
さらに、日常のかけがえなさが浮かび上がる。


すずさん達家族は多くのものを戦争でなくしましたが、
得たものもありました。

原作で「どこにでもある愛」という言葉が出てきます。
本作のラストシーンに正に象徴されている通り、
元々とても優しい人でしたが、
すずさんは、出会った人を更に慈しむ心境を得たのでしょう。

何があっても日常は続いていく、
すずさんの様にどんな時も朗らかに
その中で皆が他者を慈しむ心があったら、
それはどんなに素晴らしいことでしょう。

もう一度言いたい。
「この世界の片隅に」
は戦争を描いた映画ですが
いわゆる「戦争映画」ではありません。
いわゆる「反戦映画」でもありません。
そんな概念で規定できる作品ではありません。

投稿 : 2020/05/30
閲覧 : 386
サンキュー:

37

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