「かくしごと(TVアニメ動画)」

総合得点
85.7
感想・評価
771
棚に入れた
2949
ランキング
221
★★★★☆ 3.9 (771)
物語
3.9
作画
3.8
声優
3.9
音楽
3.9
キャラ
3.9

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ネタバレ

テナ さんの感想・評価

★★★★★ 4.3
物語 : 5.0 作画 : 4.0 声優 : 4.0 音楽 : 4.5 キャラ : 4.0 状態:観終わった

親子の絆

ギャグ漫画のノリのアニメですが、その奥に暖かい物があります。
こちらの作品は主人公、後藤カクシがヒロインであり娘である後藤姫に自分が漫画家である事を隠すと言う物語です。

何故、漫画家と言うのを隠すのか…娘に下ネタ漫画家だと言う事を知られたくないからですが、この設定が意外とギャグに見えてリアルなんだそうで原作者の久米田泰治さんも漫画は隠すものだと考えてるそうです。

漫画家たるもの自分の作品に少し恥ずかしい部分があるのか、国民的漫画であるONPIECEの原作者の尾田栄一郎さんも、ボア・ハンコックが登場する女々島と言う女性しか居ない島を出す時に予定ではまだ先のエピソードにする予定が娘が産まれるので、女性しか出ない島を書く変態漫画家に思われたくなくて早く出したらしいです。

このように、そうした人気作家でも書いてるものに少し恥ずかしいイメージがあるのもまた事実みたいです。

さて、この作品にすごく温かみを感じた点は親子の暖かさです。
普通に見ていても良い親子ですが、私が一番素敵に感じたのが思いやり。

父のカクシは娘を一番大切にしています。
片親で大変だけど、お母さんが居ないからと娘が悲しまない様に寂しくない様に精一杯頑張っているお父さん。

一方、娘の姫はお父さんに気を使ってお手伝いしようとしたり節約しようとしたり、しっかりとサポートしようとしている女の子。
この年頃だと、お母さんにも甘えたいでしょう…それでもお母さんが居ない不満や不安をお父さんに言いません。
だって、それを言ったらお父さんが悲しんでしまうかもしれない…精一杯の事をしてくれてるお父さんに不満は感じない。

そんな姫ちゃんですが…お年頃なんで弱音を吐いちゃう時もあります。
自分の家は普通じゃないから…新しい家族…犬のロクが来るエピソードです。

この弱音の中に2つの気遣いが入っています。

一つは学校や仕事に行くと犬が1匹になる…それは寂しい…その寂しさをよく知ってるのは姫ちゃんです。

2つ目はこの時、引き取る予定だった子犬の里親が見つかり、その話しを切り出した父はペットショップに行こうと言うけど、そんな父への気遣い…姫ちゃんがお父さんを気遣ってでしまった言葉…

でも、それで腹を立てて傷付いたのは父でした。
姫が言った言葉にでは有りません。
姫にそれを言わせた自分にです。
それはカクシが父として絶対に言わせたくない言葉だった…それを言わせて不安に思わせた自分に腹が立ったのだとおもいます。

この様に、二人の親子は理想の関係だと思うんです。
現実問題、世の中、親子不仲やら虐待やら沢山ある中ここまで親子関係を大切に出来る家族は素敵だと私は思います。
二人の話しは本当に素敵ですが…他はギャグですwww

ただね。
この作品には、成長した姫が父のかくしごとを知っていくシーンがあります。
作中では楽しそうな姫が悲しい顔になり笑顔がありません。
実はこの時、姫に…いゃ、後藤家である事件が起きていたのです。

こちらは最終回で全てが明かされるのですが…この最終回は正直凄いと感じました。
雰囲気も良くでていたし最終話丸々見入ってしまい…涙が溢れそうな雰囲気と話しになっています。

父は漫画家から工場勤務?に転職していましたが大量の漫画雑誌の下敷きになり意識不明。
そんな父が目覚めたのですが記憶が7年前で止まっていたのです…
そこに駆け付けた姫ちゃんですが父は17歳の姫が娘の姫ちゃんだと気がつきません。

7年前の記憶…つまり娘は10歳だと思い込んでいるからです。
17歳の姫を…娘だと気が付いてもらえません…
触れられる距離に居て…話せる距離にいて…それでも親子の会話は出来ないのですから…
父は娘を新人アシスタントだと認識してしまいます。

主人公、カクシは人を大切に出来る人間です。
自分がこんな状態でも一番に心配したのは娘の事…娘に会おうと病院を抜けようとします。
娘は目の前にいるのに……

でも、これは親だと当然かもしれません。
例えば自分しか親が居なくて自分の子供を意識を失っていた日々1人にしてるわけです。
ましてや記憶上10歳の子を…子供は心配になるし不安になるもしかしたら泣いてるかも知れない…自分を探してるかもしれない……1分1秒でも早く会いたい……

でも、娘は目の前にいる…これを見た姫ちゃんはきっと辛かったと思います。
本当は「大丈夫だよ、お父さん」と一言言ってあげたかったと思います。

それならと父は次の提案します。
待たせてる読者に自分の漫画を早く届けたいからと当時連載していた漫画を描こうとしますが、この漫画は既に完結していてカクシの記憶は7年前なので未完になってるわけです。

そんな父の仕事を始めて姫ちゃんは観ます。
それは始めて見る父の仕事をしている姿。
それは始めて見る仕事をする父の楽しそうな姿。

姫ちゃんには幸せそうにみえたんです。
漫画家の仕事を辞めて楽しくなさそうな父…そんな父を見てきた彼女は楽しく生きていけるなら…自分の事を娘だと気づかなくてもいい漫画を楽しく描いていてくれたら、それが幸せなんだって…娘ではなくアシスタントとして振る舞う事を決めます。

この決意に姫ちゃんの優しさが滲みます。
大好きなお父さんが幸せならそれがいい…彼女はそれだけ父が大好きなんです!
自分のことよりも父の幸せが一番なんだって。

しかしある日、姫は父から本当の気持ちを聞きます。
それは親なら誰しもがきっと思う当たり前の事です…姫が元気に大きく成長すること…

姫は気づきます。
自分の間違えに…今のまま7年前で記憶で楽しく漫画を描いているだけでは幸せじゃない…だって、頑張って働いてるのは娘の為だもの。
その娘は…記憶の中の10歳の娘…その娘は成長しない…大きくならない…じゃ、どうする?
大きくなった娘を見てもらうならどうする?

彼女は走ります!
必至に!姫は友達達の力をかり父が書いていた漫画を原案を全て父に見せます。
それを見て全て思い出す。
そして、目の前には成長した娘の姿がありました。

それは…最初じゃないけどもぅ一つの再会…
親子の再会。

少し時は流れて姫ちゃんはどうやら漫画に興味が出たみたいです。
先生に隠して漫画を描いて父に隠して漫画を描いていました。
かつて父がしていたように、かくしごと…いゃ…かくしごと、じゃなく…ひめごとを

最終回は凄く感動しました。
この作品は本当に沢山の人に見てもらいたいような作品でした。
全体的に暖かくて無駄のない作品で本当に素敵な仕上がりでした。

投稿 : 2020/07/25
閲覧 : 265
サンキュー:

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