「じゃりン子チエ(アニメ映画)」

総合得点
68.1
感想・評価
15
棚に入れた
55
ランキング
2153
★★★★☆ 3.8 (15)
物語
3.8
作画
3.8
声優
3.7
音楽
3.7
キャラ
3.9

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ネタバレ

saitama さんの感想・評価

★★★★★ 4.6
物語 : 5.0 作画 : 4.5 声優 : 4.5 音楽 : 4.0 キャラ : 5.0 状態:観終わった

高畑勲監督の名作 1960〜70年代の大阪下町風情がそのまま出てる

もともとTV版は大好きで、子供の頃から何度も再放送の度に見ていた。dアニメでTV版を見つけたときは本当に嬉しかった。

この劇場版はBDを買ったが、いまはdアニメで見ることができるようになったのは朗報。こんなに良いアニメが広く見ることができる。

原作漫画も素晴らしかったが、このアニメ版は本当に凄い。アニメとしては、背景描写。現在とはいろいろな意味ですべてが違う西成地区だが、難波周辺も、昔はこのアニメのような雰囲気があった。

物語のなかで、チエちゃんが母親と会うときに一張羅を着ていくシーンがあるが、昔は、本当にあんな感じに、なにかの記念日とかで一張羅を着ていく人は多く、街の風景のなかで、あんな光景は実際にあった。

そして声優陣。この劇場版は事実上、よしもと芸人勢揃いなのだが、後に作られたTV版とは違うのだけど、よしもと芸人たちの関西弁がナチュラル過ぎて、声優である必要がないと感じさせてしまった。強いて違和感を感じるのは母親のヨシ江さん、マサルとタカシくらいか。とくにマサルとタカシは声に子供っぽさを感じない。島田紳助と松本竜介に子供声を求めるのは無理があったな。

アントニオと小鉄が横山やすしと西川きよし、正直、よく出演したなぁ…笑 まあ、鳳啓助と京唄子が出てるのだから、文句は言えんな…笑 意外なことに小学校先生の花井渉を演じた桂三枝は役と声が合っていた。花井先生の笑福亭仁鶴は、画とはあってるのだけど、やっぱり仁鶴声だなぁ。これはTV版の須永克彦の方がしっくり来る。

この劇場版のナチュラルな感じがあったから、TV版も違和感のない仕上がりになったんだろう。後のジブリ作品で声優じゃなく俳優が使われがちになってしまったのは、ここにも遠因があるのかもしれない。

音楽はTV版の方が洗練された気がする。しかし、この劇場版はしっとりしていて、これはこれで高畑勲の世界観っぽくて良い。高畑勲っぽいといえば、エンドロールのやりとりから、銀幕が降りるまでも、これを劇場で見たら面白かっただろうなと感じさせる。

アニメの金字塔ではないが、高畑勲の指示であろう細かい描写と丁寧さと演出の素晴らしさを感じられる作品。

ちなみに、高畑勲が監督やディレクターとして関わったのは劇場版と最初のTV版。TV2期となる奮闘記では監督などが違う。それだけで、数段作品のクオリティや楽しさが落ち込んだので、やはり高畑勲は凄かったと、これほどわかりやすく感じられる作品シリーズはない。後任監督は才能が無いと評されたも同じなので可愛そうだが。監督、脚本、演出のスタッフというか才能の重要性が本当によく分かる。

それと、この時代のアニメにはありがちなのだが、セリフの一部にマスキングされていたのは残念。作品のオリジナリティを優先してほしい。そういう時代だったのだと。まあ、あしたのジョーとかは、それでも厳しいとは思うけれど…。

投稿 : 2020/09/18
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サンキュー:

5

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