「普通の女子校生が【ろこどる】やってみた。(TVアニメ動画)」

総合得点
70.2
感想・評価
755
棚に入れた
3566
ランキング
1572
★★★★☆ 3.8 (755)
物語
3.7
作画
3.7
声優
3.7
音楽
3.8
キャラ
3.9

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ネタバレ

森可成 さんの感想・評価

★★★★★ 4.2
物語 : 4.5 作画 : 3.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 4.5 状態:観終わった

勇者ヨシヒコに通じる練り上げられたチープさ

「普通の女子校生が【ろこどる】やってみた。」は
一応はアイドルものということになるでしょうか。

ただアイドルものでありながらキラキラ感はほぼありません。
「ラブライブ」「アイマス」はおろか
「推し武道」よりももっと地味な活躍しかしません。

そして「なろう系ラノベ」のような地雷感漂うタイトルも
相まって、一見魅力的な作品には見えないのですが、
これが実に魅力的な作品なのです。

主人公は奈々子という女子高生です。
市役所に勤める叔父さんから教えられた時給1,000円の
アルバイトをやることになったのですが、
これが縁という子と一緒にやる
ローカルアイドルの仕事だった訳です。

ここで普通のアイドルものだったら、
いきなり天使の歌声を見せるか、
逆に大失敗してリベンジに燃えるパターンです。

しかし奈々子はグダグダなトークを見せながらも
皆が知ってる地元の歌を歌って、なんとかこなす
というチープな技で乗り越えます。

「あっ新しい・・・」と私は思いましたよ。
そして本当に「普通の子」を描くつもりなんだな、と思いました。

漫画やアニメで「どこにでもいる普通の子」って
明らかに普通じゃない場合が多いですよね。
奈々子は普通の子です、まあ後々明らかになっていく通り
とても優しく屈託のない性格はしていますが。

ただ一生懸命に地味な仕事をこなしていく過程で
(移動手段が徒歩とか、金がないから三本撮りとかリアルです。)
「ろこどる」としての自信を徐々に付けていくだけです。

でもそれで地元に少しずつ浸透し、愛されていくんですよね。

この過程をこの作品は丁寧に描いていきます。
そしてその過程を観ている私も地元の方々と同じくファンに
なっていきました。

そして終盤のライブシーン。

他のアニメのライブシーンと比べたら
相当チープです。
作画や演出に特筆すべきものがあるわけではありません。
歌も上手くありません。

ですが、衣装もない、持ち歌もない、誰も知らない、ところから
曲がりなりにもアイドルとして舞台に立って
地元愛を高らかに歌って踊っている。

このこと自体に得も言われぬ感動を覚えました。

考えてみれば、奈々子のCVをしている伊藤未来さん、
奈々子の相方、縁のCVをしている三澤紗千香さん、
お二人とも歌上手いですよね。
あえてこの作品では余り上手く歌わなかったんじゃないか、
と思ってしまいました。

作品全体の作画や構図も凝ったものとは言えないのですが、
この作品に関しては、それさえも狙いなのかな、
と何となく納得させられるものがあります。

主題がチープさを含むものであるからこそ、
展開や舞台、演者にもチープさを盛り込む。

これって失敗すると目も当てられない駄作に
成り下がる、危険な手法です。

「普通の女子校生が【ろこどる】やってみた」は
原作の魅力を損なうことなく
丁寧な脚本と魅力的な主人公、サブキャラクター
で見事に成功させてみせました。

チープさを武器に、といえば勇者ヨシヒコの専売特許の
ように思われがちですが、
「普通の女子校生が【ろこどる】やってみた」も
決して負けない名作ですよ。

私が大好きなメレブみたいなやつは出てこないですけど・・・

投稿 : 2020/05/25
閲覧 : 404
サンキュー:

5

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